農家の男性と結婚して就農した熊谷弥生さんの、手応えを感じる暮らし

2023年7月30日(日)7時30分 ソトコト




夫婦で新たな農業スタイルに挑戦


2014年に結婚した旦那さまのご実家は、祖父の代から果樹を営んでいる農家。結婚当初は、夫婦共に会社員として働いていました。祖父が亡くなったことをきっかけに、2016年に旦那さまが就農、2017年に弥生さんも会社を退職し、夫婦で農業をすることを決意。現在は、4歳になる息子さんの子育てをしながら、農業に専念しています。





「雪国でも一年を通して安定した収入を」と、夫婦で水耕栽培をスタートさせました。現在は、75坪のハウスで1年中レタスを出荷。さらに、1町歩以上におよぶ畑では、ブルーベリー500本、りんご200本、梨150本、プルーンや桃の出荷も並行しておこないます。








農家&子育ての暮らしとは


現在は、子育てをしながら農業をしている弥生さん。お子さんを保育園に送り出してから、農作業がスタートです。
8:15  保育園送り出し
8:30  作業スタート(出荷準備)
9:00  出荷出発(市内のスーパーや直売所へ配達)
12:00 お昼休憩
13:30 作業スタート(摘果作業・草刈り・ネット設営など)
17:00 保育園お迎え
18:00 夕ご飯・家事
お子さんが小さいうちはこのスケジュールですが、もう少し手がかからなくなったら、今よりもっと農作業メインの生活にしていく予定。レタスの出荷は早朝4時半から摘み取り作業が始まります。





甘くはなかった農業の世界と仲間の存在


今では水耕栽培が軌道に乗って、お得意様も多くできましたが、農業の大変さは日々感じています。小さい頃から家族全員がフルーツが大好きだったので、果樹農家に嫁いだのもとても嬉しかったそうです。しかし、現実は甘くはなく、想像以上に作物は手間暇かかるものでした。


弥生さん 「農業は自然に左右されるので、気が抜けないし休みがないんです。農業を始めて、天気予報の見方が変わりました。風は何メートル?雨の量は?気温は?毎日細かくチェックしています」





熊谷果房では、数年前から、若手農家が参加するマルシェに参加しています。集まるメンバーは、30代が中心なので、とても良い刺激になるそうです。農業を通してできた仲間たちと地域の農業を盛り上げます。


弥生さん 「普段は、作物と向き合って作業しているので、閉鎖的な時間を過ごすことが多いんです。だから、月に1回のマルシェでみんなと会うと、本当に楽しい!農業の情報交換をしたり、繁忙期には手伝いに行くこともあります。助けてもらうこともあるし、とても良い仲間たちです」





弥生さん 「マルシェは、女性の先輩農家さんが中心に動き出しました。10年以上農業に従事している先輩が身近にいて、相談に乗ってくれるのはとても心強いです」
女性が多く在籍している「町家マルシェ」のメンバーは、地元出身者のほかに、弥生さんのように農家に嫁いだ女性や移住してきたメンバーも。野菜の調理方法を提案したり、ポップを工夫したり、女性ならではの細やかな気づかいや接客が好評で、県内でも人気のマルシェです。





この先も夫婦で農業を


秋田県大仙市では、熊谷さんご夫婦のような、新規就農する若手農業者が多くコミュニティも生まれました。これまでの伝統的なノウハウを土台に、若手の柔軟な発想で新しい農業にチャレンジしています。手間を惜しまない熊谷さんご夫婦の農業は続いていきます。


弥生さん 「これからの目標は、特別なことをするのではなく、この家の農園を夫婦で守っていくこと。農業は厳しいこともたくさんあるけど、マイナス思考にならず、楽しく農業をして私たちの仕事と農業を守っていきたいです」





秋田県大仙市は、地域の人が協力しながら、地域を守る文化が根付いています。この地で新たに農業にチャレンジするには、地域コミュニティとの結びつきが成功への近道。明るく行動的で、人との繋がりを築くことが得意な方が多く、地域コミュニティの中心的な存在です。女性ならではの感性やネットワークを活かして、加工品製造やワークショップなどで活躍している先輩農家の方もたくさんいます。大仙市は、農業を通じて、お互いに支え合いながら働くことができる環境が整ってきました。今後も、女性の活躍が期待されます。


【熊谷果房】
秋田県大仙市豊岡上野43−1
公式HP
Instagram
撮影・文 髙橋蕗子

ソトコト

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