世界を知るふたり、ピエール・ガスリーとスティーブ・クラークが語るスーパーフォーミュラ

2017年9月24日(日)10時25分 AUTOSPORT web

 9月23〜24日、スポーツランドSUGOで開催されている全日本スーパーフォーミュラ選手権第6戦。予選日である23日土曜日に行われたサタデーミーティングで、エンジニアのスティーブ・クラーク(SUNOCO TEAM LEMANS)とピエール・ガスリー(TEAM MUGEN)がインタビューに答えた。


■世界を経験したエンジニア、クラークが見たスーパーフォーミュラ


大嶋和也のエンジニアを務めるスティーブ・クラーク

 第4戦もてぎからSUNOCO TEAM LEMANSに加入し、大嶋和也のエンジニアを担当するクラーク。来日する以前にはF1のメルセデスAMGやフェラーリなどでシニアエンジニアを務め、直近2年間ではDTM(ドイツツーリングカー選手権)でエンジニアを担当していたという、まさに世界を知る名エンジニアだ。


 前戦オートポリスでは予選15番手の大嶋を3位表彰台まで導く驚きのロングスティント戦略で、早速その実力の片鱗を見せた。そんなクラークの目に、スーパーフォーミュラというシリーズは果たしてどう映っているのだろうか。


「僕はこの2年間DTMをやってきたし、いろいろな経験をしてきた。そのなかでもスーパーフォーミュラの(クルマの)パワーには驚いているよ」


 クラークにとって、スーパーフォーミュラのマシンであるSF14のダウンフォース、ヨコハマタイヤのグリップ、そしてエンジンのパワーといった全体的なパフォーマンスの高さは想像以上だったようだ。もちろんハード面だけではない。参戦しているドライバーについても、クラークは高く評価する。


「スーパーフォーミュラには経験豊富なすばらしい日本人のドライバーがたくさん参戦しているよね」


 ただ、同時にスーパーフォーミュラは難しいシリーズでもあるという。たとえば海外の若いドライバーにスーパーフォーミュラへの参戦を勧めたいか、という質問にはやや否定的な答えが返ってきた。


「(GP2よりも)クルマが速くてグリップも高いんだ。スーパーフォーミュラはとても難しいと思うよ。例えばだけど、日本食が大好きで飛行機に12時間乗り続けることをまったくいとわないのであれば是非とも(参戦を勧めたい)、という感じかな」


 クラークの言葉に付け加えるならば、まずスーパーフォーミュラのダウンフォースはGP2以上であり、身体的に若手ドライバーには厳しいということ。そして1秒以内に10〜15台が並ぶようなタイム差が僅差の戦いになっている現在のスーパーフォーミュラはカテゴリーとして成熟しきっており、新規の参入は簡単ではないということ。


 それこそ、開幕前のテストでは好調だったガスリーがシーズン序盤に苦労したのも、予選のトラフィックの処理や一発のタイムの出し方などスーパーフォーミュラならではの戦い方をマスターするのに時間が必要だったからだ。


 さらに未経験のサーキットの攻略などなど、ストフェル・バンドーンやガスリーのようにGP2チャンピオンドライバーやF1ドライバークラスでないと初年度からの活躍は難しいことを熟知しているからこそ、クラークは安易に海外の若手にスーパーフォーミュラ参戦を勧められないのだろう。


■GP2チャンピオン、ガスリーがスーパーフォーミュラで見つめるもの


サタデーミーティングに登場したピエール・ガスリー

「GP2からそのままF1に昇格することを若いドライバーは夢見ているわけだから、チャンスがあるのならそのまま(F1に)いけるといいよね」


 GP2からF1という道筋ではなくスーパーフォーミュラ参戦という選択肢があると、若いドライバーにアドバイスしたいと思う?──そんな質問にこう答えたのはガスリーだ。2016年にGP2チャンピオンを獲得しながら2017年シーズンはF1のシートをつかむことができずスーパーフォーミュラに参戦する形となったガスリー。彼にとっては「イエス」と答えにくい心情があるのだろう。


 ガスリーはスーパーフォーミュラに参戦した印象をこうも語った。「僕はスーパーフォーミュラに参戦できて、いい経験をしていると感じているんだ」その口ぶりからは、あくまでも自身の目標はF1だという真意が見え隠れする。


 海外のドライバーにとって、スーパーフォーミュラはあくまでF1で活躍するための通過点にしか過ぎないのかもしれない。それでもクラークやガスリーのように世界トップクラスのエンジニア、ドライバーがスーパーフォーミュラに参戦することは、日本のエンジニア、ドライバーにとって大きな刺激になり、日本のモータースポーツのさらなる発展につながる。


 今後も世界に開かれたスーパーフォーミュラとなるためにも、JRP(日本レースプロモーション)が担う役割はますます大きい。


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