WEC:澤圭太、接触が響き無念の4位。ランキング首位陥落に「これが世界選手権の厳しさか」

2017年11月10日(金)19時42分 AUTOSPORT web

 WEC世界耐久選手権は11月5日、第8戦上海の決勝レースが行われ、澤圭太を擁すクリアウォーター・レーシングの61号車フェラーリ488 GTE(澤/ウェン-サン・モク/マット・グリフィン)はLM-GTEアマクラス4位でレースを終えた。


 澤にとって母国レースとなった前戦富士では、天候悪化の影響で導入されたセーフティカーランがチームにとって不運なタイミングとなったことで惜しくも2017年シーズン2勝目を逃したクリアウォーター・レーシング。


 しかし、チームは同ラウンドでクラス2位に入り、チームランキングではライバルを2ポイント差で逆転し第5戦メキシコ以来となるランキング首位に浮上して第8戦上海を迎えた。


 走りはじめの3日(金)、オーナー兼ドライバーのモクが富士と同様に走り慣れたコースということもあり好走をみせ、エースのグリフィン、そして澤も順調にチェック走行を重ねて初日をクラス3番手で終える。

日本人として唯一LM-GTEアマクラスにフル参戦している澤圭太


 翌日行われた公式予選ではいつものようにモクとグリフィンがそれぞれアタックを担当。


 20分間のセッションで両名とも自己ベストをマークしていくが、グリフィンが「想定よりもオーバーステア傾向にあった」というマシンバランスが災いしてか、タイムを伸ばしきれず予選はクラス4番手となった。


 迎えた決勝は映画俳優のジャッキー・チェンによるグリーンフラッグ振動によってフォーメーションラップが開始され、現地時間11時にスタートが切られていく。


 予選4番手の61号車フェラーリは澤が第6戦アメリカ、第7戦富士に続いて3戦連続でスタートドライバーを担当。スタート直後に一瞬コースアウトする場面もあったが、すぐに先行する2台のポルシェ911 RSR勢をオーバーテイクし、クラス3番手に浮上した。

グリーンフラッグを振るジャッキー・チェン


 その後はタイヤの摩耗を抑えながら首位を走るアストンマーチン・レーシングの98号車アストンマーチン・バンテージ、2番手のスプリット・オブ・レースの54号車フェラーリ488 GTEを追撃するが背後につくまでには至らず。


 スタートから約1時間、54号車フェラーリに続いてピットに戻った61号車フェラーリは澤からモクに交代。モクはクラス3番手で復帰後、好ペースで54号車フェラーリの背後につける。


 しかし、そんな接近戦のなかでモクがドライブする61号車フェラーリは54号車フェラーリとLMP2カーに挟まれる形で接触。3台ともにマシンにダメージを負いピットインを強いられてしまった。


 ライバルの54号車フェラーリがリタイアとなるなかチームは懸命にマシンを修復し、わずか15分の作業時間で61号車フェラーリをコースに送り出す。

決勝をLM-GTEアマクラス4位で終えた61号車フェラーリ488 GTE


 レース中盤以降、チームはモク、グリフィン、澤とバトンをつなぎラストスティントをエースのグリフィンに託すも15分間のタイムロスは取り戻せず。最終的にクラストップから6周遅れの4位完走となった。


 この結果、ランキングは今戦で優勝した98号車アストンマーチンがトップに浮上し、クリアウォーター・レーシングは11ポイント差のランキング3番手に後退。間のランキング2番手にはデンプシー-プロトン・レーシングの77号車ポルシェ911 RSRが入った状態で最終戦バーレーンを迎える。


 第8戦を終えて「今回はアストンマーチンが速く、そのなかで2位を取りに行かなくては行けないレースだったので、この結果は残念です」とレースを振り返った澤。


「第6戦オースティン、そして前回の富士戦での好走を継続できる状況だっただけに、決勝中の接触はただただ残念です。レーシングアクシデントと判定されたので文句を言える立場ではありませんが……」


「個人的には決勝中のアベレージラップでは4位と健闘し、自分の力強い走りが今回も発揮できたことには満足をしています。また、コース復帰が難しいかもしれない大きなダメージを負ったマシンをわずか15分で修復し、4位完走をもたらしてくれたチームのプロフェッショナルな仕事に感謝したいですね」


 タイトル争いについては「挑戦1年目の世界選手権でチームタイトル争いに加われていることだけでも素晴らしいことなのかもしれませんが“タラレバ”とちょっとの運さえあれば、もっと楽な戦いができているはず。これが世界選手権の厳しさなのかもしれません」とコメント。


「当然チャンピオンは獲りたいですし、諦めずに全力で最終戦バーレーンに臨みたいとは思いますが、シーズンを気持ちよく終えられるように納得のレースができることを切に望みます」


 WEC第9戦は11月16〜18日に中東・バーレーンで開催される。


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