コロナ禍で海外に里帰り出産! 産後ケアセンター、義実家、パパ育休で未曾有の状況を乗りきった【男性育休経験談】

2022年6月10日(金)5時55分 マイナビ子育て

育児休業を経験し、子育てに奮闘しているパパの声を聞いていくインタビュー連載・「男性育休取ったらどうなった?」。今回はコロナ禍の台湾で2人目出産を迎えた、国際結婚ファミリーのパパにお話を聞きました。

里帰り出産のため、家族全員で台湾に渡った滝沢家

今回のパパ滝沢晃一さん/43歳/ヤマハ発動機株式会社

●ご家族滝沢美玲さん/42歳/輸送機器製造業を営む別の企業に勤務長男:樹くん/4歳  次男:健くん/2歳(※お名前はすべて仮名です)

●滝沢家のパパ育休2人目出産のため、2021年2月から6月までおよそ4カ月の育児休業を取得。妻の美玲さんが台湾出身で、出産前に家族全員で里帰り。産後しばらくは台湾で過ごす。晃一さんの育休中に日本に帰国。美玲さんは2023年5月に復職したばかり。

滝沢家の平日のタイムスケジュール

長男のときとは事情が異なった次男の出産

——滝沢さんご夫婦は、妻の美玲さんが台湾出身だそうですね。

晃一さん はい。そうです。1人目も2人目も、出産時には台湾の妻の実家に里帰りしました。

——晃一さんは2回とも育休を取得したのですか?

晃一さん いいえ。次男の出産のときに育休を初めて取りました。長男のときも2週間程度は台湾に行ったのですが、そのときはゴールデンウィークと有給休暇をつなげて対応したんです。ただ、次男のときは状況が大きく異なりました。

——その状況の変化というのが、2人目で育休を取ることになった理由でしょうか?詳しく教えてください。

晃一さん あたりまえですが、身軽だった1人目の出産時とは異なり、次男の出産時には上の息子がいました。長男は当時2歳でしたが、やんちゃで手がかかるほうなので、妻の高齢の両親にまかせきりにするのは難しかったんです。2つめに次男の出産が新型コロナの流行する真っ只中だったことです。当時は台湾も日本も厳格なコロナ対策をしており、入国する際に2週間の隔離期間がありました。それだけでプラス1カ月必要なので、向こうに行くのなら、ある程度の長い期間が必要で……。そう考えると、私が育休を取得するのがいちばん。むしろ、それ以外の選択肢はありませんでした。

——職場の方の反応はいかがでしたか?

晃一さん 上司、同僚共に若干驚かれた感じはありましたが、理解していただけました。幸い自分より先に6カ月の男性育休を取得して復職した同僚がいたので、職場の実績もあり、お互いに助け合うマインドが育っていて、周囲の理解もすんなり得られたのかなと思います。

——それはよかったですね。引き継ぎの際には上司とどんな話をしましたか?

晃一さん 「抜けている間にここまでは進めておくよ。だから帰ってきたら後はよろしくね」という感じで伝えられましたね。元の場所で同じ仕事を継続できる前提で話をしてもらえたので、安心感はありましたし、復職もスムーズでした。

ーー子育てに理解がありますね。

晃一さん そうですね。部署によっても異なるのかもしれませんが、私の所属する製品をテストする部署は、同世代で子育て中の人も多いせいか、理解があって助かっています。我が家の場合、妻が最近復職したばかりなのですが、彼女の勤める会社は保育園から一時間くらいの距離なんです。そのため、何か突発的なことが起きたときは、園から私にまず連絡がきます。最近も大雨の日に早くお迎えに来てほしいという要請があり、対応しました。

現在、4歳になった長男くんは電車がずっと大好き!「以前住んでいた家が駅のすぐ近くだったので、散歩がてらよく見に行ってました。今はプラレールで楽しく遊んでいます」(晃一さん)

台湾では産後ケアセンターの利用が当たり前

——育休中は何が大変でしたか?

晃一さん 先ほども少し触れましたが、コロナ渦での子どもを連れた海外移動、海外生活は苦労しましたね。普段とは異なり、厳格に新型コロナをコントロールしている台湾に渡るためには、在留許可証を取得する必要がありましたし、先ほど言ったように隔離期間もありました。そういった制度上のことももちろんですが、子どもとちょっと外に行くにしても不慣れな外国ですし、新型コロナにかかってはいけないプレッシャーも。緊張を強いられる場面が多かったです。それに当時、妻の実家の皆さんはとても良くしてくれたのですが、上の子がぐずったり、暴れたりして、いろいろと迷惑をかけてしまいました。もちろん、その度に謝罪とお礼は言っていたものの、言葉の壁があり、十分に伝えられなかったような……。そういった心残りがあります。

——退院後はずっと美玲さんのご実家に?

