《鋼メンタルになる食事術》五月病も吹き飛ぶ、パンより米・30回噛む・就寝前はちみつのすごい効果

2024年4月28日(日)11時0分 週刊女性PRIME

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 落ち込みやすい、ストレスに弱い、更年期のせいか気持ちがゆらぐ……これらのネガティブ感情の9割は食生活がつくり出している!感情に左右されず、やる気も集中力もアップする食事テクを身につければ、生活の質ががらりと変わります。

感情は栄養がつくっている

「毎日を穏やかな気持ちで過ごせるのか、精神的な浮き沈みが激しくなるのかは日々の食事によって変わります。実は、感情は栄養がつくっているんです」

 そう話すのは管理栄養士の岡城美雪さん。感情やメンタルの浮き沈みは環境要因が大きいと思いがちだが、岡城さん自身、身をもってこのことを体感しているという。

「私は幼少期から疲れやすく繊細で、些細なことで落ち込んだりと、メンタルが非常に弱かったのです」(岡城さん、以下同)

 こうした体質やネガティブ感情は、持って生まれたもともとのものであって、食生活と結びつけて考えることはなかった。しかし、栄養学を学んでいくうちに、それらの多くの部分が食べ物で解決できると気づいた。

「糖尿病の患者さんはインスリン注射によって血糖値を下げますが、その血糖値のコントロールがうまくいかないと低血糖を起こすことがあります。低血糖の症状として倦怠感や手の震え、ふらつきなどが挙げられますが、これは、糖尿病でなくとも陥る症状です」

 極端なダイエットをしたり、栄養バランスが乱れていると同様の症状が出ることがあるそうで、これは低血糖を起こしている状態といえる。

 さらに低血糖は感情面にも大きく影響する。例えば、空腹時や夕方、深夜にイライラしたり漠然と不安に襲われることはないだろうか。

「この時間帯は“糖の貯金”が減少しやすく、低血糖が起こりやすくなります。血糖値が下がると、身体はアドレナリンやノルアドレナリンといったホルモンを出し、血糖値を上げようとしますが、これらのホルモンは神経伝達物質と呼ばれ、過剰に分泌されるとイライラしたり怒りっぽくなったり、不安感が増大するのです」



 岡城さんのメンタルが一番不安定だったのは社会人1年目のころで、とにかく食生活が乱れていたそう。

「忙しさにかまけて朝ごはんはパン。勤務日のお昼は社食でバランスのいい食事でしたが、休日はほぼパスタで、夕食もパン。その食生活を続けていくうちに、どんどん不安感が強くなり、夜になると死を考えることまで……。今思うと、糖質過多の食生活で高血糖になり、その反動で激しい低血糖に陥っていたのです」





 血糖値のアップダウンが激しいと、脳が血糖値が下がりすぎたと勘違いして過剰にホルモンを分泌してしまう。不安や落ち込みは、気分や性格的なものというより「症状」だったのだ。

「私もそうでしたが、社会人1年目や、環境の変化が大きい時期にメンタルが落ち込みやすくなる。それは食生活が乱れているサインともいえます」

血糖をコントロールすることで更年期症状が楽になった方も

 その後、結婚や出産を機に、栄養学に基づいたバランスのいい食事を心がけるようになった岡城さん。低血糖を起こさないために、血糖値を比較的緩やかに上げるでんぷん質を含んだ干しいもや甘栗、でんぷん入りの無添加だしなどを食事の合間に補食として取り入れた。

 こうした食品をうまく取り入れることで、漠然とした不安やイライラすることが減っていき、気持ちが安定してきたという。

 岡城さんは会社の事業を通して、延べ1000人余りに血糖コントロールの指導をしてきた。その過程で、低血糖によるさまざまな症状で悩む人を見てきたという。

「血糖値は健康診断では数値が高いとなんらかの指導がありますが、低い分には何も言われないんです。でも、疲れやすかったり、メンタルが不調だったりなど、しんどい毎日を過ごしている人が多い」

