ENDLESS SPORTS 2018スーパー耐久第4戦オートポリス レースレポート

2018年7月31日(火)7時37分 AUTOSPORT web

ENDLESS SPORTS
スーパー耐久シリーズ 2018第4戦


開催日:2018年7月14〜15日
サーキット:オートポリス(大分県)
チーム体制:エンドレススポーツ
マシン:3号車 ENDLESS GT-R
ドライバー:YUKE TANIGUCHI/山内英輝/銘苅翼


予選結果:クラス2位
決勝結果:クラス5位
シリーズランキング:ST-X CLASS 6位


[予選/7月14日(土)]3号車 2番手


Aドライバー/YUKE TANIGUCHI……3位 13:45〜 10分間 ドライ
Bドライバー/山内英輝……3位 14:45〜 10分間 ドライ
Cドライバー/銘苅 翼……3位 15:45〜 20分間 ドライ


 なにかが噛み合わない。エンドレスとして30年近くレースを続けてきたが、ここまで結果を残せないシーズンはなかったように思う。たしかにスーパー耐久というレースは、表彰台のてっぺんを狙えるだけの戦闘力を備えたマシンであってもツキがないと勝てない。それどころか表彰台の一角さえ遠のいてしまう。
 
 まさに今の当チームはそんな状況のなかで、もがき苦しんでいる。今シーズンに入ってマシンの戦闘力はメカニックの頑張りもあり、確実にアップしている。
ドライバーもYUKE TANIGUCHI、山内英輝に加え、銘苅翼も非凡な走りを見せている。


 スタッフ全員が「今度こそ……」という気持ちでオートポリスに乗り込んだ。
それなりに標高のある阿蘇山の中腹にあるサーキットとあって、下界に比べればいいのかもしれないのだが、それでもピット内でも30度を越え、太陽が直接当たるところでは40度に達しようかという、まさに夏のレースとなったオートポリス。


 予選、速さを見せたのは富士24時間を休戦した24号車。AドライバーのYUKE TANIGUCHIは「もう少ししっかりとタイヤを温めていたら……。コンマ5秒くらいは詰められた。悔しい」とトップの24号車から0.669秒遅れの3番手。このタイム差をひっくり返すのはかなり厳しいが、Bドライバーの山内も必死のアタックを見せる。
 
 山内は圧倒的な速さを見せるアウディ軍団の中に割って入る形で山内も3番手につける。このセクションでは24号車の前に出た形だがA+Bの合算タイムでは、24号車に0.181秒ほど足りず2番手。ただ、逆転するには十分なポジションにはつけることに成功できたので、Cドライバーの銘苅は明日の決勝に向けたチェックを念入りに行なった。

ENDLESS GT-R


[決勝/7月15日(日)]3号車 5位


11:39スタート 5時間レース(16:42チェッカー)ドライコンディション


 5時間という長丁場の決勝レース。この日も30度超え……。暑さとの戦いでもあった。今回は3回以上のピットストップ、AドライバーのYUKE TANIGUCHIは160分以上、Bドライバーの山内は120分以内の走行が決められている。
 
 当然、鍵を握るのは各チームともCドライバーとなる。当チームは銘苅をスタートドライバーにおき、チャンスを広げる作戦をとった。


 午前11時39分過ぎ、コースからセーフティカーが抜け、スタートが切られる。
まずまずのスタートを切った銘苅だが24号車も簡単には前に出させてくれない。それどころかスタートから1、2コーナーにかけてのトップ争いに決着がつくと、24号車は圧倒的な速さで逃げていく。これに対し、当チームのGT-Rはもう一つ伸びがなく、じわじわと引き離されてしまう。


 4ラップ過ぎ、アウディ勢の一角に2番手、13ラップ過ぎには3番手の座を奪われてしまう。ここから銘苅は激しい3番手争いを繰り広げることになる。25ラップ過ぎ、厳しい戦いが続いているためか、タイヤの消耗が一気に進み、3番手のポジションを守るのも厳しくなっていく。


 30ラップ過ぎにはトップよりラップタイムが3秒以上も落ちてしまう。スタートからまだ1時間が過ぎたばかりだ。ここでピットに入ってしまうと完全に4回のピットストップをしないといけないことになる。しかし、追い上げるにはピットストップの回数を抑えて我慢の走りでは難しい。
 
 ピットストップの回数を増やしてでも追い上げるしかない。作戦を変更。35ラップ過ぎ、ライバル勢よりも早めとなってしまうがピットに入り、山内にスイッチする。
 
 これで6番手までポジションを落とすが、ライバルチームよりも早くピット作業を終えたため、全車のピットストップが終わった時点では2番手に浮上、トップとのタイム差も20秒前後にまで迫っていた。我慢の走りから攻める走りに切り替えているだけに山内も元気ある走りで追い上げる。
 
 66ラップ過ぎ、山内からTANIGUCHIにスイッチ。TANIGUCHIもコースに戻って数ラップはタイムが上がらなかったが、路面状況や全体の流れが見えてくると、ライバル勢とほとんど変わらないタイムでラップを重ねていく。
 