晃一さん 実は妻は1カ月ほど産後ケアセンターに入っていました。日本だと一部の芸能人が使うようなイメージですが、台湾ではごく一般的に利用されているんです。施設によってランクがあって値段も変わってくるのですが、基本的にはホテルのようなところで、清潔なベッドがあり、ごはんも出てきます。赤ちゃんはベビールームで見てもらうこともできるし、お世話したいときは部屋に連れてくることも可能です。

——晃一さんも一緒に泊まられたのですか?

晃一さん はい。産後ケアセンターはパートナーや子どもも宿泊できました。ただ、うちの場合、上の子が長くいると騒いでしまうので、そちらに泊まるのはときどきで、産後ケアセンターと妻の実家を行ったり来たりしていました。

——当初の目的通り、上のお子さんの面倒は、基本的に晃一さんが見ていたのですね。

晃一さん そうですね。帰国後は僕も掃除や洗濯などの家事を積極的にしていましたが、台湾にいる間は妻の家族がほとんどしてくれていたので、その頃の僕の役目は主に長男のお世話をすることでした。妻と次男が実家に戻って来てからは、それに夜中の次男の対応が加わりました。

——ママが眠れて、助かりますね! 次男くんはすんなり寝てくれましたか?

晃一さん いいえ。ミルクを飲んでもすぐに寝ることはほとんどありませんでした。抱っこしたり、ゆらゆらしたり、部屋の中をぐるぐる歩き回ったり。授乳の時間も3時間に一回なので、大変でしたね。日本に帰国後は、当時の家がメゾネットタイプだったので、夜は上に妻と長男、下に僕と次男と寝床を分けました。妻も上の子も次男の泣き声やお世話で中断されることなく、ぐっすり眠れたようでよかったです。僕自身も昼間に寝かせてもらう時間があったから頑張れましたが、これが仕事と並行してだと難しかったでしょうね。

——育休があったからこそ、夜のお世話も全力で頑張れたのですね。ほかにも育休を取得してよかったことはありますか?

晃一さん 長男と日中、毎日散歩に出かけられたことですね。長男とゆっくり過ごす時間を設けることができたのは、振り返ってもよかったなと思います。

——育児に対しても自信がつきましたか?

晃一さん 自信がつくというのとはちょっと違う気がしますが、これまで子どもたちには「パパ嫌!」となるような時期がなく、ずっと僕に懐いてくれています。それは育休の間にどっぷり育児に向き合えたおかげかもしれませんね。

普段から体を動かす遊びを取り入れているという晃一さん。「ブルーナ・ボンボンは次男のお気に入りのおもちゃ。よくこれにまたがって、ボヨンボヨンと弾んでいます」。

子どもの成長を目の当たりにするとうれしい!

——今、普段の育児で意識していることはありますか?

晃一さん 子どもたちの体力がつくように、なるべく外遊びをするようにしています。仕事が休みの日は家族で公園に出かけることが多いですね。かけっこしたり、自転車に乗ったりして遊んでいますよ。家の中ではおうまさんごっこなどをしてますね。僕も40代なんで、激しい遊びはなかなか体が辛いんですが……(笑)。

——育児で喜びを感じるのはどんなときですか?

晃一さん 子どもの成長を目の当たりにするときはうれしいですね。家族だけのときには好き勝手をしている長男が、実家ではいろいろと自分でできる子になったり、歯医者の先生の言うことをちゃんと聞けたりして、驚きます。また、今は次男に自我が芽生え始めており、長男と喧嘩することも増えましたが、長男と会話をすると、弟を大事にしようといった気持ちが時折見えるので、成長しているんだなぁと感じます。

——子どもの成長を目の当たりにすると、普段の苦労も報われますよね。最後にこれから育休を取ろうと検討しているほかのパパさんにメッセージをお願いします。

晃一さん 我が家の場合、僕の育休があったからこそ、コロナ禍での海外里帰り出産という大変な状況を乗りきることができましたし、夫婦でがっつり子育てをする時間を得られたことは、何より貴重な経験でした。振り返っても、妻や子どもの体調不良や夜中のミルクなど、育休によって対処できたことがたくさんあったと思います。取得については、とくに仕事面でのハードルがある人が多いと思いますが、もしもできる環境があるのなら、ぜひ利用して欲しいです。

(取材・文:江原めぐみ、イラスト:ぺぷり)

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