「速さだけでなく強さも大切」CIVIC TYPE R CNF-Rは熱に苦戦。プロジェクトリーダーが語る難しさ

2023年9月5日(火)7時10分 AUTOSPORT web

 9月3日に栃木県のモビリティリゾートもてぎでENEOSスーパー耐久シリーズ2023 Supported by BRIDGESTONE第5戦『もてぎスーパー耐久 5Hours Race』の決勝。レース後には、ST-QクラスにCIVIC TYPE R CNF-Rで参戦するTeam HRCの岡義友プロジェクトリーダーがマシンの進化ポイントを語った。


 今季の第2戦富士24時間から、スーパー耐久シリーズを運営するSTOが認める開発車両が参加できるST-Qクラスへの参戦を開始したTeam HRC。FL5型ホンダ・シビック・タイプRをベースとしたマシンは、CNFの名のとおりカーボンニュートラルフューエルが使用され、レースでは将来のカスタマー活動を見据えての車両およびパーツ開発が行われている。


 チームは第3戦SUGOと第4戦オートポリスでも、開発車両が参加できるST-Qのメリットを活かし、車体から足回り、そしてカーボンニュートラル燃料など、さまざまな改良を実施してきた。岡プロジェクトリーダーはここまで3戦を終え「ストレートスピードがすごく伸びる」という部分をアドバンテージと捉えていたが、一方でそのスピードを受け止めるブレーキに課題を持っていたと振り返る。


 第5戦の舞台となるモビリティリゾートもてぎは、ストップ&ゴーの連続でブレーキに厳しいサーキットとして知られている。そんなもてぎ戦に向けて、チームはCIVIC TYPE R CNF-Rのブレーキにさらなるアップデートを施し、「マシンをしっかりと止めることができた」と手応えを掴む。


 さらに今回の第5戦に向けて、車両の冷却効率を上げるため、フロント部分の熱を上から逃がすためにボンネットに大きなルーバーを追加した。加えて、さらに熱を逃がすためにフロントタイヤのフェンダー上部にも排熱用ルーバーを設置。この改良の効果もあり、予選ではST-Qの2番手タイムを記録し、岡プロジェクトリーダーは「非常に満足いく結果を得ることができました」と言葉を残した。

2023スーパー耐久第5戦もてぎ CIVIC TYPE R CNF-R(武藤英紀/伊沢拓也/大津弘樹)


 迎えた決勝ではFIA-GT3車両のST-Xクラス、FIA-GT4車両のST-Zクラスに次ぐ第1グループの22番手から5時間レースのスタートを切ったCIVIC TYPE R CNF-R。しかし、レースの途中では運悪くタイヤトラブルに見舞われてしまったほか、酷暑のなかで「熱に翻弄」された結果、水漏れなどのトラブルも発生してしまったという。


 このトラブルへの修復対応などもあり、CIVIC TYPE R CNF-Rは第5戦を総合39位、ST-Qクラスでは最下位となる7位でもてぎ戦を終える結果になった。前戦3位からの喜びから一変、Team HRCのホームレースでもあるもてぎで厳しい戦いを強いられた岡プロジェクトリーダーは、レースの難しさを語る。


「私たちはマシンの“速さ”を手に入れ始めてきました。ですが、今回のレースでは速さだけではなく“強さ”も大切なんだということが非常によく分かり、大きな勉強になりました。残りの2戦では、しっかりと“強さ”の部分を磨き込んで戦っていきたいと思います」


 なお、CIVIC TYPE R CNF-Rを駆る武藤英紀、伊沢拓也、大津弘樹のドライバー3名のコメントは「コントロール性が良くて運転しやすい」とポジティブなものが多かったという岡プロジェクトリーダー。次戦となる第6戦岡山に向けては、今回悩まされた熱への対応をもう一度見直し「3時間を全開でいけるような」レースをしていきたいと続けた。


 開発車両が参加できるクラスの利点を最大限に活かし、毎戦のように進化を続けるST-Qクラスの車両たち。自動車メーカーが挑戦するレース現場での車体開発は注目すべきポイントも多く、次戦以降の進化も楽しみにしたい。

2023スーパー耐久第5戦もてぎ ST-Qクラスの表彰式

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