Mスポーツ・フォード、2024年WRCドライバーを発表。フルモーとミュンスターがWRC2から昇格

2023年12月22日(金)19時46分 AUTOSPORT web

 WRC世界ラリー選手権に参戦しているMスポーツ・フォード・ワールドラリーチームは、来季2024年に『フォード・プーマ・ラリー1』をドライブする新しいドライバーラインアップを発表。ともにラリー1カーでのラリー参戦経験を持つアドリアン・フルモーとグレゴワール・ミュンスターの2名が、トップカテゴリーでフルシーズンを戦うこととなった。


 イギリスの名門ラリーチームが、2024年シーズンに向けてドライバーラインアップを一新した。今シーズン、2019年のワールドチャンピオンでMスポーツ出身のオット・タナクをふたたびチームに迎え、第2戦スウェーデンと第11戦チリで優勝を飾ったMスポーツだが、そのタナクはわずか1年でヒョンデ・シェル・モビス・ワールドラリーチームに戻ることが決まっていた。


 一方、自身初のフルシーズンエントリーとなったピエール-ルイ・ルーベは、メカニカルトラブルなど度重なる不運にも加え、自身のミスもあって思うようなシーズンを送ることができず、最終戦ラリージャパンではその席をフルモーに譲ることに。ひと足早くシーズンを終えた彼は次のシーズンに向け、「自分にできること、自分の力を示したい」と語っていたが、待っていたのは非情にもレギュラーシートの喪失だった。


 対してフルモーは、約1年ぶりのラリー1カーでのドライブとなったラリージャパンでは早々に姿を消してしまったものの、BRCブリティッシュ・ラリー選手権でシリーズタイトルを獲得。WRC2でも速さを示し10月のセントラル・ヨーロピアン・ラリー(CER)のRC2クラスで圧倒的な勝利を収めてWRC2シーズンを締めくくっている。


 ラリー1“再昇格”となるフルモーのチームメイトとして指名されたミュンスターは2023年の開幕時、まだチームにとっての新顔だった。このルクセンブルク人ドライバーは、フルモーとともにフォード・フィエスタ・ラリー2でサポートカテゴリーであるWRC2クラスを戦い、ギリシャではWRC2チャレンジャーでクラス優勝を果たした。また、シーズン序盤にはエストニアで開催されたジュニアWRCでフィエスタ・ラリー3を駆り、カテゴリー優勝を飾った。


 さらに、24歳の彼はシーズン終盤の第11戦チリと第12戦CERでハイブリッドシステムを搭載したプーマ・ラリー1をドライブ。両イベントで完走し、WRC初開催イベントとなったCERでは総合7位完走を記録した。


「2024年は、過去12カ月間とは異なる新しいアプローチを取ることになる」と語るのは、Mスポーツ・フォードWRTを率いるリチャード・ミルナー代表だ。


「若い才能を開発しその力を証明する手助けをすることは、WRCシーズンに取り組むためのエキサイティングな方法であり、トップドライバーの何人かが完全なチャンピオンシップを過ごさない今、我々は強く驚くべくパフォーマンスを発揮するチャンスがある」


「チームは数週間後にほぼ白紙の状態で再スタートする意欲に燃えている。アドリアン(・フルモー)、アレックス(・コリア/コドライバー)、グレゴワール(・ミュンスター)、ルイス(・ルッカ/コドライバー)は皆強い決意とモチベーションを持った素晴らしい選手たちだ。若いチームは大きなエネルギーを生み出すことができ、そこから素晴らしいものが生まれるので、彼らと一緒に働き始めるのが待ちきれない」

2024年のWRCトップカテゴリーフル参戦が決まったグレゴワール・ミュンスター


■フルモー&ミュンスターを意気込みを語る


 計10戦に出場した2022年のラリー1プログラム以来、トップカテゴリーに復帰するフルモーはふたたび得たチャンスをものにしようとしている。


「2024年のラリー1に戻ってくることができてとてもうれしい! このドライブを達成することが2023年シーズンの主な目標だったので、来年プーマ・ラリー1でフルシーズンに復帰できることに興奮している」と語った28歳のフルモー。


「Mスポーツ、フォード、レッドブルが僕を信頼しトップレベルでもう1年、実力を発揮させるチャンスをくれたことに感謝している。2023年にフィエスタ・ラリー2の開発に参加できたことは楽しかったし、このことはラリー1マシンでの来シーズンに役立つと思う。とくに新しいレギュレーションとポイントシステムによって、誰にとっても非常に興味深いシーズンになるだろう」


「僕たちは懸命に働き、最高の結果を出してチームをサポートし、チームがあるべき位置に戻るための適切な計画を持っている。また、WRCのトップレベルでフルシーズンを戦う唯一のフランス人ドライバーであることをとても誇りに思うよ」


 ミュンスターは今シーズン経験した2度のラリー1ドライブの後、自身初となるトップカテゴリーでのフルシーズンエントリーに向け、次のような目標を掲げた。


「2023年のWRC2でほぼフルシーズンを走ったことは大きなプラスになった。ほぼすべてのWRCイベントを走り、走行距離を稼ぐチャンスを得たのはこれが初めてだったからね。プーマ・ラリー1での2回のドライブも、2024年に臨むプログラムへの準備に大いに役立っている」


「モンテカルロで(シーズンを)スタートすることを熱望している。2024年の目標は、まず良い結果を出し、ラリーを重ねるごとにペースを上げ、ミスをしないようにし、あらゆる経験を積むことだ。僕たちは世界チャンピオンを相手にするわけだから当然、大きなチャレンジになるだろうけど、本当に楽しみだよ」


 トヨタ、ヒョンデに続き、Mスポーツがドライバーラインアップを発表したことで、トップカテゴリーに参戦する3チームすべての体制が確定したWRC。今季と同様に全13戦が予定される2024年シーズンは、1月25日から始まる伝統の『ラリー・モンテカルロ』で開幕を迎える。

トップカテゴリーへの“再昇格”を果たしたアドリアン・フルモー(右)
フォード・プーマ・ラリー1(アドリアン・フルモー) 2023年WRC第13戦ラリージャパン



AUTOSPORT web

「WRC」をもっと詳しく

「WRC」のニュース

「WRC」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