超几帳面な「実母」と適当すぎる「義母」が大親友に…人生を変えるような出会いのエピソード

2024年3月31日(日)22時5分 All About

几帳面な実母、一方義母はおおらか。パートナーとの結婚を考えたとき、母親同士の相性に不安を感じていたと、40代女性は振り返る。ところが……、現実は意外な方向に転がっていくことに。

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何が人を結びつけるのか、縁というのは不思議なものだ。自身の人生を変えるような出会いは、いつどこにどんなふうに転がっているかわからない。


実母と義母

同僚男性と32歳のときに結婚、ふたりの子にも恵まれて、多忙ながら「これが幸せというものかもしれませんね、ふだんは忙しくて実感できないけど」と笑うリカコさん(43歳)。長女は10歳、長男は7歳になった。
「夫とは友だち夫婦ですね。いつもお互いにツッコミ合っていて、周りからは夫婦漫才としか思えないと言われています。ふたりとも『いちばん大事なことは家族が元気でいること』と思っているので、それ以外はまあ、適当にというタイプです」
気楽に楽しく暮らすのが一番。困ったときは実母か義母に助けてもらう。キリキリしながら生活したくないから、家事は手抜き。
そのときの優先順位に従って行動するから、ときには仕事が最優先になることもあるが、そんなときは子どもたちに真摯に謝る。それでなんとかなってきたとリカコさんはニッコリ。
「実はうちの母は、超がつくほどの几帳面な人間なんです。ただ、父は真逆で適当な人。私は父に似ているから、母からはしょっちゅう文句を言われていました。
ところが夫の母が、これまたけっこう適当な人で(笑)。夫に言わせると、『おふくろを見ていると、あまりにいい加減だからイライラする』って。私はお義母さんのスタンス、好きだなあと言っていたんです」

真逆の性格、反目しあうのではと不安に

結婚するときも、ふたりはそれぞれ実家に結婚すると伝えて婚姻届を出してしまった。
それからしばらくして、時間ができたときに双方の親をレストランに招いて会わせた。お互いの実家にふたりで行くのが面倒だったから、一気に会わせれば済むとリカコさんが提案、夫の母が大賛成してレストランを予約してくれたのだという。
「いいですよ、気楽な人で。だけどもしかしたら、実母と義母が反目しあうかもしれないとちょっと不安だったんです」
顔合わせの食事会では、適当な話をするリカコさんの父と夫の母が楽しそうに笑っている一方で、実母は少し不機嫌そうな顔を見せた。夫の父はいつでもニコニコしている人で、よくいえば協調しているようだが、実は我関せずというタイプだとリカコさんは分析する。

実母は義母を悪く言っていたのに

「案の定、実母は義母を悪く言っていましたね。ところが子どもが産まれて、私が忙しいときにふたりが来てくれるようになった。
顔を合わせなくていいように、今日は実母、明日は義母と連絡していたんですが、義母が間違ってきてくれた日があったみたい。そのときふたりでうちで話し込んだ。それ以来、実母はすっかり義母のファンになってしまったんです」
義母は多趣味で友だちも多い。実母は几帳面すぎて友人を作るのが下手。義母はそんな実母の性格を見抜いて、「今度、私がやっている陶芸に一緒に行かない?」と誘ってくれたのだという。実は陶器が大好きな母は、その義母の誘いに乗った。
「珍しいですよ。母が人の誘いに乗るなんて。しかも行ってみたら、ものすごく楽しかったらしい。義母がフォローしてくれるから、あっという間に友だちもできたみたいで。
たぶん、母は自分を守るために厚い殻を張り巡らせるタイプなんです。それをあっさり溶かしてくれたのが義母だったんでしょう」

実母と義母がつるみ始めた……!

それ以来、ふたりはよく「つるんで」遊びに行くようになった。さらに母は、ひとりでも自分の地域のイベントなどに参加することが増え、何十年も住んでいながらようやく近所に友だちができた。
「昨年春、ふたりに呼び出されたんです。どうしたのかと思ったら、『私たち、共同でお墓を買ったの』って。びっくりしましたよ。夫と一緒の墓には入りたくないと意見が一致して、ふたりで墓を買ったんですって。
そんなに遠くない場所で、景色もいいところだし、誰もお参りに来てくれなくてもふたりで一緒だと思えば楽しいわと。それぞれの夫に話したら、実父も義父も苦笑していたそうです」
ふたりともまだ70代だが、行く末が決まったことで安心したのだろう。パートを続ける義母に触発されて、専業主婦歴の長い母が今ではパートで仕事をしているという。
「うちの父なんか、ババツインズが今日も暴れてるなんて笑っていますが、母が明るくなったことには心から感謝しているみたい。私もとてもうれしいです。ふたりで遊んでくれるから実母はほとんど私に関心がなくなった。私の心も安定しています」
口うるさくて、結婚後も干渉してくる母に辟易としていた時期もあったが、母は自らの楽しみを見つけたことで自立していった。
「あなたのお義母さんはたいした人だわと夫に言ったら、『オレに輪をかけたテキトー人間なだけ。中学時代、親としての自覚がないっておふくろに説教したことがある』と。
いかにも義母らしいと笑ってしまいました。夫と結婚していちばんよかったのは義母と知り合えたことかもしれないと言うと、夫は複雑な顔をしていましたけど」
自然と周りを変える力がある義母を、彼女は心から敬愛しているそうだ。これもまた、縁なのだろう。

亀山 早苗プロフィール

明治大学文学部卒業。男女の人間模様を中心に20年以上にわたって取材を重ね、女性の生き方についての問題提起を続けている。恋愛や結婚・離婚、性の問題、貧困、ひきこもりなど幅広く執筆。趣味はくまモンの追っかけ、落語、歌舞伎など古典芸能鑑賞。
(文:亀山 早苗(フリーライター))

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