次週NASCARデビューに向け、キミ・ライコネンが本格テストを実施「元F1王者は準備ができている」

2022年8月12日(金)16時28分 AUTOSPORT web

 新興チームながら、今季2022年は最高峰NASCARカップシリーズでつねに優勝戦線に絡む活躍を演じるトラックハウス・レーシングは、8月20〜21日にワトキンズグレンで開催される第25戦『Go Bowling at The Glen』にてシリーズデビューを飾るキミ・ライコネンに対し、総合的なワークアウトを提供。現実のトラックでのシートタイムとシミュレーションをこなした元F1王者に関して、チーム共同所有者のジャスティン・マークスは「すでにキミは走り出す準備ができている」と太鼓判を押した。


 F1参戦休止中の2011年には、WRC世界ラリー選手権への参戦と並行し、当時のカップシリーズ下部組織だったネイションワイド(現エクスフィニティ・シリーズ)とトラック・シリーズにもエントリーした経験を持つライコネンだが、今回トラックハウスが立ち上げた『プロジェクト91』と呼ばれる国際ドライバー向けの3台目参戦枠で、プログラム最初のドライバーとしてストックカーの最高峰クラスにデビューすることとなった。


 そのプロジェクトを立ち上げたマークス代表の目標は、このカテゴリーをモータースポーツで最も魅力的で興味深いもののひとつにすることであり、ライコネンの起用は「ほんの始まりに過ぎない」と強調する。


「我々は彼のカップシリーズ・デビューのために、かなり広範囲にわたる準備プロトコルをまとめて来た。彼が近い将来にシリーズ戦のワトキンスグレンに現れ最初のプラクティスを走行する際に、セッションが始まってすぐに競争力を発揮し、準備ができていると思う。それこそが我々の目標なんだ」と語ったマークス代表。


 8月9日の火曜にトラックハウス・レーシングの本拠地で各種フィッティングの作業に臨んだライコネンは、すぐの11日木曜にはヴァージニア・インターナショナル・レースウェイ(VIR)に移動し、最初のトラックテストを実施した。


 チームとマークス代表によれば、今回テストで使用された車両は開発段階で活用されたオリジナルの“Next-Gen”プロトタイプであり、テストはNASCARのガイドラインの下で許可されたという。シリーズ当局は6月にルールブックを更新し、カップシリーズのスタートに関心のある『エリート資格』を持つドライバーには、テストセクションを追加するという制限緩和策を盛り込んでいる。


 その間、ライコネンは新たなチームメイトのひとりとなるダニエル・スアレスとともにシミュレーターでの時間を過ごし、今後も本戦までにより多くのシミュレーション作業が予定されているという。


「彼は非常に集中している。そのパフォーマンスは実際、とても印象的なものだったよ」と続けたマークス代表。「この仮想空間と現実のトラックタイムにより、彼はブレーキ、ギヤボックス、その他の領域の感触を掴むことができた。その狙いの多くは、トラックの学習とクルマのセットアップ、そしてNext-Gen車両の根本的なフィーリングなどで、それによりレースがどのように組み立てられるかの領域が確実にカバーされるようにしたいんだ」と続けたマークス代表。

今回トラックハウスが立ち上げた『プロジェクト91』と呼ばれる国際ドライバー向けの3台目参戦枠で、プログラム最初のドライバーとしてストックカーの最高峰クラスにデビューすることとなったキミ・ライコネン
新調ヘルメットを携え、8月9日の火曜にトラックハウス・レーシングの本拠地で各種フィッティングの作業に臨んだ
「NASCARで勝負するからには、じっくりと準備期間を設けたかった」と語っていたライコネン


■「彼はルールやその他すべてを理解している」とライコネンを称賛するマークス代表


 さらにトラックハウス・レーシングのワークショップでは、建屋のある敷地内でチームと一緒にライコネンがピットストップ作業の練習をする時間も設けられた。


「それ以外では、ルールと手順、そしてレースがどのように進行するかを理解するだけだ。プラクティスを最大限に活用する方法、予選でタイヤを最大限に活用する方法、そしてペナルティなしでレースを乗り切る方法。ピットストップの手順やイエローの手順、ウェーブアラウンドを理解する方法など、その領域にドラマはない。ただレースするだけだ」


「正直なところ、おそらくこの全体のなかで最も簡単で単純な部分は、彼の適応力と順応率、攻撃性、そしてレースカーでのスピードだと思う。そして彼の準備のレベルは、ここにいる全員にとって深く印象的だったよ」


 言わずと知れた2007年のF1チャンピオンは、キャリア通算21勝を挙げて昨季限りでレギュラーシートを降りた。2011年には前述のとおりカイル・ブッシュ・モータースポーツから下部シリーズにも参戦し、エクスフィニティでは15位、トラックでは27位の成績を収めた。


「その点に関して私は楽観的だよ。そして大きな期待を持っている」と続けたマークス代表。「スピードとレースクラフト、トラックとマシンへの適応はまったく問題にならないだろうね。彼が最初にここアメリカに現れたときと同じように、我々は彼と一緒にワークショップで多くの時間を過ごした。彼はミシガンでの(ロス・チャステインの)ピットペナルティについて質問していたし、短いステージの戦略に関しても訊いたし、ロードコースでのオーバーカットに関しても同じだ」


「彼は本当に多くの仕事と準備をして来た。それは私にとって驚くべきことではないし、彼がF1で長い間活躍してきたのと同じくらい、成功するために必要なことだからね。スピード、準備、知識の観点から、彼は互角にやると思う。課題は、彼が手続き上の観点からレースを理解していることを確認することだけだ。でも彼はルールやその他すべてを理解している」


「そこで我々は彼のために、ピット入口の視点の画像とピットライトの位置、ラインの場所、コミットメントコーンなど、あらゆる種類のものを示すドキュメントを用意した。例えば『ピットボックスを行き過ぎない』『早すぎるピットインを約束しない』『スタート/フィニッシュ・ラインの前に列から離れない』など、スピードリミットも含めペナルティが掛かる可能性を徹底的に排除した」


「そこは重要な課題であり、彼はレッスン中に多くの注意を払っていた。そして彼がクルマに乗り込んだ途端、もう準備は万端だと感じた。私は大きな期待を寄せているし、キミは確実にやってくれるはずだ!」

新たなチームメイトのひとりとなるダニエル・スアレスとともに、シミュレーターでの時間を過ごした
11日木曜にはVIRに移動し、最初のトラックテストを実施。車両は開発段階で活用されたオリジナルの“Next-Gen”プロトタイプを使用した
「彼がクルマに乗り込んだ途端、もう準備は万端だと感じた」と、チーム共同所有者のジャスティン・マークス









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