故ケン・ブロックの“忘れ形見”となる『エレクトリカーナ2:ザ・メキシコシティ』が公開

2023年12月7日(木)17時20分 AUTOSPORT web

 モータースポーツ界はもとより、エクストリーム・カルチャーのシーンにも絶大な影響を与えた故ケン・ブロックだが、年明けの2023年1月2日にスノーモービルでの撮影中に不慮の事故に遭遇し、惜しくも還らぬ人となってしまった。そんな“レジェンド”の忘れ形見とも言うべき、人気動画シリーズ『ケン・ブロック・ジムカーナ』の最新作かつ未公開となっていた最終エピソード『Electrikhana TWO:One More Playground; Mexico City in the Audi S1 Hoonitron』が、この12月6日付けで公開された。


 彼の主宰したHoonigan(フーニガン)のチームとアウディスポーツが協業した同フィルムは、55歳で急逝した悲運の事故のほんの数週間前となる、2022年11月に掛けてメキシコシティで撮影が敢行された。この棚上げされていた未完のプロジェクトを公開に漕ぎ着けることは、ブロック本人を知る撮影クルー、そして家族にとっての「悲願だった」という。


 そのフーニガンやアウディスポーツにとって「パフォーマンスEVの世界で可能なことの限界を押し広げ続ける」ことを掲げ、オールエレクトリックの『Hoonitron(フーニトロン)』としては前作ラスベガスに続く2作目となる今回は、専用開発のフル電動モデル『アウディS1フーニトロン』にも大幅な改良が加えられている。


 ワンオフのカーボンファイバー製シャシーフレームに電気モーターを2基搭載した全輪駆動のEVモンスターは、総出力500kW(約680PS)を誇り、モータースポーツの“最高権威”であるFIA国際自動車連盟の安全基準を完全に満たしている。


 そこへ前作の撮影を経たブロック本人のフィードバックをもとに、彼特有の「アグレッシブでありながら正確なドライビングスタイルにさらに対応できるようにした」という進化版は、新しいカラーリングに加えて重量の軽減、操縦性の向上、ギヤシフトの新プログラムの採用などが含まれる。

今回は、専用開発のフル電動モデル『アウディS1 e-tron quattro Hoonitron』にも大幅な改良が加えられている
この11月に先行公開されていた予告編にもあったとおり、映像はプラザ・デ・トロスの闘牛場から始まる
この棚上げされていた未完のプロジェクトを公開に漕ぎ着けることは、ブロック本人を知る撮影クルー、そして家族にとっての「悲願だった」という


■2200万人の人口を抱えるメキシコシティの街中を走行


 その最大の特徴として、パドルシフトで制御される電気モーターの車輪速度を複数レベルでプログラムする“シミュレート・ギア”機能を搭載。これにより制御されたスライドと正確なドーナツターンを可能とし、わずかなスロットル操作で徐行のような速度から、一気に200km/h近い“ホイール回転数”に到達する。


 さらに新たなプロジェクトに臨むブロック本人も“スタンディングAWDバーンアウト”のための逆駆動ホイールや、4輪駆動からリヤ駆動への瞬時の切り替え、シャシーバランスに影響を与える電動ディファレンシャルのチューニングなど、EVドライブトレーンで可能になる「まったく新しい運転機能を探求したい」と考えていたという。


 撮影が実施されたメキシコの首都は、居住圏に2200万人の人口を抱える世界最大の都市のひとつであり、近代的な空港に始まりらせん状に続く駐車場エントリーに至るまで、魅力的な場所が提供された。


 この11月に先行公開されていた予告編にもあったとおり、映像はプラザ・デ・トロスの闘牛場から始まり、闘牛のファイティングポーズよろしく前後のアクスルを“逆回転”させることで停止状態のまま白煙の“雲”に包まれる、ドリフトアーティストへオマージュを捧げる象徴的なシーンから幕を開ける。


 さらに、実業家カルロス・スリムのコレクションを所蔵するソウマヤ博物館周辺のラウンドアバウトでおなじみのトリックを披露し、高層ビル群のエントランスやファサードをバックに、メキシコシティ(ベニート・フアレス)国際空港の敷地内へ突入する。


 そしてエンドクレジット全体を通じて、懐かしいジムカーナ・シリーズへのトリビュートで“ファイナル”は締めくくられている。
動画URL(YouTube):https://www.youtube.com/watch?v=U4FAqwkn-pc

パドルシフトで制御される電気モーターの車輪速度を複数レベルでプログラムする“シミュレート・ギア”機能を搭載
高層ビル群のエントランスやファサードをバックに、メキシコシティ(ベニート・フアレス)国際空港の敷地内へ突入する
ブロック本人も、EVドライブトレーンで可能になる「まったく新しい運転機能を探求したい」と考えていたという

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