夏はこれしかない! ビーチサンダルの定番of定番、『ハワイアナス』が最高なのには理由がある

2024年6月22日(土)7時30分 マイナビニュース

夏になると、いつもこればっかり履いている。
ビーチサンダルの定番of定番。
ブラジルのブランド、ハワイアナスのビーチサンダルである。
"いつも"と言ったって、50代も半ばのおっさんが、仕事のある平日に履くもんじゃないよと思われるかもしれない。
一般的にはその名のとおり、海辺限定で用いるリゾート履きというイメージも強かろう。
だけど僕の場合、夏の間は休日だろうと平日だろうと構わず、ハワイアナスのビーチサンダルで貫いている。
○■平日の住宅街をウロつく怪人・ビーサンペタペタ中年男
僕が自宅の自室を仕事場とし、一人Macに向かってシコシコ作業するのがデフォルトの、フリー編集者兼ライター/コラムニストだからなせるワザなのかもしれない。
しかし正直言うと、慣れているとは言え、ド平日ビーサンスタイルが少し後ろめたい場面もある。
仕事を一段落させて筆を置き(テキストをセーブすること)、昼飯でも食いにいこうと自宅を出る。
そして住宅街の真ん中を、ビーサンをぺったぺったと鳴らして歩いていると、ご近所の人から訝しげな目を向けられているような気がしてしまうのだ。
考えすぎかもしれないが、「あの男、一体何?」という心の声まで聞こえてきそうなときもある。
コロナ禍のときはだいぶマシだった。
リモートワークが増えたことにより、似たり寄ったりのラフな格好で、平日の住宅街をウロつく同年代の男性がたくさんいたからだ。
だがコロナが明けて日常が戻った最近は、やはり平日の住宅街にいるのは、子育て中のママか専業主婦、あるいはリタイヤ後のご年配の方々が中心で、どうしても怪人・ビーサンペタペタ中年男は悪目立ちしがちなのである。
それでも僕がこのスタイルを辞めないのは、圧倒的に楽ちんだからだ。
誰もが認識しているように、最近の日本の夏、特にヒートアイランド現象が著しい都会の真夏は、異様なほどの酷暑に見舞われる。
夏だけ切り取れば、もはや亜熱帯地方とさほど変わらぬ気候。
それならば、ブラジル生まれのサンダルを引っ掛け、ユルっと涼しく日常生活を送るのが正解だろと、思っちゃってる次第なのである。
○■日本の草履にヒントを得て開発されたビーチサンダル
定番ブランドゆえご存じの方も多いと思うが一通りの説明をしておくと、ハワイアナスとは、ブラジルのサンパウロで1962年に設立されたブランド。
「havaianas」はポルトガル語(ブラジルの公用語)で、"ハワイの人々"という意味だが、ブランドの代名詞であるゴム製ビーチサンダルは、日本の草履にインスピレーションを受けて開発されたというのは有名な逸話だ。
ブランド設立と同時にこのビーチサンダルが発売されるや、ブラジル国内で瞬く間に人気を集め、その後、世界中に広がって特に夏やビーチでの定番アイテムとなった。
ソールの表面には、小さな粒々(ドット状の突起)がついている。これが滑り止め効果を発揮するとともに、足裏に心地よい感触を伝えてくれるので、ハワイアナスのビーチサンダルの履き心地は抜群。
日本の草履の編み目を模倣したというこの粒々パターンは、ハワイアナスらしさアピールする象徴的なデザインともなっている。
ところで僕が夏のサンダル履きにこだわるのは、涼しくて楽だからだけではなく、少しだけ思想的な理由もある。
端的に言えば、サンダルとはFREEDOM! なのである。
1950年代中頃、アメリカ・ニューヨークのグリニッチビレッジやカリフォルニアのバークレーに集ったビートジェネレーションの若者は、サンダルを日常のワードローブとした。
ジャック・ケルアック、アレン・ギンズバーグ、ウィリアム・バロウズといった文学者が先導したビートは、伝統社会への軽蔑と離脱を標榜し、自由であることの表現として屋外を裸足で歩くことを好み、サンダル履きの者が多かったという。
ビートの思想はその後、1960年代に花開くヒッピーに受け継がれたので、彼らもまたサンダル履きを愛好した。
僕は世代的に、ビートでもヒッピーでもないけども、サンダル履きで自由を表現した彼らの思想になんとなく共鳴しているのである。
何かと煩わしいことの多いこの現代社会で、少しでも心の自由を保ちたいという気分が、ビーサンスタイルの自分の中に、ほんの少しあるということだけはここに書き記しておこう。
○■思わず心奪われた、メゾン キツネとのコラボモデル
ところで僕は昔からハワイアナス愛好者だが、過去に何度か浮気をしたことはある。
葉山のげんべいサンダルや小笠原諸島〜伊豆七島で"ギョサン"と呼び慣らされている樹脂製一体成型サンダル、またDannerのリカバリーサンダルなどを試してきた。
それらのサンダルも優れた点が多く、使用中はそれなりに満足していたのだが、気づけばまたハワイアナスに戻っているのだ。
そもそもハワイアナスの造形が自分の足によく合うことや、定番ゆえに幅広く販売されていて手に入れやすいことなど、理由はいくつかある。
夏場はドンドン履くので、数シーズンで履き潰してはまた新しいハワイアナスを買うということを繰り返し、現在の現役は2足。
ひとつは、それこそどこにでも売っている基本モデルだ。ブランド公式の定価は2,800円だが、ネット上では2,000円以下の並行輸入品も数多く出回っているもので、色はシンプルなブラックを愛用している。
だけどもうだいぶくたびれてきたので、今年は買い替えようと思っていた。
今回もまた安くてシンプルな定番モデルにしようと思ってネットで検索していたら、思いがけず今シーズンの限定モデルに目を奪われてしまった。
フランスを拠点とし、パリと東京のカルチャーをハイブリッドで表現するブランド、メゾン キツネとのコラボモデルである。
一度気になってしまうともう、そちらばかりが素敵に見えてしまい、堪らず購入。
税込で9,000円超と、ビーサンとしては結構なお値段だったが、まあたまにはいいだろう。
黒い方はまもなく、家のベランダ履きとしての最終末期を経てゴミ箱行きとなる。
その代わりにこの夏は、メゾン キツネバージョンのハワイアナスビーサンをフル活用するのだ。
○■このバージョンを含め、色柄のバリエは4種
ハワイアナスのいいところは、カラーバリエーションが数多くあることと、さまざまなブランドやアーティストとのコラボモデルが豊富なところ。
ただしそういうコラボモデルが継続的に販売されることは少なく、売り切れるともう二度と手に入らなくなるのが常なので、「これは」と思ったらいち早く入手するのがおすすめだ。
今年のハワイアナス×メゾン キツネで、僕は大満足の夏を過ごせるだろう。
もしかしたらだけど、ご近所の奥さんの目も怪人を見るそれではなく、「あらオシャレ」と変わるかもしれない。
いや、変わんねえか。
佐藤誠二朗 さとうせいじろう 編集者/ライター、コラムニスト。1969年東京生まれ。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わり、2000〜2009年は「smart」編集長。カルチャー、ファッションを中心にしながら、アウトドア、デュアルライフ、時事、エンタメ、旅行、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動中。著書『ストリート・トラッド〜メンズファッションは温故知新』(集英社 2018)、『日本懐かしスニーカー大全』(辰巳出版 2020)、『オフィシャル・サブカルオヤジ・ハンドブック』(集英社 2021)。ほか編著書多数。新刊『山の家のスローバラード 東京⇆山中湖 行ったり来たりのデュアルライフ』発売。
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