ガスリーがスーパーフォーミュラ4戦目で初優勝。レースは全域でバトルが勃発

2017年8月20日(日)17時16分 AUTOSPORT web

 2017年全日本スーパーフォーミュラ選手権第4戦もてぎ大会の決勝レースが周回数52周で行われ注目外国人ルーキードライバーのピエール・ガスリー(TEAM MUGEN)がスーパーフォーミュラ参戦4戦目にて初優勝を飾った。


 午前中のフリー走行ならびに予選Q2、Q3の間は雨の心配する必要がない空模様だったが、ピットウォークが開催された12時前後にはまさかの雨。路面も濡れ、傘や雨カッパをまとってピットを歩く観客の姿が見られた。その後、雨はあがったものの、今後の天候はまったく予測のできない状況のなか、決勝前の8分間のウォームアップ走行が始まった。


 路面は乾いた部分、濡れた部分などまだらな状態が散見されるなか、各車最後の調整のためコースへと繰り出していく。装着したタイヤはソフト、ミディアム半々といったところで唯一、野尻智紀(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)だけウェットタイヤを装着、熱入れをし、雨に備えていた。


 走行終盤、20号車のヤン・マーデンボロー(ITOCHU ENEX TEAM IMPAL)が第4コーナー付近でコース上にマシンを停止。グリッドへの試走時、ピットロード閉鎖時刻に間に合わず、グリッド最後尾からのスタートとなっている。


 グリッド上へは多くのマシンがミディアムタイヤで向かったものの、グリッド上でソフトに履き替えるマシン、ミディアムのままのマシン、一旦ソフトに履き替えたものの、最後の最後にミディアムに戻すマシンなど、戦略は分かれたが、最終的にはソフトタイヤ9台、ミディアムタイヤ10台と半々の割合となった。


 路面はさらに乾きつつある中、各車フォーメーションラップへと向かう。全車グリッドに着きグリーンフラッグが振られ、ブラックアウト。ホールショットを奪ったのは2番手スタートの小林可夢偉(KCMG)。ポールポジション(PP)スタートの山下健太(KONDO RACING)は、スタートは悪くなかったものの加速が伸びず2番手へ、1周完了時点では野尻にも抜かれ3番手へと順位を落としてしまった。


 15番手グリッドの塚越広大(REAL RACING)はストールし、最後尾に落ちている。


 ソフトタイヤとミディアムタイヤが入り乱れている中団や後方では若干の順位変動は見られるものの、5周走行した当たりでトップ集団の隊列は一旦整い、上位3台はソフトタイヤを装着する上位3台が後方を引き離していくのかという展開へ。


 スタートで先頭を奪った可夢偉は1分35秒後半から36秒前半のタイムで序盤の周回を重ねていく。同じく1分35秒後半から36秒台で走行していた野尻だが、2台の差は徐々に広がり、7周完了時点で5.3秒に広がっていた。


 7周完了時、早々にピットへ向かったのはPPスタートの山下。ソフトタイヤからミディアムタイヤに交換し13.5秒でピットアウト、最後尾でコースに復帰した。続いて10周完了時に伊沢拓也(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が同じくソフトからミディアムに交換し山下の後ろへと戻る。


 スタートで最後尾に落ちた塚越だが、ソフトタイヤを装着し、軽めの燃料作戦なのか、他車よりペースがよくどんどん順位を上げていき、11周完了時点では8番手まで順位を上げていた。


 18周目、後方から怒涛の追い上げを続けていた塚越広大がピットイン。ソフトタイヤを履いてのスタートのため、ミディアムタイヤに履き替えるかと思いきや、タイヤのサイドウォールには赤いラインが。燃料軽めのまま再びソフトタイヤに履き替えて最後にミディアムタイヤに履き替える2ピット作戦を採った。20周目には他車が1分36〜38秒台で走行する中、塚越は1分34秒842と驚速タイムでポジションを上げていく。


 28周目にミディアムタイヤを装着した中でトップを走る3番手のピエール・ガスリーがピットイン、ソフトタイヤに履き替え、塚越、山下の前になる4番手でコースへ復帰。


 30周完了時点でタイヤ交換義務を果たしていないのは一度もピットに入っていないトップの可夢偉と17番手スタートから2番手まで追い上げてきた石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING)の2台、そして2ピット作戦を採った3番手の塚越のみとなった。


 先頭の可夢偉が動いたのは34周目、ミディアムタイヤに履き替え先頭で戻ろうとしたところ、痛恨のピット作業ミスが起きる。なかなか発進しない可夢偉、メカニックは左リアのナットを再び調整している。最終的にピット作業に30秒もの時間がかかってしまい大きくロス。コースへはガスリーの後ろ3番手の位置に戻ることとなり可夢偉の初優勝は遠のいてしまった。


 また、塚越も同じタイミングで2度目のピットへ向かい、ミディアムタイヤに履き替え11番手の位置へと戻っている。


 この時点でタイヤ交換義務を果たしたなかでのトップは2番手を走るガスリーに。そして、そのすぐ前をピット義務未消化の石浦がトップを走る。


 石浦が動いたのは40周目。ソフトタイヤに履き替え7番手の位置でコース上へと戻り、これでモニター上の順位と実質の順位が同じになりガスリーがトップに立った。


 残り12周となったレースは、コース上での展開を見守るのみに。ソフトタイヤのガスリーは2番手以降のマシンが1分37秒前半のタイムを並べる中、1分36秒前半を刻み続け、差をさらに広げていく。47周完了の時点で2番手の可夢偉との差は18秒425と大きく開いており、ミスとトラブルさえ起きなければ無事にチェッカーを受けられるだろうという安定の展開へ。


 レース終盤はソフトタイヤに履き替え1分34秒〜35秒で追い上げる石浦の走りにも注目が集まった。残り3周、前を走るニックとの差はわずか0.2秒、どこで仕掛けるのか固唾をのむ中、51周目、90°コーナー手前でオーバーテイクボタンを押しヴィクトリーコーナー手前でニックを仕留め4番手に。前日の雨の中、Q1敗退という散々な結果から怒涛の挽回となった。


 そして最終ラップ、注目はトップのガスリーへ。押すとどうなるのだろうとまるで状態を試すかのようにオーバーテイクボタンを幾度も押しながらゴールへと向かったピエール・ガスリーが無事チェッカーフラッグを受け、スーパーフォーミュラ参戦4戦目での初優勝を飾った。


 2位には18秒差でピット作業ミスが激しく惜しまれる可夢偉、3位には6番手スタートのフェリックス・ローゼンクビスト(SUNOCO TEAM LEMANS)が前戦富士大会の2位に続き連続表彰台を獲得した。ただひとり2ピット作戦を採っていた塚越は9位でゴールしている。


 シリーズランキングはランキングトップの石浦が5ポイントを獲得、ランキング2位のアンドレ・ロッテラーは予選Q2敗退の14番手スタート、レース中盤に伊沢拓也(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)に追突し、ドライブスルーペナルティを受ける散々な内容ながらも7位フィニッシュで2ポイントを獲得で2位をキープ。ランキングの順位は変わらずもふたりのポイント差は5.5ポイントと広がった。


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