最終ラップ接触バトルは“ペナルティ”決着に。レッドブル・ホールデンの王者が破竹の連勝劇/RSC第7戦

2022年7月14日(木)16時30分 AUTOSPORT web

 7月8〜10日にクイーンズランド州タウンスヴィルで争われた2022年RSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップ第7戦のスーパースプリントは、土曜初戦でレッドブル・アンポル・レーシングの王者“SVG”ことシェーン-ヴァン・ギズバーゲン(トリプルエイト・レースエンジニアリング/ホールデン・コモドアZB)がポール・トゥ・ウインを達成。


 続く日曜は波乱続発の展開となり、最終ラップの最終コーナーで王者に接触スピンを招いたアントン・デ・パスカーレ(ディック・ジョンソン・レーシング/フォード・マスタング)にペナルティ裁定が下り、再びチャンピオンが勝利を手にする結果に。SVGはこの連勝劇により、選手権リードをさらに拡大している。


 オーストラリア北部ノーザンテリトリー州で開催された前戦では、例年より地元ダーウィンの先住民族に敬意を表する催しとして、各陣営が任意のスペシャルカラーを採用してきた。その流れを汲み、今季はシリーズ史上初のRSC公式“Indigenous Round(先住民族ラウンド)”と銘打ち、参戦全27台が先住民族特有のアートワークに彩られた特別リバリーでレースを戦った。


 続くクイーンズランド州での週末も、レースウイークと同時期に開催された『NAIDOC Week(National Aborigines and Islanders Day Observance Committee)』に賛同し、多くのチームがタウンスヴィル先住民族の生活を維持する活動に敬意を表し、引き続きスペシャル・リバリーでの走行を開始した。


 また、前戦『ダーウィン・トリプルクラウン』終了後にプレミエア・レーシングからの離脱が発表されたギャリー・ヤコブセンに代わり、ひさびさにレギュラーシート復帰となったジェームス・ゴールディンが、この週末に“サブウェイ”ホールデンのステアリングを握ることもアナウンスされた。


「待望のスーパーカー復帰で、こうしてプレミエア・レーシングに加入できて興奮している。チームの全員と一緒に仕事ができることを楽しみにしているよ」と、かつては古豪ギャリー・ロジャース・モータースポーツのレギュラーとして戦ったゴールディン。


 金曜プラクティスを経て迎えた土曜午前の予選は、セッション首位だったキャメロン・ウォーターズ(ティックフォード・レーシング/フォード・マスタング)に対し、シュートアウトに挑んだ王者SVGがわずか0.004秒差で逆転し、ポールポジションを奪取。そのまま88周のレース1に挑んだチャンピオンは、序盤を義務消化のハードコンパウンドで走り、終盤にスーパーソフトを装着する戦略を採用していた。


 そのため、スタート直後は蹴り出しに勝ったウィル・デイビソン(ディック・ジョンソン・レーシング/フォード・マスタング)が先行しても焦らず、同じ戦略を採るデイビソンとともにポジションを落としながらも、中盤以降も淡々と周回を重ねていく。

お披露目を兼ねてイベント開催各地でテストを重ねる2023年導入のGen3モデルは、今回がタウンスヴィル初走行に
レース1は残り5周で首位を奪ったシェーン-ヴァン・ギズバーゲン(トリプルエイト・レースエンジニアリング/ホールデン・コモドアZB)がポール・トゥ・ウイン
レース終了間際にアンドレ・ハイムガートナー(ブラッド・ジョーンズ・レーシング/ホールデン・コモドアZB)を仕留めたキャメロン・ウォーターズ(ティックフォード・レーシング/フォード・マスタング)が3位に


■レース2でトップ争いのパスカーレとSVGが接触


 そして迎えた終盤83周目。スーパーソフトもマネジメントし余力を残していたSVGは、タイヤのグリップを開放して首位デイビソンをオーバーテイク。5秒のマージンを築いて完勝を飾り、2位デイビソンの背後では、レース終了間際にFP2首位など好調を維持したアンドレ・ハイムガートナー(ブラッド・ジョーンズ・レーシング/ホールデン・コモドアZB)を仕留め、ウォーターズがポディウムに滑り込んだ。


 明けた日曜はデイビソンが暫定ポールを得たものの、グリッド降格ペナルティでシュートアウトを制したウォーターズが首位発進。しかしスタートでリードを奪ったのはシェルVパワー・フォード・マスタングの僚友パスカーレで、モンスターエナジー・フォードの前でターン1へと入っていく。


 しかしその背後では当のデイビソンとスコット・パイ(チーム18/ホールデン・コモドアZB)が接触。このアクシデントで早々にセーフティカー出動がコールされる。リスタート後もパスカーレが終始隊列を率いる展開となったが、最初のピットが終わる頃にはSVGが主導権を奪い返し、終盤に向け2秒のマージンを築く。


 だが2番手パスカーレも喰い下がり、ファイナルラップに向けジリジリと距離を詰めると、各コーナーごとにレイトブレーキングでプレッシャーを掛けていく。そして最終左コーナーでインサイドに飛び込んだフォードは、ホールデンのリヤにヒット。ホームストレートを前にチャンピオンは成す術なくスピンを喫してしまう。


 先にフィニッシュラインへと近づいていたパスカーレはスローダウンしてライバルを待ち、復帰したSVGも抗議の意思を示すかのようにマスタングのリヤに追随したままチェッカー。しかしスチュワードは即座にペナルティを宣告し、パスカーレは5秒加算で2位降格。改めてSVGが勝利を手にする結果となった。


「僕らの規則やシステムが、挑戦を思いとどまらせるべきではないとは思うよ。でも、今回(のペナルティ)は正しいコールだと思う。僕は彼に腹を立てているし、みんなと一緒にお祝いしたかっただけなんだ。彼にお祝いを言いに行ったが、そこで同時に『一体、何を考えてたんだ?』と聞いたよ」と、皮肉混じりに答えたSVG。


「今後もチャンピオンシップのリードに甘んじることはない。僕らは(10月の)バサーストを獲る必要がある。そこまではただ“フラットアウト”で行くつもりだ」


 この連勝で今季11勝となったSVGは、パスカーレに対し274点差、ウォーターズに330点差をつけることに成功。続くRSC第8戦は、7月29〜31日に“ザ・ベンド”ことベンド・モータースポーツパークで、引き続きスーパースプリント戦が争われる。

レース2ファイナルラップの最終コーナーでアクシデントが発生。首位攻防は接触スピンの決着に
スローダウンでポジションを譲ろうとしたアントン・デ・パスカーレ(ディック・ジョンソン・レーシング/フォード・マスタング)に対し、抗議のスロー走行で応えたSVG
「今後もチャンピオンシップのリードに甘んじることはない。僕らは(10月の)バサーストを獲る必要がある」とチャンピオン

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