楽天が決済アプリを「楽天ペイ」に集約する理由-過去最大級の還元キャンペーンも

2024年4月22日(月)8時30分 マイナビニュース

楽天ペイメント株式会社(以下「楽天ペイメント」)は2024年4月18日、事業説明会を開催し、楽天グループの3つの決済アプリ「楽天ペイ」「楽天ポイントカード」「楽天Edy」を「楽天ペイ」に一本化すると発表した。決済アプリの集約は「楽天ペイ」の楽天グループのフィンテックサービスの“入口”としての役割を強化することを目的としたもので、過去最大級の還元キャンペーンなども拡大しながらシェア拡大を図っていく。
○“圧倒的なオープン戦略”で存在感を増す「楽天ペイ」
業界トップの「PayPay」が囲い込み戦略を鮮明にする一方で、楽天グループはオープン戦略を堅持。他社クレジットカードからの「楽天ペイ」へのチャージ機能を維持したり、「楽天ペイ」アプリひとつに多様な決済手段を搭載したりと、“圧倒的なオープン戦略”を推進して、シェア拡大や顧客満足度向上に取り組んできた。
その結果、「楽天ペイ」アプリの月間取扱高は業界平均の2倍速で伸長しており、2024年3月期の月間取扱高は昨対比+76%、ダウンロード数は昨対比+64%を達成。顧客満足度調査においても「顧客満足」「顧客期待」「推奨意向」などの6指標で1位を獲得するなど、急速に存在感を増している(サービス産業生産性協議会による顧客満足度調査)。
いま波に乗る「楽天ペイ」は、どのような成長戦略を描いているのだろうか。
○「楽天ペイ」をフィンテックサービスの“入口”に
事業説明会では、「楽天ペイ」を楽天グループのフィンテックサービスの“入口”として位置づけ、その役割を強化していくことが発表された。まずは、楽天ID保有者なら比較的容易に利用できる「楽天ペイ」に親しんでもらい、楽天カード、楽天生命、楽天損保、楽天証券などの関連サービスにも利用を広げていきたい考えだ。
そのための戦略として楽天ペイメントが打ち出したのが、「決済アプリの完全統合」「楽天カードとの連携を加速」の3つだ。
○【1】決済アプリの完全統合
「楽天ペイ」「楽天ポイントカード」「楽天Edy」の3つのアプリを「楽天ペイ」に一本化。2024年12月頃に「楽天ポイントカード」と「楽天ペイ」アプリの統合を実施し、その後、「楽天Edy」アプリの統合も行う。
○【2】楽天カードとの連携を加速
「楽天カード」アプリの主要機能を「楽天ペイ」アプリに搭載し、楽天カードとの連携を加速する。
○【3】AIとの融合
楽天フィンテックサービスとの連携を加速して、将来的にはAIとの融合で次世代アプリに進化させる。
○一本化で「楽天ペイ」はどう変わる?
「楽天ペイ」アプリにはすでに「楽天ポイントカード」「楽天Edy」アプリの基礎機能が備わっているが、なぜ決済アプリを一本化することにしたのだろうか。また、それによって「楽天ペイ」アプリはどう変わるのだろうか。
今回の決済アプリ集約の背景には、先に「楽天ポイントカード」と「楽天Edy」アプリがあり、2016年に「楽天ペイ」が登場した経緯がある。後からリリースされた「楽天ペイ」アプリの利用率が圧倒的に高まり、「楽天ペイ」を入口に「楽天ポイントカード」や「楽天Edy」のユーザー数も増加していることから、決済アプリの一本化が決定した。
楽天ペイメントは、単に3つのアプリを集約するだけでなく、「楽天ペイ」アプリにおける「楽天ポイントカード」「楽天Edy」の機能追加を検討しており、将来的には「楽天カード」アプリの主要機能やその他の楽天フィンテックサービスのアプリの機能搭載も計画しているそうだ。
楽天ペイメント 代表取締役社長 小林重信氏は「膨大なトランザクションデータと楽天グループが培ってきたAIのノウハウを組み合わせることで、ユーザーごとにカスタマイズされた機能の実装を目指したい」と語る。
なお、決済アプリの一本化に伴い、「楽天ポイント」「楽天Edy」アプリは順次サービスを終了する方針だ。「楽天ペイ」アプリへの集約がスムーズに進むよう、キャンペーン等で移行促進を図っていくという。
○「だれでもおトク」、過去最大級の還元キャンペーンも
こうした将来像の実現に向けて、足元では「だれでもおトク」を合言葉にした還元プログラムの刷新や大型キャンペーンの開催にも取り組んでいる。
目玉となる施策のひとつが、2024年夏頃に実施予定の「楽天ペイ」アプリのポイント還元プログラムの刷新だ。
従来は「楽天カード」から「楽天キャッシュ」へのチャージで0.5%、決済時に1.0%の楽天ポイントを進呈していたが、新ポイント還元プログラムではチャージ方法を問わず、楽天キャッシュを用いた決済時に最大1.5%を付与する。
また、「楽天ペイ」アプリの新規ユーザーを対象とした過去最大級の還元キャンペーンなど、大型企画を開催し、さらなるユーザー層の拡大を狙う。
【1】楽天ペイアプリのポイントカードならポイント最大10倍!(2024年4月18日より毎月開催)
【2】チャージ払いはじめて使うと最大20%還元(2024年夏頃実施予定)
【3】楽天モバイル Rakuten最強プランの契約で毎日全員ポイント5倍+(2024年夏頃実施予定)
サービスローンチ当初、加盟店手数料無料や大型キャンペーンの開催などでシェアを拡大してきた「PayPay」だが、近年は囲い込み戦略や基本還元率の引き下げを実施しており、「お得感を感じにくくなった」との声も聞かれる。王者「PayPay」とは正反対といっても過言ではない「楽天ペイ」の戦略が吉と出るか。近い将来その答えが出そうだ。
春奈 はるな 和歌山出身、上智大学外国語学部英語学科卒。信念は「人生は自分でつくれる」。2度の会社員経験を経て、現在はフリーランスのライター・広報として活動中。旅行やECをはじめとした幅広いジャンルの記事を執筆している。旅をこよなく愛し、アジア・ヨーロッパを中心に渡航歴は約60ヵ国。特に「旧市街」や「歴史地区」とよばれる古い街並みに目がない。ブログ「トラベルホリック〜旅と仕事と人生と〜(https://harubobo.com/)」も運営中。 この著者の記事一覧はこちら

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