WEC:ハイパーカー参戦のアストンマーティン、投入するレース仕様ヴァルキリーはハイブリッド非搭載に

2019年9月3日(火)14時17分 AUTOSPORT web

 WEC世界耐久選手権の最高峰クラスとして2020/21年から“ハイパーカー”規定が導入されるのにあわせて、同クラスへの参戦を開始するアストンマーティンは、投入するアストンマーティン・ヴァルキリーをハイブリッド非搭載とすることを明らかにした。


 2020年9月からWECのLMP1クラスに変わる形で導入されるハイパーカー規定では、ハイブリッドシステム搭載の義務はなく、ノンハイブリッド車でも参戦できる。


 アストンマーティンは、このハイパーカーにF1を戦うアストンマーティン・レッドブル・レーシングとのコラボレーションで誕生したハイパーカー、ヴァルキリーで参戦することを表明済みだ。


 レース仕様のヴァルキリーについては、6.5リッターのV12エンジンを搭載することや、F1で培ったテクノロジーも注ぎ込まれることなどがアナウンスされているが、ハイブリッドシステムを搭載するかについては言及されていなかった。


 アストンマーティン・レーシングのデイビッド・キングCEOによれば、最高出力1160馬力を誇るV12エンジンを、ハイパーカー規定で定められた最高出力750馬力へデチューンする必要があり、そのためハイブリッド非搭載のほうが合理的と判断したという。


「ヴァルキリーにどのエンジンを搭載するかを決定した時点で、ハイブリッドに関しても自然と答えが出た」とキングCEO。


「電気の力と内燃機関を組み合わせれば、大きなパワーを得られることは確かだ。しかし、我々はヴァルキリーに搭載するV12エンジンの強大なパワーをレギュレーションに合わせて制限しなくてはならないんだ」


「それに巨大で重さのあるV12エンジンと、(同じく重量のある)ハイブリッドシステムや関連システムを共存させることは困難だった。市販モデルのヴァルキリーにはハイブリッドシステムが組み込まれるが、LMP1仕様のヴァルキリーはハイブリッド非搭載となる」


 アストンマーティンはハイパーカー規定の策定時に、ハイブリッド車とノンハイブリッド車の性能差を調整するよう進言してきたメーカーのひとつとみられている。


 2019年6月に発表されたハイパーカー規定では、ハイブリッドシステムで駆動できるのは前輪のみとされたほか、パワーの出力タイミングについても規制が課せられており、ハイブリッド車/ノンハイブリッド車の性能差を埋めるような取り組みがなされている。


 キングCEOはレース仕様ヴァルキリーの予備開発段階で、ハイブリッドシステムを組み込むことは難しいとの結論に至っていたことも示した。


「ヴァルキリーにV12以外のエンジンを搭載するつもりはなかったから、ハイブリッドについては自然と結論が出た。だから我々にとって二輪駆動車と四輪駆動車の性能調整に関する議論は重要なものだった」


「もしハイブリッド車が有利な規定になっていれば、我々のように二輪駆動車を使うチームは天候によって勝敗が左右されてしまうことになる」


 最後にキングCEOはマシンの開発状況について、デビュー戦となる2020/21年開幕戦まで1年の猶予があることから、まだ開発初期段階であることも明らかにしている。


「我々のマシンは来年にシルバーストンでデビューを果たすし、参戦を表明してからまだ2〜3カ月しか経っていない。だからまだ(開発は)初期段階だよ」


「まだシミュレーションとデザインを繰り返しているところだ。そのあと、走行テストをこなすためにマシンを作ることになるだろう。この作業は来年初めになるだろうし、これにあわせてBoP(性能調整)に関するプロセスもスタートする」


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