井上尚弥が挑む王者フルトンの特徴は?”井上の第二の師匠”がフルトンのファイトスタイルを解説「主導権を握れば強いが、接近戦は穴」

2023年7月25日(火)10時51分 ココカラネクスト

フルトンのアウトボクシングは超一流。井上としては自分の距離に持ち込みたいところだ(C)Getty Images

 ボクシングの前世界バンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋)がWBC&WBO世界スーパーバンタム級2団体統一王者スティーブン・フルトン(米国)に挑むタイトルマッチが目前となった。

 7月25日、有明アリーナで行われるこの一戦、「モンスター」として世界中にその名を轟かせてきた井上が、スーパーバンタム級デビュー戦となるこの戦いでのベルト奪取に多くのファンは期待を寄せている。

【動画】一切目線を逸らさない! フルトンと井上尚弥の好戦的な睨み合いをチェック

 そして、敵地で井上の挑戦を受けるフルトンがどのような戦いを繰り広げるのか、こちらも大きな見どころの一つだ。米国人王者のファイトスタイルなど、ボクサーとしての特徴について、ロンドン五輪ボクシング・フライ級日本代表であり、井上が「第二の師匠」として慕う、須佐勝明氏にうかがった。

 須佐氏はフルトンのスタイルについて「バックステップとサイドステップがすごく上手い選手で、距離を保ちながらポイントを稼いでいくという戦い方」と説明し、その上で「アウトボックスの超一流選手」と評した。

 また「チャンスがあればボディも打ってきますが、どの選手とやっても距離をキープし、相手は中に入れないまま、フルトン選手にちょっとずつパンチを当てられポイントを稼がれて負ける。そんな戦い方をやっていますよね」と述べ、動きを止めず距離をとる戦術がベースであると話している。

 一方で「距離を保つ戦い方で自分が主導権を握れば強いんですけど、相手に距離を縮められる戦いになると、意外なほど被弾するイメージ。ボディもそんなに強くないんじゃないかと思えるほど効かされる様子もこれまでの試合ではみせていたので、そう考えると接近戦はフルトン選手にとって『穴』というか、弱いのかなと思っています」として、相手に近づかれると劣勢に立たたされるケースも多いという。

 また、攻撃面に関しても「倒すパンチというのがあんまりないと思います」と分析し、その上で「パンチが強い選手ならば別ですが、フルトン選手の様に後ろに下がりながらの戦い方で、パンチで倒すという場面はプロの世界ではあまりみられません。それはフルトン選手のKO率にもつながっていると思うんですけど」と指摘した(フルトンは21戦全勝という戦績ながらも、判定勝ちは13試合に上る)。

 加えて須佐氏は、フルトンがこれまで続けてきており、有明のリングでもみせるであろう戦い方の特徴を以下の様に語っている。

「相手に打たせないし、自分が打たれることを本当に嫌がる選手なので、頭が良いというか、あんまり無駄なリスクを背負わずに、できるだけポイントを獲るということを考える、頭脳戦で戦う選手です」

 強打を得意とする井上と比べ、対照的ともとらえられるフルトンのファイトスタイル。目前となった大一番でも、自らの戦いを貫くことでのタイトル防衛を見据ええている。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

【解説】須佐勝明(すさ・かつあき)

1984年、福島県生まれ。会津工業高校から東洋大学へ。2012年、自衛隊体育学校所属時にロンドン五輪に出場。ロンドン五輪ミドル級金メダリストの村田諒太は東洋大学の1学年後輩にあたる。株式会社AYUA代表取締役。日本ボクシング連盟理事。SUSAGYM会長。アジアコーチ委員会委員長。共同通信社ボクシング評論担当。会津若松市観光大使。ほか。


ココカラネクスト

「井上尚弥」をもっと詳しく

「井上尚弥」のニュース

「井上尚弥」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