5年で市場規模が2.5倍! じわじわブームのりんごのお酒「シードル」7種類を飲み比べてみた!

2019年4月8日(月)12時0分 食楽web


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 日本人にとってはなかなか馴染みのない「シードル」。実はこの5年間で日本のシードル市場は約2.5倍に成長しているのをご存知ですか?

 シードルはりんご果汁を発酵させて作る醸造酒で、造り方はワインと同じです。最大の消費国はイギリスで、「サイダー」と呼ばれています。ドイツでは「アプフェルヴァイン」、アメリカでは「ハードサイダー」と、国によって呼び方が異なるのです。

 そんなシードルが最近日本で注目を浴びているのは、「飲みやすさ」と「気軽さ」が認知され始めているからなのだとか。シードルといえばフランスのブルターニュ地方やノルマンディ地方のものが有名ですが、日本の大手メーカーが出すシードルも負けてはいません。

 今回はスーパーや酒販店で手軽に買えるシードルをピックアップ。実際にホームパーティーでペアリングした食事も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

フルーティーな味わいの「おいしい酸化防止剤無添加ワイン シードル」

 メルシャンの「おいしい酸化防止剤無添加ワイン シードル」は、酸化防止剤無添加のりんご果汁を使用したシードルです。国産の混濁ストレート果汁を一部に使用することで、りんごの爽やかな香りや、甘みと酸味のバランスが取れた果実感が感じられます。


メルシャンの「おいしい酸化防止剤無添加ワイン シードル」。アルコール度数は5%

 本来、りんごは酸化しやすいフルーツ。醸造から瓶詰めまでで酸素との接触を最小限にし、製造時の酸化を抑えるというメルシャン独自の製法を採用しています。


酸味、甘み、発泡感のバランスがいいので、幅広い食事と合わせやすいのが特徴。炭酸は控えめ

 シードルといえば「甘いお酒」のイメージが強いですが、意外にいろんな食事に合わせやすいのが魅力。果実感をしっかり感じるので最初は甘みが強いのですが、後味がスッキリしているので食中酒としてもぴったりです。なかでも酸味のある料理との相性が良く、カプレーゼなどに合わせるといいでしょう。


生ハムとモッツァレラのカプレーゼに合わせてみたところ、シャンパンやスパークリングワインのような感覚で楽しめた

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世界中で愛される「ストロングボウ」は料理に合わせて2つの味が選べる

 2018年9月より、ハイネケン社の「ストロングボウ」が日本でも飲めるようになりました。今年日本で開催される「ラグビーワールドカップ2019」のオフィシャルドリンクとなっており、現在は飲食店のみでの販売となっており、一部の業務用酒販店では購入できるのだとか。そこで、今回は特別にサンプルをいただいて試飲しました。


ハイネケン社(日本での販売はキリンビール)の「ストロングボウ」。左は「ゴールドアップル」、右は「ダークフルーツ」。いずれもアルコール度数は4%以上5%未満

 ストロングボウは「ゴールドアップル」と「ダークフルーツ」の2種類のフレーバーが展開されています。「ゴールドアップル」にはブレイバン、ジャズ、ガラ、グラニースミス、レッドデリシャスなど複数種のリンゴ果汁を使用しており、甘さがありつつもクリアな味わいです。


“果実感”はないが“果汁”はしっかり感じられる。軽めのお酒が飲みたいときに良さそう。炭酸はしっかり入っている

「ゴールドアップル」は魚介類との相性がよく、なかでも牡蠣に合わせるのがおすすめ。フライドポテトやスナックといった塩気のある食事にも合います。


今回は牡蠣のオイル漬けとペアリングしてみた。生臭くなるかと思いきや、意外にもりんごの酸味とのバランスがいいので驚いた

「ダークフルーツ」はカシス風味のシードルで、どちらかといえばカシスソーダを飲んでいるような感じがしました。少しこってりした味付けの料理との相性が良く、赤ワインとのペアリングを考えるときに近い印象です。


カシスとりんごの組み合わせは、りんごだけの場合よりも甘みが強い。後味はスッキリしているので、料理の味を邪魔しない

 手羽元の甘辛煮と一緒に食べてみたところ、料理とシードルの“甘み”が上手くマッチしていて、料理の美味しさをきちんと引き立てていました。今回はおかずと合わせましたが、これならデザートと合わせるのも良さそうです。


手羽元の甘辛煮といえば白ごはんやビールのお供のように感じるが、「ストロングボウ ダークフルーツ」との組み合わせることで鶏肉の旨みが引き立っていた

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定番の「ニッカ シードル」はキレ味の良さが特徴

 筆者が“大手メーカーのシードル”と聞いて最初に思い浮かべたのが、アサヒの「ニッカ シードル」でした。ニッカシードルは青森県の弘前工場で新鮮なりんごを使って作られているシードルで、期間限定販売のフレーバーもあります。


