快適性が抜群に向上! SUBARU新型トランポの中、お見せします【井口&山内のBRZコラム Vol.4】

2021年9月1日(水)7時10分 AUTOSPORT web

 今季、スーパーGTのGT300クラスに新型車両を投入したSUBARU BRZ R&D SPORT。そのSUBARU BRZのステアリングを握る井口卓人選手と山内英輝選手が毎レース後、交互に登場するこのコラムですが、今回はちょっと趣向を変えて、今季新たに導入された新型トランスポーター(通称、トランポ)の中を、紹介してもらいました。


 4回目となる今回は井口選手が担当。トランポ紹介の前に、まずは予選までとは一転、決勝で思わぬ苦戦を強いられた第3戦鈴鹿のレースを振り返ります。


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 みなさんこんにちは、井口卓人です。第3戦鈴鹿、一発の速さは見せられたのですが、決勝は悔しい結果に終わってしまいました。


 その前の第4戦もてぎでは走り出しからかなり苦戦しましたが、その後チームと改めてセットアップやタイヤについて考え直し、「仕切り直すぞ」という気持ちで鈴鹿に臨みました。

2021スーパーGT第3戦鈴鹿 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)


 今年、新型SUBARU BRZになったことで、明らかに予選の一発は出るようになりました。ただ、もてぎで苦戦した要因として、サスペンションのジオメトリーなどを硬くしすぎたというか、動かなくしすぎてしまった感じだったので、鈴鹿に向けてはもう少ししなやかに動くような方向を狙いました。


 タイヤに関しても、もてぎでは決勝での安定性を狙い、昨年まで使っていたようなアイテムをリヤに入れたのですが、その状態ではバランスを取りきれなかった部分があったので、調子が良く一発もあった第2戦までの方向性に立ち返るような選択をしました。


 鈴鹿の公式練習は、山ちゃんがハード側のコンパウンドのタイヤで走り出してすぐ、パッとトップタイムを出してくれました。ソフト側を履いたときはトラフィックがあったようなのですが、それがなければもっともっと伸びていたようなセクタータイムだったので、一発に関してはいけるな、という手応えでした。


 ただ、そのあと僕が距離を重ねたタイヤで燃料を積んで走ってみると、想定よりもタイムの落ちが大きい感覚があって、この時点で僕も山ちゃんも少しの不安を抱えていたことは事実です。


 予選ではソフト側のタイヤを履いてアタック。思ったよりもフィーリングが良かったです。もう少し攻め込めた感覚はあったものの、僕はQ2につなぐことが重要なので、堅実に走りました。トップタイムでつなげてよかったですし、ポールは山ちゃんが獲ってくれるだろうという手応えはありました。


 無事、山ちゃんがポール獲得。また、予選では決勝を見据えリヤを守るようなセット変更も試していたのですが、それがいい感触だったので、もう少し大きめにそっち方向に振ってみよう、という確認ができたのも良かったです。

予選では山内がPPを獲得


■オンボード映像を見ていて気付いた修正舵


 ただ、決勝が始まると、懸念が想定以上に顕著に出てしまったというか……。山ちゃんの走りをSUBARU On-Tubeのオンボード映像で見ていると、もう2周目の後半くらいから修正舵がかなり増えてきているのが分かり、「これはもう、リヤが落ちたな」と。


 すぐにセーフティカーが入ったので、タイヤが冷えたら復活するかと思いきや、フロントだけ復活したみたいで、リヤのグリップ感はそのまま。余計にフロントも入るし、トップをキープするのは難しくなってしまったそうです。


 ロングランの感触はソフト側のタイヤ方が良かったので、僕の後半スティントもソフトでいくことにしました。また、トラックポジションを優先するため、これまで鈴鹿のBRZでは定番だったリヤ2輪交換にトライすることになりました。


 最初の数周、リヤ2輪交換の場合は後輪が新しいのでアンダーステアがいつも強くなるのですが、今回はその度合いがとても大きかった。そしてリヤが落ち始めたら一気にバランスが逆転しオーバーステアに苦しむという、ネガな部分がすべてハマってしまうようなスティントになりました。


