バルセロナにも通用した“インザーギ・インテル”の武器とは【CL試合分析】

2022年10月14日(金)21時20分 FOOTBALL TRIBE

インテル シモーネ・インザーギ監督 写真:Getty Images

2022/23シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ・グループステージ第4節が10月13日(日本時間)に行われ、バルセロナとインテルが3-3で引き分けた。


敵地カンプ・ノウで勝ち点1をゲットし、グループC2位の座を死守したインテル(勝ち点:7)。バルセロナに先制されながら、いかに劣勢をはねのけたのか。両軍の攻防を振り返りながら、インテルの勝ち点奪取の要因を分析する。




バルセロナvsインテルのスターティングメンバー

バルセロナの猛攻を受けたインテル


基本布陣[4-1-2-3]のバルセロナは、マイボール時に[3-4-3]の隊形に移行。隊形変化後の最終ラインは右からエリック・ガルシア、ジェラール・ピケ、マルコス・アロンソの3人。中盤の底にセルヒオ・ブスケツ、左右のインサイドハーフにセルジ・ロベルトとガビが据えられ、トップ下はペドリが受け持つ。3トップにウスマン・デンベレ、ロベルト・レバンドフスキ、ハフィーニャが配置された。


バルセロナは攻撃時に[3-4-3]の隊形に移行

これに対しインテルはデンゼル・ドゥンフリースとフェデリコ・ディマルコの両ウイングバックが最終ラインに下がり、[5-3-2]の守備隊形を形成。


ラウタロ・マルティネスとエディン・ジェコの2トップの脇からボールを運んだガルシアやアロンソ、ハーフスペース(ペナルティエリアの両脇を含む、左右の内側のレーン)を上下動しチャンスメイクを担ったS・ロベルトの存在に手を焼いたものの、インテルはミラン・シュクリニアル、ステファン・デ・フライ、アレッサンドロ・バストーニの長身3センターバックを中心に相手のクロスを跳ね返し続ける。S・ロベルトのクロスに反応したデンベレにドゥンフリースが付ききれず、先制ゴールを奪われたが(前半40分)、前半に関してはバルセロナの3トップによるペナルティエリアへの侵入をまめに捕捉できていた。


バルセロナ MFセルヒオ・ブスケツ 写真:Getty Images

バルセロナに押し込まれる時間が長かったなかで、インテルはシモーネ・インザーギ監督のもとで磨き上げたロングカウンターや、相手の中盤の選手を釣り出すビルドアップを随所に披露。前半8分の攻撃では、ニコロ・バレッラがセンターサークル付近でのボールキープでブスケツを誘い出し、右サイドのドゥンフリースにパス。ブスケツがいなくなったことで生まれたバルセロナの最終ラインと中盤の間にドゥンフリースからのパスが通ると、このボールがジェコとマルティネスに繋がり、決定機を迎えた。


前半28分にも、バルセロナのコーナーキックのこぼれ球をバレッラが拾い、敵陣へボールを運ぶ。同選手のパスを受けたドゥンフリースが相手GKマルク・アンドレ・テア・シュテーゲン強襲のシュートを放っている。インテルとしては、これらのチャンスを物にしておきたかった。


インテル MFハカン・チャルハノール 写真:Getty Images

“インザーギ・インテル”の持ち味が凝縮された後半


バストーニのクロスに反応したバレッラが後半5分に、ハカン・チャルハノールのロングパスを胸トラップでコントロールしたマルティネスが同18分にゴールを挙げ、逆転に成功したインテル。


バレッラのゴールの直前にあたる同4分に、自陣ペナルティエリア付近でボールを受けたバストーニを起点にビルドアップを開始。ここでも自陣後方に降りたチャルハノールがペドリを、ヘンリク・ムヒタリアンがブスケツを釣り出したことで、ミドルゾーンまでボールを運ぶことに成功。これが相手のファウルやインテルのフリーキックからの2次攻撃、最終的にはバレッラのゴールに繋がっている。


マルティネスのゴールの起点となったのは、ハーフウェイライン付近でのチャルハノールのインターセプト。インザーギ監督仕込みのビルドアップやカウンターが、後半にも物を言った。


1点のリードを得たインザーギ監督は、後半31分にジェコとチャルハノールをベンチに下げ、DFラウル・ベッラノーバとMFロビン・ゴセンスを投入。インテルの守備隊形は[5-3-2]から[5-4-1]に変わったが、最終ラインを高く保ったことで自陣に釘付けにならず。同37分にレバンドフスキのシュートがインテルの選手に当たり、ボールの軌道が変わってゴールに吸い込まれるという不運に見舞われたものの、この7分後にGKアンドレ・オナナのロングパスから始まった速攻をゴセンスが結実させ、インテルが再びリードを奪う。守備一辺倒にならなかったことが功を奏した。


バルセロナ FWロベルト・レバンドフスキ 写真:Getty Images

後半アディショナルタイムに、ガルシアのクロスにヘディングで合わせたレバンドフスキにゴールを奪われドロー決着となったものの、バルセロナの逆転は阻止。“インザーギ・インテル”の真価が発揮された一戦だった。


グループステージ全6節終了時点でインテルとバルセロナが勝ち点で並んだ場合、大会規定により直接対決の戦績(第3節と今節)で上回るイタリアの名門が決勝ラウンドに進出する。3位バルセロナとの勝ち点差3を維持したインテルは、次節のプルゼニ戦で白星を飾ればグループステージ突破が決まる状況だ。


今季のセリエA9試合消化時点で、5勝4敗の7位と出遅れたインテル。バルセロナとの連戦で持ち前の速攻やビルドアップが通用したことは、今後の巻き返しに向けてポジティブな要素と言えるだろう。

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