今回試飲したのはアサヒの「ニッカ シードル」3種。左から「ニッカ シードル・ドライ」「ニッカ シードル・ロゼ」「ニッカ シードル・スイート」。アルコール度数はドライが5%、ロゼとスイートは3%

 この3種類は国産りんご100%、糖類・香料不使用という共通点がありますが、いずれも味わいはまったく異なります。甘めのお酒が飲みたいときにはスイート、キレの良さを重視するならドライ、ワインらしさを求めるのならロゼを選ぶといいでしょう。ちなみにロゼは3月末まで期間限定発売されていたもので、北海道でのみ通年販売されているそうです。


見た目の印象では「ニッカ シードル・ロゼ」は甘そうに見えるが、このピンク色はりんごの果皮などから抽出されたもの。後味に僅かに果皮の渋みがあり、ロゼワインを飲んでいるような感じがする


じゃがいもと明太子のアヒージョとロゼの組み合わせてバル気分。アルコール度数が低いので気兼ねなく飲めるのがいい

 スイートは食後酒かなと思ったのですが、食中酒として飲んでも問題なし。ワインのペアリングの基本である「似た色合いや味のものを選ぶ」「土地が同じものを意識する」「対照的な味わいもOK」というのを覚えておけば、お酒と料理の組み合わせ方は簡単です。


「ニッカ シードル・スイート」は、甘口でフルーティーなスパークリングワインといった趣き


手作りのキンパ(韓国風海苔巻き)との相性も抜群。海苔巻きの具材であるナムルや牛肉の甘辛炒めなどの油をシードルがさっぱりさせてくれるので、何個でも食べられる


「ニッカ シードル・ドライ」は、ほかの2種類に比べると甘さが抑えられている。口に含むとりんごの香りや風味を感じるが、後口はキリッとしている


白ワインに近い感覚で飲めるので、ホタテのテリーヌをペアリング。海鮮との相性が良く、白身魚のカルパッチョなどにも合いそう

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「キリン ハードシードル」は甘さ少なめの大人な味わい

 ここまで紹介したシードルは多かれ少なかれ「甘み」のあるタイプでしたが、「キリン ハードシードル」は、甘さをかなり控えたシードルです。これまでに出てきたシードルに比べると炭酸がやや強く、よりスパークリングワインのような印象を受けます。


キリンの「キリン ハードシードル」。アルコール度数は4.5%

 香りや風味としてはりんごを感じるのですが、とにかく甘くないんです! 7種類を飲み比べてみて、普段甘いお酒を飲まない人は「これが一番好きかも」と話していました。ビールとほぼ同じアルコール度数ですし、アルコール感が一番感じられます。


りんごの香りはするが、飲んでみると甘さはほとんど感じない。少し酸味が強い印象


餃子のような油を使った料理を食べるときに、口のなかをスッキリさせてくれる。カクテルに使うこともできる

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 今回、7種類のシードルを飲み比べた筆者の感想はこんな感じでした。想像以上に個性があり、シードルだけでこんなにいろいろ楽しめるとは予想外です!

【まとめ】
・おいしい酸化防止剤無添加ワイン シードル(メルシャン)……りんごの果実をしっかり感じる。甘みが強くてりんごジュースのようだが、後味は比較的爽やか。
・ストロングボウ ゴールドアップル(キリンビール)……甘みはあるがキレ味はいい。万人受けするシードルという印象。
・ストロングボウ ダークフルーツ(キリンビール)……カシスソーダのように見えるが、飲んだあとに口に残る感じはない。ベリーの味と香りが強い。
・ニッカ シードル・ロゼ(アサヒ)……ピンク色で見た目が華やか。りんごの甘味は控えめで、後味に果皮の渋みが感じられる。ロゼのスパークリングのよう。
・ニッカ シードル・スイート(アサヒ)……しっかり甘さはあるが、口に残る甘さではない。
・ニッカ シードル・ドライ(アサヒ)……りんごの甘みは多少あるものの、ニッカシードルのなかではかなりキレのある味わい。
・キリン ハードシードル(キリン)……りんごの酸味や香り、炭酸がしっかり感じられ、甘みはほとんどない。カクテル作りにもおすすめ。

 シードルはホームパーティーはもちろん、お花見などの宴席に用意するのもおすすめです。今回は国内の主要メーカーのものを取り上げましたが、世界中にはまだまだいろいろな種類のシードルがあります。世界中のシードルを飲み比べて、その奥深さを体験してみてください。

●著者プロフィール

取材・文/今西絢美

編集プロダクション「ゴーズ」所属。デジタル製品やアプリなどIT関係の記事を執筆するかたわら、“おいしいものナビゲーター”として食にまつわる記事も執筆中。旅先でその土地ならではのローカルフードを探すのが好き。

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