BTCC第6戦:60周年を記念する“ダイヤモンド・ダブル”戦はホンダ・シビックが制す

2018年7月31日(火)20時5分 AUTOSPORT web

 7月28〜29日にイギリス・スネッタートンで開催されたBTCCイギリス・ツーリングカー選手権の第6戦は、シリーズ創設60周年を記念した特別なイベントとして長距離戦を含む3レースが行われ、FK8型ホンダ・シビック・タイプRに乗る大ベテラン、マット・ニールがその記念すべき最終レース“ダイヤモンド・ダブル”戦を制した。


 サマーブレイク明けの一戦として開催されたスネッタートンは、レギュラーのスプリントレース3ヒートからわずかにフォーマットが変更され、最終レースをBTCCとしては異例の長距離となる60マイル(約97km)の“ダイヤモンド・ダブル”として設定。獲得ポイントも2倍となるなど、シリーズ創設60周年を祝う特別な1戦として争われた。


 コースレイアウト面でも、スネッタートンは高低差を持つバラエティに富んだコーナーが数多く存在し、シリーズでも随一の攻めがいあるサーキットとして知られる。そのコースで練習走行から速さを見せたのは、新旧シビック・タイプRのホンダ勢だった。


 最終プラクティスでは、事前テストでも好調ぶりを見せていたユーロテック・レーシングのジャック・ゴフを先頭にシビック勢がトップ3を独占すると、そのままレース1となる通常のスプリント戦に向けた予選でポールポジションを獲得。


 2番手フロントロウにチーム・ダイナミクスのルーキー、ダン・カミッシュ(FK8型ホンダ・シビック・タイプR)が続き、3番手にユーロテックのFK2型に乗るマット・シンプソン、4番手にチームメイトのブレット・スミスが並び、FK2、FK8のシビックRがセカンドロウまでを独占する速さを披露した。


 迎えたレース1は、スタート前に降り出した雨で路面はヘビーウエットとなり、全車レインタイヤを装着してのレースに。フロントロウ2台はポジションを守って1コーナーへと向かったものの、この局面でFRのトラクション性能を活かしたチームBMRの王者、予選9番手のアシュリー・サットン(スバル・レヴォーグGT)が3番手にジャンプアップ。


 序盤にカミッシュをかわして2番手に浮上したサットンは、最終ラップで首位ゴフのFK2シビックのテールに張り付くと、レインタイヤのデグラデーションが進みスライドの大きくなったシビックの隙を突き、ファイナルラップで首位浮上に成功。


 しかしここから驚異の粘りを見せたゴフが最終コーナーの立ち上がりで絶妙なトラクションを掛け、ホームストレートの加速勝負でわずか0.152秒差でスバル・レヴォーグGTをかわしフィニッシュラインへ。薄氷の逆転劇でシビックのゴフが勝利を飾った。


 続いて路面がドライ方向に好転するなか開催されたレース2は、レース1のトップ10がそのままグリッドに反映されてのスタートとなるなか、勝者ゴフのシビックがまさかのトラブルを抱えピットスタートに。これで楽になった実質ポールの王者サットンが危なげなく勝利し、タイトル防衛を目指すスバル・レヴォーグGTが今季3勝目を挙げている。

R1とダイヤモンド・ダブルの両予選でポールポジションを獲得したジャック・ゴフ

R1では最前列から4番手まで新旧ホンダ・シビック・タイプRが独占する好パフォーマンスを披露

ホンダvsスバルの戦いは12ラップでわずか0.152秒差という薄氷の逆転劇で決着

R2で今季3勝目をマークしたスバル・レヴォーグGTの王者アシュリー・サットン


 そして最終レース3、初開催の60マイル戦に向けて行われた予選でポールポジションを獲得したのは、またもFK2シビックのゴフ。フロントロウにはチーム・ダイナミクス、FK8シビックのニールが並び、ここでもホンダ勢がレースを支配することが予想された。


 約97km先のフィニッシュに向け未知の距離に挑んだBTCCマシンたちは、オープニングラップで4番手のスピードワークス・モータースポーツ、トム・イングラム(トヨタ・アヴェンシス)が3番手に浮上し、ホンダとトヨタの日本車勢がトップ3でレースを牽引。


 序盤には再びレインシャワーが襲来し、いくつものアクシデントが発生するなか、レース2勝者のサットンは、ホイールの装着が不完全というまさかのミスで30秒のピットストップ・ペナルティを課されて最後尾へ。


 さらに4周目には前2レースでトップ10フィニッシュを果たし、キャリア最高の週末を進めていたシシリー・モータースポーツのルーキー、トム・オリファント(メルセデス・ベンツAクラス)が、スミスのFK2シビックと絡みクラッシュ。これでセーフティカー(SC)が導入されることとなった。


 翌5周目にすぐさまSCインとなったリスタートで動いたのは2番手を走るニールで、2度のタイトル獲得経験者は雨が落ちるなか首位を行くゴフに仕掛けると、新旧シビック対決を制して見事に首位浮上に成功。そのままニール、ゴフ、イングラムのトップ3が後続とのギャップを広げる展開となっていく。


 雨も上がりドライ路面が見えてきた中盤以降、磐石なレースマネジメントを見せたニールがそのまま21ラップを走り抜き、60マイルの記念レースでトップチェッカー。2位ゴフ、3位イングラムとともに”ダイヤモンド・ダブル”戦は日本車勢が表彰台を独占する結果となった。


 これで選手権ポイントでもニールが16ポイント差のランキング3位に浮上し、3位表彰台を獲得したイングラムが再びランク首位に。このレースで早々にフロントスプリッターを破損し、6位に終わったウエスト・サリー・レーシングのコリン・ターキントン(BMW125i Mスポーツ)が6ポイント差のランク2位へと後退している。


 ダンロップMSAブリティッシュ・ツーリングカー・チャンピオンシップの次戦第7戦は、8月11〜12日の週末にロッキンガム・モータースピードウェイでの開催となり、来季カレンダー落ちが決まっている同サーキットで最後のイベントとなる。

R1、R2ともに8位シングルフィニッシュを果たしたルーキーのトム・オリファントだが、R3でSCの引き金に

週末を通じて雨がらみの不安定なコンディションが続き、各所でアクシデントが続発した

R2、R3で連続3位表彰台となったトヨタ・アヴェンシスのトム・イングラムは選手権首位に返り咲き

記念すべき”ダイヤモンド・ダブル”戦は大ベテランのマット・ニールが制した


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