佐藤万璃音が初優勝、木村武史がGTEクラスを制す。アラゴンは日本人歓喜の週末に/ELMS第3戦

2023年8月27日(日)7時55分 AUTOSPORT web

 8月26日、スペインのモーターランド・アラゴンで行われた2023年ELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズ第3戦で、佐藤万璃音/オリバー・ジャービス/フィル・ハンソン組のユナイテッド・オートスポーツ22号車オレカ07・ギブソンが優勝を飾った。今季から同シリーズに参戦を開始した佐藤は、3戦目にして初めて表彰台の頂点に立った。


 また、LMGTEクラスは木村武史/スコット・ハファカー/ダビデ・リゴン組のケッセル・レーシング57号車フェラーリ488 GTE Evoが制し、木村にとっては嬉しいELMS初優勝となった。


■終盤の燃料補給が勝利のカギに


 今季のELMSは、イタリアのイモラ・サーキットの工事遅れによってスケジュールが変更となり、4月の第1戦バルセロナの後、第2戦は7月にポール・リカールで行われていた。アラゴンでの第3戦はこれに続くもので、土曜夜に4時間、終盤は暗闇のなかを走るナイトレースとして行われた。


 ユナイテッドの22号車は、前日の予選でハンソンのアタックによりポールポジションを獲得。レースではハンソンがスタートドライバーを務め、順調に序盤の90分間をリードした。


 しかし、1時間目が終了する間際に導入されたセーフティカーにより、約6秒あったリードを失ってしまう。


 なお、このセーフティカーは、フォーミュラ・レーシングの50号車フェラーリを駆るGTEリーダーのジョニー・ラウルセンと、インターユーロポル・コンペティション43号車のルイ・アンドラーデが接触したことによるもの。2台はここでレースから脱落している。

レースは現地時間18時スタート、22時フィニッシュのナイトレースとして行われた


 ユナイテッド22号車は、ハンソンから佐藤へマシンを引き継いだ時点で3番手へと後退していたが、佐藤の力走によりトップへと返り咲く。しかし、レース終盤に向けジャービスへと交代すると、4番手まで順位を下げた。


 レースは最後の1時間に入り、残り45分を切ったところでIDECスポールの28号車オレカのポール・ループ・シャタンが1コーナーでパニス・レーシング65号車のヨブ・バン・ウィタートをパス。28号車が優勝に向けて最高のポジションにつけているかに見えた。


 しかしジャービスは最後の給油ピットストップを素早く済ませ、ピット作業後に22号車は6秒以上のリードを築くことに成功。22号車が56秒のストップだったのに対し、シャタンの28号車は67秒を要していた。


 ジャービスはチェッカーを受けるまでにさらにリードを拡大し、ポール・ラファーグ/ローレンツ・ホア/シャタン組の28号車に14.987秒の大差をつけて優勝を飾った。ユナイテッド・オートスポーツのELMS優勝は、昨年9月のスパ・フランコルシャン4時間レース以来のものとなった。


 ジェームス・アレン/カイフィン・シンプソン、アレックス・リンがドライブするアルガルベ・プロ・レーシングの25号車オレカは、予選でブレーキに問題を抱えたため42番手からレースをスタート。


 しかしアレンの力強いオープニング・スティントにより、25分後には総合トップ10にまでポジションアップ。さらに終盤のピットストップでキャデラックのファクトリードライバーであるリンに交代すると、一時トップを走るリカバリーを見せ、最終的には3位表彰台を獲得している。


 パニス・レーシングの65号車オレカが4位。総合5位に入ったAFコルセの83号車オレカ(フランソワ・ペロード/マシュー・バキシビエール/アレッシオ・ロベラ)が、LMP2プロ/アマクラスを制している。


 なお、レース終了間際の1コーナーでは、クール・レーシング47号車をドライブするホセ・マリア・ロペスが、チームメイトの37号車マルテ・ヤコブセンと接触。37号車はリタイアとなり、ロペスの47号車は総合7位でチェッカーを受けている。


 LMP3クラスでは、クール・レーシングの17号車リジェJS P320・ニッサン(アンドリアン・チラ/マルコス・シーバート/アレハンドロ・ガルシア)が優勝。彼らはレース終盤のピットストップで、給油開始前にマシンが接地していなかったとしてレースタイムに20秒加算のペナルティを受けたが、それを跳ね返しての優勝となった。

最後尾から3位を獲得したアルガルベ・プロ・レーシングの25号車オレカ


■木村がスタートから力走したケッセル


 LMGTEクラスでは、予選5番手からスタートした木村組のケッセル・レーシングが勝利を遂げた。


 木村はスタートから2スティント、1時間50分の走行を担当。2スティント目の終盤にはクラス2位にまで浮上すると、マシンを受け継いだハファカーのスティント序盤にクラス首位を奪う。


 その後、ハファカーとリゴンがそれぞれ1スティントずつを担当するなかでもクラス首位をキープし続け、2位のプロトン・コンペティション16号車ポルシェ911 RSR-19に10秒の差をつけてGTE優勝を飾った。


 昨年からELMSに参戦を開始した木村にとっては、これが初優勝。ケッセル・レーシングとしては、昨年の第5戦スパ・フランコルシャン以来の勝利となった。なお、昨年のスパ戦で優勝した際は、木村は日程のバッティングするGTワールドチャレンジ・アジア岡山大会に出場したため不在。木村はその岡山大会で、GTWCアジアのタイトルを獲得していた。


 チームとしては前戦ポール・リカールではハファカーの接触・ペナルティにより表彰台を失っていたが、その雪辱を果たす形ともなっている。


 今回のアラゴンでは、前日に併催のミシュラン・ル・マン・カップでは小泉洋史/ケイ・コッツォリーノ組もフェラーリ296 GT3をドライブし優勝しており、佐藤と木村の勝利はこれに続く形に。日本人ドライバーにとって、最高の結果がもたらされた週末となった。


 ELMSの次戦・第4戦は9月24日、ベルギーのスパ・フランコルシャンで行われる4時間レースとなる。

GTEクラス表彰式の様子。中央がケッセル・レーシングの木村武史

ケッセル・レーシングの57号車フェラーリ488 GTE Evo 2023ELMS第3戦アラゴン

AUTOSPORT web

「優勝」をもっと詳しく

「優勝」のニュース

「優勝」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