withコロナ時代の新たな観戦スタイルに? Jリーグ初のドライブインPV潜入リポート!

2020年7月14日(火)19時32分 サッカーキング

神戸で開催されたドライブインPVの様子[写真提供]=イオンモール

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 7月11日、イオンモール神戸南にてJリーグ初となるドライブインパブリックビューイングが開催された。大分トリニータとヴィッセル神戸の試合を、文字どおり車に乗ったまま観戦できるというイベントだ。参加費は無料。運よく抽選に当たった約40台が参加した。

「車に乗ったまま」というのは、新型コロナウイルスの感染防止のため。パブリックなイベントながら、車の中という極めてパーソナルな空間で楽しむことができる、withコロナ時代にマッチしたイベントと言えるだろう。その需要の高さを裏づけるのが、約2500件(!)という応募総数だ。この反響の大きさにはヴィッセル神戸の担当者も驚いていた。

 一体どんなイベントなのだろうか。観戦環境や快適性も大いに気になる。ぜひとも体験してみたい……ということで、雨の降る土曜日の午後、神戸へと向かって車を走らせた。

 イオンモール屋上の現場に着くと、まずは体温チェックと手の消毒。その後、係員に誘導されて所定の位置へ。真ん中の少し後ろあたりにポジションを取る。この日のビジョンは275インチ(縦3.6メートル、横6メートル)で、10メートルくらい離れた位置でも、十分な大きさに感じられた。音声はFMラジオを使用。指定の周波数に合わせると、車のスピーカーからイベントMCの案内や、試合中継の実況が流れてくるという仕組みだ。「新鮮で、なんか楽しい!」。ぶっちゃけ音は自分の部屋よりも迫力、臨場感がありそう(当然、個人差はある)。

 キックオフまであと1時間ほど。続々と車が集まってくる。すぐ下の階は大型フードコートになっていて、その下の階まで足を伸ばせばショッピングもし放題。どんな人でも1〜2時間くらいは思い思いに楽しく過ごすことができる。試合観戦時用のフードやドリンクを調達する人もいた。

 そうこうしているうちにキックオフ時間だ。ちょうど雨も上がり「良かった〜」と胸をなでおろしていたら、いきなりのゴール! ヴィッセル神戸の古橋亨梧選手が開始17秒で電光石火の一撃をゴールに突き刺し、集まったヴィッセル・サポーターは「え!? もう入った!」と驚きつつ、車のライトを点滅させて喜びを分かち合っていた。その後、大分トリニータが29分に同点弾。この時は“水に流そう!”ということで、フロントガラスに水を出してワイパーを動かしていた(笑)。

 ハーフタイムには、サイン入りユニフォームなどが当たる豪華抽選会も。アンドレス イニエスタ選手のサイン入りボールをゲットした中学生男子は、「こういった抽選会で初めて当たりました。うれしい!」と歓喜していた。うらやましい!

 試合は後半も一進一退の展開に。終盤、ヴィッセルが立て続けにチャンスを得たシーンでは、歓声が漏れ聞こえてくるなど大いに盛り上がったが、勝ち越しゴールは生まれることなく、試合は1−1の痛み分けに終わった。

 残念ながら勝利とはならなかったが、神戸のサッカーファンはとても満足していた様子。高倉翔大さん、渡辺穂乃香さんのカップルは、「そもそも車の中で観戦するという発想自体が全くなかった」と驚き、このイベントの新鮮さに惹かれたという。「面白そうだなと思って参加しましたが、音質も映像も良かったし、迫力を感じられました。周りに同じファンの方もいるので、スタジアムではないですけど、それに近い感覚で応援することができてすごく良かったです!」

 今回、僕は一人での参加だったものの、「サポーター同士で参加したら、楽しいだろうな」と強く思った。実際、隣の大学生らしきグループからは、楽しそうな笑い声が何度も聞こえてきた。

 Jリーグのみならず、プロ野球も他のスポーツ興行も当面は新型コロナウイルスの感染防止対策を徹底しながら試合を開催していくことになる。なかでもアウェイへの遠征はコロナが終息するまで自粛しようと考えている人も多いはず。そんな時世だからこそ実現に至ったドライブインパブリックビューイング。Jリーグでは初の試みとなったが、「お客さんが楽しんでくれたようで良かったです。今後も継続できるように頑張っていきたい」と、主催したイオンモールの担当者さんも新たなエンタメの形に手応えを感じていたようだ。

 新たな観戦スタイルとして定着していくのか。今回、参加してみてその可能性は大いにあると感じられた。

取材・文=山本剛央

サッカーキング

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