 5番手から4番手、3番手とポジションを上げ、87ラップ過ぎ、2回目のピットストップを最後まで遅らせていたアウディがピットに入ると当チームは2番手。この時点でトップの24号車との差は約30秒。若干、引き離されたがチェッカーまで2時間弱あり、まだまだ逆転可能な範囲。


 99ラップ過ぎ、ふたたび銘苅がステアリングを握る。5番手でレースに戻る。雲に日差しが遮られるなど、スタート直後に比べると路面温度は落ち出している。ただ、ラインのアウト側には多量のタイヤカスが飛び散っている。銘苅はグイグイと攻める。
 
 見えないライバルを追いかけての走りだが、前を走る4台がピットに入ると、2番手にポジションを戻す。この時点でトップの24号車との差は約20秒。当チームはもう1回、ピットに入らないといけない。厳しい状況ではあるが、チャンスがないわけではない。

ENDLESS GT-R

 
 127ラップ過ぎ、銘苅から山内にスイッチ。この最後のピットストップの時にアクシデントが起きた。左フロントのホイールが外れない。ただ、ホイールが外れないというトラブルは、十分に起きることだし、対処策もSUGOラウンドの時に学んでいる。まだ、対策法を細かく明かすことはできないが、ドタバタすることなく、最小限のロスで山内に乗り替わったマシンをコースに送り出すことに成功した。
 
 ただ、ここで違うミスをおかしてしまった。現在、スーパー耐久やスーパーGTなどのレースでは、マシンの順位やラップタイムなどを管理する認識機(トランスポンダー)が搭載されている。ドライバーが変わるときは、チームのメカニックがトランスポンダーを変更しないといけないことになっている。この切り替えをしないで送り出してしまったのだ。
 
 これに対するペナルティが課せられてしまった。レース終了後、30秒の加算。つまり、30秒以上前でチェッカーを受けないと順位は下がってしまう。
 
 ライバルチームはミスをしていないのだから言い訳になってしまうが、オートポリスはピットがコースに対してアウト側にあり、給油なども富士や鈴鹿とは逆になってしまう。ホイールが外れず、対処策で対応したために、メカニックの動きも通常とは違っていた。悔しい。
 
 この時点で優勝はほぼ消えた。でも、2番手、3番手に生き残るチャンスはわずかだが残っている。ステアリングを握る山内は必死にアクセルを踏み続ける。結局、当チームのGT—Rは2番手でチェッカーを受けるが、3番手でチェッカーを受けた99号車とは17秒、4番手のアウディとは20秒、5番手のアウディとは21秒ほどのリードしか取れなかったため、最終的な結果は5位となってしまった。


 これでランキングトップのGT—Rとのポイント差は61.5ポイント(残り2戦を当チームがポール・トゥ・ウインで得られるポイント数:54ポイント)にまで広がり、チャンピオンの夢は完全に絶たれてしまった。とはいえ、このままでシーズンを終えたくはない。
 
 エンドレスらしい走りで表彰台、それももっとも高い位置で……。次戦も長丁場のもてぎ。地元ともいうべきサーキットだけに当チームを応援してくれるファンのためにも、元気のある走りを見せたい。


ENDLESS SPORTS
スーパー耐久シリーズ 2018第4戦


開催日:2018年7月14〜15日
サーキット:オートポリス(大分県)
チーム体制:エンドレススポーツ
マシン:13号車 ENDLESS 86
ドライバー:小河諒/高橋翼/花里祐弥/呉良亮


予選結果:クラス3位
決勝結果:クラス6位
シリーズランキング:ST-4クラス4位


[予選/7月14日(土)]13号車 3位


Aドライバー/小河諒……5位 13:45〜 20分間 ドライ
Bドライバー/高橋翼……2位 14:45〜 20分間 ドライ
Cドライバー/花里祐弥……4位 15:45〜 20分間 ドライ
Dドライバー/呉良亮……2位 16:20〜 18分間 ドライ

ENDLESS 86


 記念すべき富士24時間レースでは、アクシデントに巻き込まれノーポイントというまさかの結果に終わってしまい、チャンピオン争いから大きく脱落。さらには18まで伸ばしていた連続表彰台記録も途絶えてしまった。
 
 記録は途絶えるもの。一度リセットして第4戦の舞台となる九州オートポリスに乗り込む。富士でクラッシュしたマシンは、修復できるような状況ではなかった。ゼロからマシンを作り直すほどの予算もなければ時間もないため、昨シーズンまで走らせていたマシンをベースに作り直した。どこまで戦闘力があるかはわからない。ぶっつけ本番だ。
 
 ライバルに打ち勝つだけの戦闘力には及ばないが、急ピッチで仕上げたマシンということを考慮すれば、十分に戦えるだけの走りを練習走行で見せてくれた。とにかく、贅沢は言っていられない。多くのスポンサーや仲間が協力してここまでたどり着けたのだから、なんとか結果を残したい。これまで以上にドライバーもメカニックも熱かった。
 
