退職金は大学卒と高校卒でどのくらい違いがあるの?

2024年3月2日(土)19時30分 All About

退職金は、企業規模で大きく違いますが、勤続年数、学歴、業種などによっても金額が異なります。今回は、大企業・中小企業別で大学卒と高校卒のモデル退職金を比較してみましょう。

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会社を退職する時に受け取る退職金は、その後の生活を支える大切な資金です。そろそろ退職が迫ってきたら、どれくらいもらえるのかをしっかりと確認しておきましょう。
退職金は、企業規模で大きく違いますが、勤続年数、学歴、業種などによっても金額が異なります。今回は、大企業・中小企業別で大学卒と高校卒のモデル退職金を比較することとあわせ、退職金制度の動向も簡単にお伝えします。

大企業と中小企業の大学卒・高校卒のモデル退職金を比べたら?

まずは、大企業と中小企業の大学卒・高校卒のモデル退職金をみてみましょう。
大企業(資本金5億円以上かつ労働者1000人以上の企業が対象)のモデル退職金は、厚生労働省(中央労働委員会)による「2021(令和3)年・2019(令和元)年賃金事情等総合調査」で確認すると、次のとおりになります。

大企業のモデル退職金額

【2021(令和3)年】
・大学卒:2563万9000円
・高校卒:1971万2000円
【2019(令和元)年】
・大学卒:2511万1000円
・高校卒:2379万2000円
一方、中小企業(東京都内の中小企業1012社(令和4年)、1407社(令和2年)・10人以上300人未満の企業が対象)のモデル退職金は、東京都産業労働局による「中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)・(令和2年版)」で確認してみましょう。

中小企業のモデル退職金額

【2022(令和4)年】
・大学卒:1091万8000円
・高校卒:994万円
【2020(令和2)年】
・大学卒:1118万9000円
・高校卒:1031万4000円
「モデル退職金」とは、学校を卒業後、新卒入社した方が、普通の能力と成績で勤務した場合の退職金水準をいいます。高校卒で働き始めた人の方が、実際の勤続年数は長くなるので退職金額も高くなりそうなところですが、大企業・中小企業の退職金額を見てみると、共に大学卒の方が高い状況が読み取れます。
また、大卒・高卒の退職金額の差は、大企業が約600万円に対して、中小企業は約100万円となっています。つまり中小企業は、大企業ほど、学歴が大きく退職金に影響するわけではなさそうです。

退職金制度の動向は?

退職金については、約20年前の「1999(平成11)年賃金事情等総合調査」をみると、大学卒(男性)のモデル退職金が2895万1000円。高校卒(男性)のモデル退職金は2472万円です。2021(令和3)年の大企業で支払われている退職金と比べると、約300万〜500万円多く支給されていました。この20年間で徐々に下がり続けていることになります。
もしかしたら、今後も、さらに退職金が下がることも考えられます。「退職金で住宅ローンを一括返済しよう!」「退職金があるから老後資金は大丈夫!」と思っていても、実際にもらう時の退職金は意外と少なくて、老後生活の予定が崩れることがあるかもしれません。
まずは、ご自身の会社の退職金制度がどのような状況なのか、会社の「就業規則・退職金規定」など、時間のある時に確認してみましょう。
文:舟本 美子(ファイナンシャルプランナー)
3匹の保護猫と暮らすファイナンシャルプランナー。会計事務所、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として勤務後、FPとして独立。人と比較しない自分に合ったお金との付き合い方、心豊かに暮らすための情報を発信しています。
(文:舟本 美子(ファイナンシャルプランナー))

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