ERC:第5戦ローマはイタリア人ドライバーに不運相次ぐ。好調ルカヤナクが3勝目

2018年7月27日(金)17時46分 AUTOSPORT web

 ERCヨーロッパ・ラリー選手権の第5戦ラリー・デ・ローマ・キャピタルが7月21〜22日に開催され、地元イタリアのスペシャリスト、ジャンドメニコ・バッソ(シュコダ・ファビアR5)を抑えたアレクセイ・ルカヤナク(フォード・フィエスタR5)がターマック首都戦を制し、今季3勝目を飾ると同時に自身初タイトルに向け大きく前進を果たした。


 昨年ERCのカレンダーに昇格し、今回もイタリア国内選手権との併催となったイタリアの首都ローマ決戦は、象徴的なコロッセオを背景にセレモニアルスタートを迎えるとともに、地元イタリア人スペシャリストが数多く参戦するイベントとなった。


 しかし地の利を活かすことなく脱落するドライバーが続発し、そのうちのひとり、同イベント通算2勝を記録しているウンベルト・スカンドーラ(シュコダ・ファビアR5)は、ラリー開始早々に総合5番手と好タイムでスタートを切ったものの、エンジントラブルによりドロップ。


 現イタリア国内チャンピオンのシモーネ・カンペデッリ(フォード・フィエスタR5)は、3番手につけるさすがのドライブを見せたものの、午後のふたつのステージで連続してパンクに見舞われるなど不運が重なり、早々に勝負の権利を失う展開となった。


 そのなかにあって気を吐いたのが2006年、09年にヨーロッパ・チャンピオンを獲得している大ベテラン、ジャンドメニコ・バッソ(シュコダ・ファビアR5)で、ファビアR5に乗るのはこれが2度目のうえ、初めて組むコドライバーとのペアリングにも関わらず、SS6、SS7と連続ベストタイムをマーク。とくにSS7では360度スピンを起こしたにもかかわらず、セカンドベストを2.8秒上回る驚異的タイムを刻んでみせた。


 また10度のイタリア選手権王者を獲得したレジェンドでもあるパオロ・アンドレウッチ(プジョー208T16)も奮闘をみせ、イベントわずか数日前のテストでクラッシュし、脊椎骨下部を損傷しているにも関わらず、金曜にはACIローマ・アリーナでのスーパースペシャルで大歓声を受けると、初日をグジェゴシェ・グジプ(シュコダ・ファビアR5)に次ぐ5番手につけ、表彰台を狙える位置で終えることとなった。


 一方、ERCのシリーズ争いをけん引する“ロシアン・ロケット”ことルカヤナクは、SS1こそERCジュニアU28のニコライ・グリアシン(シュコダ・ファビアR5)にラリーリーダーを譲ったものの、SS3から3連続ベストを叩き出し早々に首位に立つ圧巻のドライビングを披露する。


 ラリー4つ目のステージまで、そのルカヤナクに食い下がった同郷20歳のグリアシンだったが、彼のファビアR5はエンジンからの出火を遠因にパワーステアリングにもトラブルを抱え、3分以上のタイムを失いここで首位争いからは脱落してしまう。

コロッセオ前のセレモニアルやSSSで大歓声を受けた地元のスター、パオロ・アンドレウッチはデイ2でまさかの展開に
国内選手権時代の同イベントで2連覇を飾っているウンベルト・スカンドーラはトラブルで大きく出遅れる
金曜のSSSからファビアR5のセットアップに苦しんだERCレギュラーのブルーノ・マガラエスは総合5位
S2000規定車両の開発も担当したイタリアの名手、ジャンドメニコ・バッソが初日から快走を見せる


 また、ルカヤナクと選手権を争うポルトガル人のブルーノ・マガラエス(シュコダ・ファビアR5)は、土曜午前のループで「ソフトすぎる」マシンに苦しみトップ10圏内をキープするのがやっとの状態。


 ミッドデイ・サービスでリヤのアンチロールバーを交換して午後のループに臨んだものの、今度は電気系の問題でエンジンの点火が断続的にカットオフされる不具合が生じ、不完全燃焼のまま6番手で夜を越すこととなった。


 明けた日曜のデイ2は、オープニングのSS9で観客の安全性が担保できずステージキャンセルとなり、28.6kmのロングSSを失ったバッソやマガラエスは逆転に向けより厳しい展開に。


 それでも総合2番手のバッソは地元出身の意地で、各SSごとにわずかにルカヤナクとのギャップを縮める力走をみせたが、最終的には7.5秒及ばず。そのままロシアン・パフォーマンス・モータースポーツのルカヤナクがリードを守りきり、今季3勝目を飾った。


 そして最後の表彰台となる3位争いはデイ2を通じて激しさを増し、総合4番手に浮上してきた“10タイムス・チャンピオン”のアンドレウッチとお互いにタイム差を詰め合うシーソーゲームとなるなか、その差が2.1秒にまで迫ったSS13でレジェンドを悲劇が襲う。


 12.8kmのステージでフィニッシュまで残り1kmを切った地点で、アンドレウッチのプジョーはステージを外れて激しくロールオーバー。コースをふさぐ形となり、彼の表彰台への望みが砕かれると同時に、後続のバッソ、グジプらには平均値の公称タイムが加算されることになり、この結果グジプが自身初のERCポディウムを獲得することとなった。


 そして総合4位には初日からステディな走りに徹したシュコダ・オート・ドイチェランドの支援を受けるファビアン・クルム(シュコダ・ファビアR5)が入り、初のERCジュニアU28クラス優勝を達成。5位にマガラエスのリザルトとなった。


 続くラウンドとなる8月24〜26日開催の第6戦は、2004年にERCが現行形態に移行して以来カレンダーを守り続けている伝統の1戦”バウム・チェコ・ラリー・ズリン”となり、チェコ共和国の首都プラハから南に300kmに位置する学園都市モラヴィアを舞台に、森林のなかを走る荒れたターマック(舗装路)ステージに挑む。

悪癖のオーバードライビングも影を潜め、安定したマネジメントでイベント初制覇を成し遂げたアレクセイ・ルカヤナク
初日からステージの特性習熟に専念したファビアン・クルムは、徐々にペースを掴みERCジュニアU28クラスを初制覇
ポーランド人のグジェゴシェ・グジプも自身初となるERCポディウムとなり「夢が叶った」と喜びのコメント
2度のヨーロッパチャンピオン獲得経験者、ジャンドメニコ・バッソがその経歴に恥じないパフォーマンスを披露した


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