宇田川が、湯浅がジャパニーズドリーム続々。過去最大昇給率はワケありの米帰りではなく、あの天才?

2022年12月7日(水)14時19分 ココカラネクスト

(C)Getty Images

 ジャパニーズドリームとも呼べる昇給率だった。オリックス・宇田川優希が12月6日、契約更改交渉に臨み、年俸450万円から1250万円増の来季年俸1700万円で契約を更改した。

「シーズン後半からでこれだけ評価してもらえてうれしい。来年は1年間通して貢献したい」

 宇田川は7月末に支配下登録され、その際に年俸が240万円から450万円に昇給していた。1年前と比較すると、実に608%アップという驚異のアップ率となった。

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 驚きなのはそれだけではない。支配下登録が7月末なのだから、実働わずか3か月でそれだけの昇給を勝ち取った。1軍デビューは8月3日の西武戦。ビハインドの場面での登板が続き、イニングまたぎの好投が味方の逆転を呼び、初白星がついたのは1か月後の9月8日の西武戦だった。そこからはリードした場面での登板も増え、9月13日の楽天戦で初ホールドをマーク。19試合に投げ、2勝1敗3ホールド、防御率0・81という数字で、チームのリーグ連覇に貢献した。

 そして全国のファンに痛烈なインパクトを刻んだのがヤクルトとの日本シリーズでの熱投だった。第4戦でイニングまたぎの好投でシリーズ全体の流れを変えるなど、4試合で5回2/3を投げて無失点、10奪三振。MAX159キロの直球と、落差の大きいフォークを連投する背番号96の無名選手に「こんな隠し玉いたのかよ」とセ・リーグを中心に他球団のファンを驚かせた。「真のMVPは宇田川」「宇田川くんにも何か賞を」と表彰なしの結果にネット上には不満の声があふれた。

 ではプロ野球史上、最大のアップ率で昇給を果たした選手は誰なのだろうか。

 長い歴史の中で最大は、2010年の契約を楽天と更改した福盛和男とされている。前年の年俸440万円から、4600万円増の5000万円へと昇給。アップ率は1036%で、これが最大と認知されている。

 だが、この数字には裏がある。福盛は2007年オフに楽天からFA権を行使。2008年からレンジャーズと2年総額300万ドル(当時約3億4000万円)の契約を結び渡米した。

 しかしメジャーでは4試合の登板に終わり、2009年6月に解雇。福盛は入団テストを経て、古巣の楽天に復帰した。その際に年俸440万円となったのだが、実はこのシーズンはレンジャーズからもサラリーを得ている。解雇でも2年契約の支払い義務は消えず、150万ドル(当時約1億7000万円)をレンジャーズからもらいながら、楽天でプレーしていたわけである。

 復帰した福盛は守護神として輝きを取り戻した。35試合で7勝1敗、10セーブ4ホールド、防御率2・18でチームの2位躍進に貢献。球団創設初のクライマックス・シリーズ進出の立役者の一人となった。

 その功績から、翌年は年俸5000万円で更改したのだが、前年は1億7000万円以上を手にしており、事実上の減俸状態にあったわけだ。

 シンプルなアップ率でみれば、それに続く1995年のオリックス・イチローの900%アップが、歴代最高とみていいだろう。デビューと同時にシーズン210安打を放ち、驚異の打率・385でリーグ優勝に貢献。年俸800万円から7200万円増の8000万円と一気にトッププレーヤーの仲間入りを果たした。

 それに続くのが、11月30日に契約更改したばかりの阪神・湯浅京己。500万円から4200万円アップの来季年俸4700万円で更改し、球団史上最高の840%増を成し遂げた。

 サラリーマンからしたら、うらやましい限りの驚くべき昇給率。生活を一変させる彼らが、30年近く前のイチローのようにスターダムを駆け上がっていくのか。来季のマウンド上での姿が今から楽しみだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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