『LOCUS BRiDGE』CEO/『UI』代表取締役・黒瀬啓介さんが選ぶ「関係人口を理解する本5冊」

2023年3月24日(金)11時0分 ソトコト

*今回の選書人は、それぞれの分野で関係人口に向き合い、関係人口を理解するうえで大切な活動をされている11名の方々です。これから関係人口を受け入れるみなさんや、今まさに地域と関わり始めた人がよりよいアクションができるように、おすすめの本を選んでいただきました。


選者 category:ふるさと納税





僕はいま『LOCUS BRiDGE』と『UI』というふたつの会社を経営しています。主な事業としてふるさと納税や地域活性化に関するプロジェクトを民間事業者や地方自治体の方たちと一緒に手がけています。以前は、出身地である長崎県平戸市の市役所に勤めていて、そこで広報やふるさと納税を担当したことが大きな転機になりました。ふるさと納税に注目が集まりはじめたばかりの2012年から担当となり、この制度に大きな可能性を感じ、平戸市らしいふるさと納税の形を模索しました。その結果、担当になって3年後には全国初の寄付金額10億円突破、そして寄付金額日本一を達成。また、寄付者と地域をつなげるための事業にも積極的に取り組みました。
公務員時代から今に至るまで長年、ふるさと納税を「実施する側」として関わってきたこともあり、自然と今回選んだ本はふるさと納税を行う側である公務員や、出品する事業者の方に読んでもらいたい本になりました。
『1000億円のブームを生んだ 考えぬく力』は、ふるさと納税サイトのなかでもユーザー数1位を誇る「ふるさとチョイス」を運営する『トラストバンク』代表取締役の須永珠代さんの本です。創業からの足跡がまとめられています。いま、ほとんどの自治体において、寄付金を集めることが目的になってしまっています。本来あるべきの「何のために寄付金を使うのか」という部分が抜け落ちているのは大きな問題だと思っています。この本にはそこがきちんと設計されていて、地域活性化につながっているふるさと納税の事例も多数紹介されています。
これまでの慣例慣習を打ち破ってきた全国各地の公務員を紹介している『なぜ、彼らは「お役所仕事」を変えられたのか?』は、ふるさと納税の担当者の方をはじめ公務員の方に読んでいただきたい一冊。この本を読むと、改めて公務員の仕事って素敵だなと感じてもらえるはずです。
ふるさと納税は関係人口をつくるひとつのきっかけや入り口になると捉えています。ですから自治体は、寄付者と地域のつながりをさらに強めていくための施策をどんどんしていくべきだと感じています。また寄付をする側も、寄付して商品の到着を待つだけでなく、その先で自分のお金がどう使われるのか考えたり、報告書をまとめた冊子やWebサイトで実際に使い道を確認してみたりしてほしいですね。きっとふるさと納税への見方が変わると思います。


ふるさと納税の理論と実践 ─ 乱世で正気を失わないための暮らし方
保田隆明著、保井俊之著、事業構想大学院大学ふるさと納税・地方創生研究会編、事業構想大学院大学出版部刊





まちづくり幻想 ─ 地域再生はなぜこれほど失敗するのか
木下 斉著、SBクリエイティブ刊





BLUE GIANT
石塚真一著、小学館刊








photographs by Jiro Matsushita text by Ikumi Tsubone


記事は雑誌ソトコト2023年3月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

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