 標高もある阿蘇山の中腹にあるオートポリス。下界に比べれば涼しいが、30度以上あることには変わりない。予想していた通り、第4戦は暑さの戦いとなった。


 午後1時45分過ぎから始まった予選。Aドライバーの小河は、思うようにタイムが伸びない。というよりは、全体的にタイムが伸びていないのだ。マシンから降りてきた小河も「午前中の走行とは違う。フロントのグリップ力もないし……」と悔しがる。
 
 クラストップの86号車からは1.2秒遅れの5番手。どうやらタイムが伸びない大きな要因は、予選前に行われていたヴィッツレースだったようだ。簡単に言うと「ヴィッツのタイヤで路面が荒れていた」と言うところだ。
 
 実際、Aドライバーの予選でも最後の方に走ったST-Xクラスのマシンはそこまで落ちていなかったからだ。路面ができあがったBドライバーの予選では、86号車が2分05秒2という驚異的なタイムを叩き出した。高橋もほぼ完璧に近いアタックだったが2分06秒129。
 
 マシンの状況などからすれば、2番手という結果はまずまずだ。でもトップの86号車から1秒近くの遅れは厳しい。A+Bドライバーの合算タイムで決まる総合結果は3番手。ここから追い上げることになった。


[決勝/7月15日(日)]13号車 6位


11:39スタート 5時間レース(16:42チェッカー) ドライコンディション


 決勝当日も30度を超える暑い日となったオートポリスラウンドは5時間という長丁場のレース。とにかく、当チームは周りのチームに影響されることなく、エンドレスらしいじっくりと腰を据えた戦いで挑むしかない。


 11時39分過ぎ、セーフティカーが抜け、スタートが切られる。当チームのステアリングを握るのは小河。まずまずのスタートを切った小河は3番手のポジションを守りながらラップを重ねていく。
 
 前の2台はかなり速いペースでラップしている。食らいついていきたいところだが、当チームのマシンで食らいつくのは厳しいというのが本音。実際、ラップを重ねていくうちに後方8番手からスタートした29号車が迫ってきていた。

ENDLESS 86


 21ラップ目、3番手の座を奪われてしまう。2分09秒台でラップを重ねる小河だったが、41ラップすぎ、他クラスのマシンと接触。なんとかピットまで戻ってくることはできたが、フロント側のロアアームに大きなダメージを追っていた。修復するのに10分以上を費やすことに……。
 
 花里にスイッチしてコースに戻るが、トップの86号車からは7ラップ遅れ。クラス最後尾からの追い上げだ。まだ、チェッカーまでは3時間以上もある。さすがに表彰台に上がる確率は0.00001%以下だろうが、可能性が残されている以上、いくしかない。これで諦めるようだったら最初からレースはやらない。これがエンドレス流だ。
 
 パワーステアリングが効いたり効かなかったり……。まともじゃない。そんなマシンをねじ伏せるように花里はラップを重ねていった。2分11秒台でのラップ。トップグループは09秒台。差は開いていく一方だ。66ラップ過ぎ、2回目のピットストップ。高橋にスイッチする。路面温度も低くなりラップタイムも10秒台、09秒台と上がりだす。
 
 上位のチームは自分のポジションを意識した走りというか、ライバルチームとの駆け引きが始まりだしている。対し、当チームはただただひたすら追い上げていくしかない。トラブルで落ちていくマシンもあり、100ラップ目には8番手にまで上がっていた。
 
 108ラップ過ぎ、ピットストップ。ふたたび、小河がステアリングを握る。112ラップ目に7番手に浮上。6番手を走るのは、序盤に3番手のポジションを奪われた29号車。その差は2ラップ。121ラップ目、上位につけていた54号車がトラブルからストップ。これで6番手に浮上。さすがに2ラップ先を走る29号車には届かなかったが6番手でチェッカーを受けることができた。

ENDLESS 86

 
 今回の大きな敗因は、接触してしまったこと。ただ、これはレースをしている以上、あり得ることだ。前戦の富士24時間のように全損ならばジ・エンドだが、わずかでも走行できる可能性が残されているならメカニックは修復作業に入る。
 
 しかし、本来ならサーキットに持ち込んでおかなければならないパーツを持ってこなかった。これを他チームから借りるのに時間がかかってしまった。確かに富士の後、マシンを作り直すのに追われていたし、手配したパーツが間に合わなかったのも事実だ。
 
 でも、ノーマル車両が当社にはある。ここから外して持ってくることはできた。このパーツがピット裏に停めてあるトレーラーの中にあれば、5〜7分ぐらい修復時間は短縮できたはずだ。あくまでも机上の計算になってしまうが、今回の場合だと、5位でのチェッカーも可能になる。シリーズポイントだと3ポイントアップだ。
 
 過去を振り返れば、1ポイント差でチャンピオンを逃したチームもいる。いずれにしても、ほんのわずかな注意の積み重ねでチームは、プライベートから二流、さらに一流、トップチームへと駆け上がっていく。


 次回のもてぎラウンドも5時間という長丁場の戦い。今回の悔しさをもてぎでは笑顔で返せるようにもてぎに乗り込みたい。


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