なぜ優秀な人ほど「人を動かす」のが苦手なのか…人を巻き込みたいときに大事なのは<まず一人の味方を作る>こと

2024年4月25日(木)6時30分 婦人公論.jp


まず一人味方を作る(写真提供:Photo AC)

「口下手なのに成功する人はどこが違う?」「いつも自分の側で話が途切れてしまって……」等々、話し方に関する悩みは尽きません。一方、経営コンサルタントとして3万人以上の起業家を支援、全国で講演を続ける今井孝氏も「実は僕もそんなに上手に話せる方ではない」とのこと。口下手でもビジネスを成功させてきた今井さんが記した『誰でもできるのに9割の人が気づいていない、話し方・つながり方』からポイントを厳選してお伝えします。

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周りが思い通りに動いてくれない、と悩むあなたへ


いよいよ、この連載も最終回となりました。ここまでお伝えしてきたことを、できるところから実践していけば、少しずつあなたの人生は理想に向けて変化し始めていくでしょう。

でも、せっかくなので、もう1つ大事なことをお伝えします。今回のテーマは「つながり方」の中でも、特にハードルが高いように思える「人を動かす」です。

「周りが思い通り動いてくれない」ということで、話し方やつながり方を学び始める人も多いと思います。

プロジェクトリーダーや管理職、もしくは自分でビジネスを始めると周りの人に動いてもらう必要があります。

また、チームメンバーだけでなく、上司やお客様という自分より立場が上の人を動かさないといけない場面もあるでしょう。何かを成し遂げるためには、周りに協力してもらう必要があります。

「優秀な人は一人でなんでもできるのでは?」と考える人もいるかもしれませんが、それは逆です。

優秀な人ほど周りの人に助けてもらっています。

人には得意・不得意があって、できないこともたくさんあります。優秀な人ほどそれを理解していて、いろんな人を巻き込んで協力してもらっています。

うまく周りの力を借りられる人が大きなことを成し遂げていくわけです。

カリスマ性は必要ない


人を動かすといっても、「自分には人を巻き込むカリスマ性なんてない」という方もいると思います。

しかし、カリスマ性のある人間だけが人を動かせるわけではありません。それよりも、自分らしくありのままでいる人に、人は協力しようと思うものです。

もちろん、それ以外にも人が手伝いたくなるポイントがありますので、これからご紹介しますが、やはり自分のキャラ設定がしっかりしていれば、人を動かせるということです。

カリスマ的リーダー像やスーパー営業マン像、クラスの人気者像というイメージに縛られていると、人を動かす立場になったとたんに、自分に合わない振る舞いをしてしまうことがあります。

そして、それが無理を生じさせるのです。

人を動かすということはそうではありません。あなたらしく人を動かし、人を巻き込めばいいのです。

まず一人味方を作る


では、人を巻き込む時のポイントは何か?というと、それは、一人ずつ味方にしていく、ということです。


人を巻き込むのが苦手という悩みは尽きない。最初の一歩は?(写真提供:Photo AC)

「多くの人を巻き込んで思い通りにプロジェクトを進めたい」
「会社全体の仕事のやり方を変えたい」
「自分の職場やコミュニティをもっと元気にしたい」

など、最後にはたくさんの人を巻き込みたいと思っても、最初は一人ずつあたるのが一番早いのです。

私は、それがわかっていませんでした。

起業当初、学生と社会人が一緒に活動するコミュニティを作ろうと思ったのですが、なかなか人が集まりませんでした。たくさんの学生の前で「こういうコミュニティを作りたい」とプレゼンしても、スタッフに応募する人はゼロだったのです。

中には「その話何分で終わりますか?」と聞いてくる学生もいて、心が折れて泣きそうになりました。

大きなプレゼンより1対1の対話


そこでやり方を変えました。大勢を相手にするのではなく、まずは自分の知り合いの会社員の男性に話しに行ったのです。

一対一なら、私も落ち着いて話せました。コミュニティの趣旨を説明し、賛同してもらい、まず、一人目の味方を作ったのです。

そして、後日、改めて学生向けのセミナーを開催し、最後にスタッフの募集のプレゼンを彼にしてもらいました。

すると、その場でスタッフ希望者が4人現れました!

実は、彼の話し方には華があり説得力があったので、私がプレゼンするより何倍もの効果があったのです。

まず一人を味方につけたことで、さらに味方が4人増えたのです。

大きなプロジェクトも最初は個人から


もう1つ、会社員時代に、同じような経験をしました。入社2年目のヒラ社員の頃のことです。あるアメリカ人ITコンサルタントの書いた本を知り、これを翻訳して出版できたらいいんじゃないか、と思いついたことがありました。

その時はただ漠然と思っただけです。

その思いつきを先輩に雑談で話してみたところ、先輩も面白がって乗ってくれました。しかも、なんと半日で企画書を作ってくれたのです。

早速その企画書を部長に見せたものの、あえなく否決されました。しかし、さらにその上役である事業部長に企画を見せると、「どんどんやれ!」と承認をもらい、予算もつきました。

出版社に打診したらOKしてもらい、米国の出版社から翻訳の権利を取得してもらいました。

そして、無事に出版できたのですが、それだけに留まらず、著者のコンサルタントを日本に呼んでセミナーも開催しました。しかも、その本がきっかけで、会社にコンサルティングの依頼が来ました。

私は当時、ただのヒラ社員でしたが、一人ずつ動かしていけば自分の思いついたことを実現できるんだという経験をしました。

会社もコミュニティもプロジェクトも、形作っているのは個々人です。

相手が大勢だったりプロジェクトが大規模だったりする時ほど、これを忘れがちですが、結局は一人ひとりを味方にするのが一番早いのです。

※本稿は『誰でもできるのに9割の人が気づいていない、話し方・つながり方』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。

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