止まらぬサウジの“スター爆買い”を批判して処分に 国内若手選手の主張が物議「この状態を国民はどう思うんだ?」

2023年8月20日(日)6時0分 ココカラネクスト

C・ロナウド(左)やネイマール(右)といった大スターが相次いで参戦しているサウジアラビア・サッカー界。その現状を嘆く選手もいる。(C)Getty Images

 サウジアラビア・サッカー界は、ここ数年の移籍市場に小さくない影響を与えている。

 昨年12月にサウジアラビア・リーグ1部の名門アル・ナスルが、ポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウドと2年2億ドル(約280億円)というエポックメーキングな契約を締結。これを皮切りに次々と、欧州サッカー界のスターたちとの大型契約を締結させ続けているのだ。

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 今夏も勢いは止まらない。フランス代表のカリム・ベンゼマとエヌゴロ・カンテ、ファビーニョがアル・イテハドと契約。さらに現地8月15日にはアル・ヒラルがパリ・サンジェルマンに所属していたブラジル代表FWのネイマールと2年3億5000万ユーロ(約555億7000万円)の超大型契約(広告料などを含む)を締結。世界を騒然とさせた。

 そのほかにもサディオ・マネやロベルト・フィルミーノ、リヤド・マフレズなどサウジアラビアにやってくる選手たちは枚挙に暇がない。しかし、この“革命”と言っても過言ではない大補強の数々には一部で批判の声も噴出している。

 ルール上は何も問題はない。だが、国外の大物選手を獲得しているクラブの大半は、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子が関与する政府系ファンドの保有するアル・イテハド、アル・ナスル、アル・ヒラル、アル・アハリに集中。さらにイングランド代表MFジョーダン・ヘンダーソンを引き抜いたアル・イテファクもスポーツ省が保有するクラブという背景がある。

 それゆえに国内では明らかな格差が出来ており、主要クラブばかりが贔屓される現状を嘆く選手がいるのだ。今夏にアル・ヒラルを放出され、フリーで同国1部のアル・ハリージに加わったハマド・アル・アブダンは「僕らには資金力なんてない」と、現地8月17日のアル・アハリ戦後に『Yalla sport』をはじめとする複数の国内メディアの前で語った。

「僕らと彼らの間には大きな違いがある。こんな状態を国民はどう思っているんだろう。例えば、アル・アハリには2か月前までチャンピオンズリーグでプレーしていた選手たちがいる。でも、投資ファンドに属さない僕らのようなクラブは、クオリティーがより限られており、明らかに不公平だ」

 選手生活に関わる問題に切実な思いをこぼした23歳。しかし、彼の赤裸々な発言は物議を醸し、ほどなくして処分の対象となった。日刊紙『Al Riyadiah』によれば、アル・ハリージのアラ・アル・ハメル会長は詳細こそ明かさなかったものの、「彼の発言は到底受け入れられるものではない」として内部的な処分を下したという。

 サッカー界で話題を生み出し続けているサウジアラビア・サッカー界。しかし、国内では政府の手厚いサポートを受けるクラブとの戦力差は開き、下位クラブとの軋轢が生まれているようだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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