60代から始める「ソロ旅」の極意。持ち物は最小限、食事はランチや開店直後を狙って。ソロ旅を楽しむ《7ヵ条》
2024年4月22日(月)12時29分 婦人公論.jp
(イラスト:大塚砂織)
雑誌やCMの撮影のほか、推し活目的で年に何度も旅に出るというスタイリストの地曳いく子さん。失敗と成功を繰り返した経験をまとめた旅本も刊行するほどです。大人世代がひとり旅を楽しむために最低限必要な準備と心構えを聞きました(構成:島田ゆかり イラスト:大塚砂織)
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<前編よりつづく>
持ち物は極力少なく
旅の荷物はとにかく最小限に。このポリシーは、スタイリストの仕事で身につきました。海外での撮影ともなると、モデルの衣装をスーツケース3、4個に詰めて持っていかなければなりません。
ですから自分の荷物は少なくせざるをえない。すっかり身軽な旅の習慣がついたのです。「これがないと不便だから」とあれこれ持っていく人もいますが、多少の不便は工夫して楽しみましょう。
まず洋服ですが、私は夏以外の1泊2日の旅には、替えの服は持っていきません。どうしても服を替えたい場合や、ちょっといいレストランに行く予定があるときは、しわになりにくいワンピースを1枚入れておきます。
靴は基本、1足で十分。昔と違って、ワンピースにスニーカーだっておしゃれに見える時代ですからね。
下着は必要ですが、ブラジャーではなく、ブラキャミにして、2日くらい着てしまうことも。ショーツと寝巻き用の薄手のゆるいパンツ(ホテルの浴衣ははだけちゃうから)は、必ず持っていきます。
そのほかは、スマホの充電器くらい。スキンケアアイテムやシャンプー、コンディショナーは宿のものを使います。もの足りないときのために、クリームとヘアワックスの小さいものを持参。
一度、クリームを忘れたことがあって備え付けのボディクリームを顔に塗りましたが、1泊くらいなんてことない。念入りなスキンケアは帰ってからすればいいのです。
美容が目的の旅なら、シートパックや高級美容液などを持っていって楽しむのもいいでしょうけれど、とにかく荷物は極力少なく。それが疲れないための鉄則です。
忘れてはいけないのが、胃腸薬や頭痛薬などの薬。国内なら旅先でも買えますが、海外だとすぐには入手困難です。飲み慣れた薬は、ポーチの隅に入れておくと安心できます。
現地での過ごし方
ソロ旅で気になるのは、食事ですよね。「ひとりの外食は気が引ける」という人も少なくありません。でもね、周りの人はいちいち「あら、あの人ひとりだわ」なんて思っていませんよ。自分が食べたいものを食べればいいのです。
とはいえ、行ってみたいのが高級フレンチのお店となれば、ちょっとハードルが高いのもわかります。そういう場合はランチコースを狙いましょう。ディナーよりリーズナブルだし、大人の胃腸にはランチくらいの量がちょうどいい。
夜は、私は地元のお寿司屋さんや焼き肉店にひとりで行くのが好き。気後れしないコツは、開店後すぐに行くことです。まだ常連客もおらず、人で賑わう前の時間帯であればカウンターに自分だけということも。サクッと食べて出れば人目を気にすることもありません。あとは宿でのんびりすればいいのです。
現地の情報は、ガイドブックよりもインターネットのほうが、新しく詳細な情報を見つけやすいと思います。
コロナ禍以降、お店が閉店していたり、営業時間が変わっていたりするケースもあるので、しっかりチェックする必要がありますし、非日常の旅先こそスマホ操作に慣れるチャンス。ぜひ積極的に活用しましょう。慣れればスマホ1つで飛行機にも新幹線にも乗れちゃいますから。
そして、旅の予算にぜひ組み込んでほしいのが、タクシー代とコインロッカー代、そして帰りの宅配便代。駅に荷物を預けて手ぶらで観光すると、本当にラク! 疲れ方が全然違います。数百円でこの快適さが手に入るのですから、使わない手はありません。
私は帰りも荷物を宅配便で送ってしまいます。空港なら、利用した航空会社によって割引になることもあるのでチェックしてみてください。そして疲れたり、雨が降ったりしたら迷わずタクシーを活用しましょう。時間の節約にもなるし、何と言っても大人の旅は疲れが禁物ですから。
旅先で体調が悪くなったら、無理せずにホテルで休息を。ほんの2時間でも横になるとラクになることもあります。「せっかく来たんだから」と頑張って食事をしたり、温泉に入るのはやめましょう。体調が万全でないと、楽しい思い出になりません。ソロ旅は気楽に。これが最大の価値なのです。
(写真はイメージ/写真提供:Photo AC)
【上級編】海外ひとり旅
ソロ旅は、国内にとどまりません。慣れてきたら海外にも出かけてみましょう。飛行機とホテルを予約して、自分で予定を組んでもいいけれど、最初はパッケージツアーに参加するのが安心です。
ツアーのメリットはダイジェストで観光地が回れること。そして、何かあった際にも日本語で対応してくれる窓口があることです。
文化も言葉も違う海外ではハプニングがつきもの。私も数々のトラブルに見舞われました。その詳細は著書『50代からの大人ひとり旅』にも書いているので、読んでいただくと参考になると思います。
なかでも顔面蒼白になったのは、財布を忘れて旅立ったこと。ただこのときは、パスポートケースの中に利用限度額の低いカードが1枚入っていて、それでなんとか凌ぐことができました。普段からキャッシュレスに慣れておくことも、旅の準備と言えますね。
大人になると、若い頃と違って「いつか行こう」ではチャンスを逃してしまうかもしれません。思い立った今がタイミング。ひとり旅は新しい自分と出会う好機と考えて、ぜひ出かけてみてください。
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