 無交換だったフロントタイヤの摩耗も厳しく、残り5〜6周はコースにいるのが精一杯の状況。前もちゃんと見えないくらいバイブレーションがひどく、オーバーステアと格闘していたので腕もパンパンになってしまいました……。

決勝では序盤をリードするも、セーフティカー明けから順位を落とした


 予選で前に行けるようにするという、今回の選択は間違っていなかったと思います。ただ、新型車両になって間違いなくシャキっとはしているんですが、なんとなくクルマの剛性とか硬さに対して“逃げ場”がないというか、タイヤに依存してしまっている感覚があるよね、というのは山ちゃんとずっと話しているんです。


 今回試した“しなやかな方向”では、よりクルマの動きが感じられるようになったし、それでも一発のタイムはあそこまで出せた。予選での感覚は、今年一番良かったと思います。あとは決勝に向けて、やわらかく・しなやかにする方向をどこまで、どうやっていくか。レース後チームとは、たとえば一気にスプリングのレートを落としてみる、みたいなことも必要かもしれないという話はしました。


 苦戦はしていますが、予選の一発の速さがあったりと、まだまだ希望の光はあるので、チームと一緒になって、“決勝に強いクルマづくり”にトライを続けていきたいと思っています。引き続き応援のほど、よろしくお願いします!


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今年、新型に改められたSUBARU BRZ R&D SPORTのトランスポーター


 さて、話はガラリと変わりますが、今回は今シーズンからマシンとともに新型に生まれ変わった、僕らのトランポを紹介しましょう。


 残念ながらファンの皆さんはまだ近くで見ることができずにいるかと思うので、少しでも僕らの戦いの“臨場感”を感じてもらえれば嬉しいです。まぁ、写真はちょっとユルめですが(笑)。


■床は一面、SUBARUブルー




 こちら、トランポの1階部分は、エンジニアさんとメカニックさんのスペースになっています。ぼくらドライバーは、ロガーのデータを見に行ったりしますね。写真はわざとらしい感じですけど(笑)。エンジニアさんいわく、1階もキレイになって快適だとか。
 それでは2階に上がってみましょう。前側の大部分はミーティングスペースです。写真はふたりで打ち合わせしてる風(笑)。通常のミーティングでは10人以上が集まります。ドライバーふたりは、この写真の一番奥の“お誕生日席”に座ります。アクリル板を設置するなど、感染症対策にも気を配っています。


 レースウイークは金曜日の午後に最初のミーティングがあり、予選日は公式練習前、公式練習後、予選後。決勝日は朝イチとレース後に、ミーティングをする流れになっています。


 ちなみにこれは以前のトランポからそうだったんですが、床はブルーになってます。やっぱりSUBARUと言えばブルー、ですからね。

 さて、2階の一番後ろが、僕らドライバーのスペースになります。こんな感じで寝っ転がることもできるので快適です。山ちゃんはほとんど寝てますね。寝てるか、面白い動画見て笑ってるか。僕もだいたい同じような感じですが、『山ちゃん、さっきまで笑ってたのにもう寝てる!』みたいなこともあります(笑)。


 リラックスできますし、とにかく新型になって綺麗になったので、気分的に上がりますね。


 あと新型になって何が一番快適かというと、“空調”ですね。2階の壁の部分の密閉性が高まったおかげで、夏の暑さ、冬の寒さに対してものすごーく快適なんですよ! それが一番のポイントじゃないでしょうか。
 そうそう、一番前方、階段の前の“中二階”の部分は、SUBARU On-Tubeの中継スタッフさんたちの前線基地になっていて、ここから映像配信をしてくれています。


 こんな感じで、エンジニアさん、中継スタッフさん、そしてドライバーと、みんなが一丸となって働くために欠かさせない機能が集約されているのが、僕らのトランポなんです。次のレースでも、このトランポから頑張ります!

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