 また、低血糖による更年期症状に悩む人も少なくないことを実感しているそう。

「更年期症状と聞くと女性ホルモンによる治療を連想する方が多いと思うのですが、体質改善には順番があります。まずは血糖のコントロールや胃腸のケアをして栄養の吸収を高め、それからホルモンバランスを整えるほうが効率的です。実際に、血糖をコントロールすることで更年期症状が楽になった方も多くいます」

 多少の体質差はあるものの、低血糖は、ほぼ誰もが関係あると岡城さんは語る。

「血糖値は漠然と“高いと病気のリスクがある”といったイメージしかないのではないでしょうか。でも、低血糖の状態に陥ることも日々誰にでも起きることで、この頻度が多ければ多いほど、メンタルに影響を及ぼすのです」

 では、低血糖を防ぐためには、具体的には何をすればいいのか。

「まずはカフェインを控えること。カフェインをとりすぎるとアドレナリンが分泌され、血糖値が乱れやすくなります。また、よく噛むことは血糖値の上昇がゆるやかになるのでおすすめです」

 この低血糖を起こさない食事術を心がけることで、物事に集中できるようにもなるという。

「私も短時間で家事や仕事を終えられるようになりましたし、気分的に安定していると心にもゆとりを持てます」





 1日の中でイライラしたり、ネガティブな感情にとらわれる時間が減れば日々の充実度は格段にアップする。

「健康というのはゴールではなく生活の質を上げる手段です。血糖値を安定させて健康なメンタルと身体を手に入れれば、五月病の時期も軽やかに乗り越えられるはずです」

やる気・集中力UP! 鋼メンタル食事術

 毎日の生活の中で意識して取り組めば、早ければ1週間ほど、遅くとも3か月後には「前よりも穏やかになった!」、「元気になった!」と実感できるはず

■朝食は和食にする



 主食をお米にすると、おかずとして肉や魚、卵といったタンパク質や野菜のおかずを食べるようになり、自然と血糖値が安定しやすくなる。また、よく噛むことも実践しやすくなる。

■ひと口30回噛む



 噛むことで血糖値の上昇がゆるやかになり、幸せホルモンのセロトニンが分泌される。また、唾液によって消化が促進され、菌やウイルスの浄化作用も。よく噛むことにはメリットしかない。

■カフェインを控える



 カフェインをとることで分泌されるアドレナリンは、本来、交感神経を優位にさせて臓器や器官などの働きを向上させるためのホルモン。日常的に出し続けていると身体は悲鳴を上げてしまう。

■補食をとる



 朝食と昼食の間と昼食と夕食の間に干しいもや甘栗、ゴルフボール大のおにぎりなど、2〜3口程度で食べられる補食をとると血糖値の乱高下が抑えられ、メンタルも安定しやすくなる。

■寝る前にはちみつ



 寝る前にカレースプーン1杯のはちみつをなめると血糖値が安定しやすくなる。はちみつはアカシアやクローバーなど花の蜜であるものを使うこと。対症療法として短期間に取り組むのがベター。

こんな人はイライラモヤモヤしがち

・食べない健康法を実践している

低血糖を起こしている人は消化力が落ちていることが多く、胃腸の動きが悪いため空腹を感じにくくなっているケースが多い。慢性的なエネルギー不足で元気に動くことができなくなっている。

・チョコレートとココアが大好物

チョコレートとココアは銅が多い食品。銅は幸せホルモンであるセロトニンややる気ホルモンであるドーパミンを興奮ホルモンのアドレナリンに変えてしまう働きがあり、幸福感が薄れてしまう。

・コーヒーと甘いもののセットが好き

甘いものを好むのは低血糖のサインのひとつ。食べると血糖値が急上昇し血糖値が乱高下してしまう。身体はクタクタに疲れているのにカフェインで元気の前借りをして乗り切っている状態。

取材・文/熊谷あづさ



岡城美雪さん おかじょう・みゆき 管理栄養士。ヘルスケア事業を手がける株式会社MyWellness代表取締役。延べ1000人以上に血糖コントロールを教えてきた。血糖コントロールによって身体と心の不調を解消できるとし、そのノウハウを伝えている。

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