客「1600円も払う価値ある?」スタッフ「お客様の感性が決めることです!」 桂浜水族館チケット売り場で発生した「粋なやり取り」に大反響

2023年8月4日(金)8時0分 Jタウンネット

2023年7月25日、次のようなつぶやきがツイッター(X)上に投稿され、話題となった。

つぶやきの主は、高知市にある桂浜水族館の公式アカウント(@katurahama_aq)。「ハマスイ」という愛称で呼ばれ、高知県内はもとより県外からも観客が集まる人気施設だ。

「入場料1600円の価値ある?」と聞かれて、「お客様の感性が決めることです!」と答えたスタッフがいたらしい。なんともウイットに富んだ返答だ。思わず「あんた、一休さんかい?」とツッコミを入れたくなるのは、筆者だけではあるまい。「じゃあ入るわ。大人6名!」と、全員入館した皆さんも、粋というしかない。

チケット売場で、こんな洒落た会話が交わされるなんて。「なかなかやるな、桂浜水族館」という声が、ツイッターに届いている。

「最高や!」
「どっちもセンスあり!」
「スタッフさんのこの感性 大好きだわ!」
「そのスタッフの方に会うために行きたくなる位好きなキャラ」
「ワシなんかハマスイに行きたいが為に石川から行ったぞ!」

投稿にはなんと7万8000件を超える「いいね」(8月1日現在)が寄せられている。

この、高知ローカルの小さな水族館が、全国から注目を浴びるのは初めてではない。むしろ「いつものこと」であると言っていいだろう。

ネットでもリアルでも人気の水族館は、どんなコンセプトの上に運営されているのか?  Jタウンネット記者が桂浜水族館を取材した。

お連れの方がペット?「その世界はおふたりでお楽しみください」

Jタウンネット記者の取材に応じたのは、同館の広報担当者だった。

まず、チケット売場でのエピソードについて聞いてみる。他にもありそうだが、どうだろう?

「当館は、ペット無料同伴が可能な施設ですので、さまざまな生きものが飼い主様と来館されます。ワンちゃんだけでなく、過去には、オウムやインコをはじめ、ブタやヤギ、ロバも入館されました」
「そんな中、大人2名で来館され、お連れの方を指して『ペットです』と言われることがあるのですが、『その世界はおふたりでお楽しみください』と、ご主人様にはお連れの方の無料入館を丁重にお断りさせていただいております......(笑)」(桂浜水族館広報担当)

なんとも徹底した対応ではないか。それも、同館の"基本コンセプト"がいきわたっているからかもしれない。

それは「マイナスをプラスに」。

「地方の小さな水族館で、施設も古くマイナス面が少なくない。あえてそういったマイナス面もマイナスとして片づけずに、プラスに変え、田舎の小さな施設ならではの『アヴァンギャルド』をお客様に楽しんでいただく」のだ、と広報担当者は熱く語る。

桂浜水族館の「桂浜水族感」

桂浜水族館には、創業92年という長い歴史がある。長い歴史で培ったものを大切にしながらも、水族館という枠にとらわれない、新たな挑戦をしたい。それが「桂浜水族感」だという。

「当館はトドやアシカといったヒレアシがトレーニングの一環で館内を散歩したり、エリアから出てお客様のすぐ目の前まで行ったりするのですが、その際に、トドやアシカにふれようとする方がいたり、ここぞという時には、飼育員が『ふれてもいいですよ。でも、ワンタッチ一万円です!』とご案内しております」

「担当者が生きものの精神状態や体調をしっかりと観察し、判断した上で、ふれることを許可しているので、そういった時はふれていただいて問題ありません。もちろん、一万円は冗談なのですが、中には『感動しました。ぜひこの子たちのご飯代に使ってください』と本当に一万を払われた方もいらっしゃいました」(桂浜水族館広報担当)

同館は、飼育・展示する生き物だけでなく、飼育員・スタッフにもスポットを当て、SNSで発信してきた。そのためか、「初めて来たのにスタッフ全員の名前を知っているという方や、むしろ飼育員に会いに来たという方が多くいらっしゃいます」と、広報担当者。

また、スタッフ専用通路がないため、スタッフが館内を移動する際はお客様と同じ通路を通る。すれ違いざまに挨拶をしたり、小話をしたりと、アットホームな雰囲気らしい。

このウェルカムな空気感、陽気な親しみやすさが「桂浜水族感」なのだろうか。

この夏は桂浜水族館の生き物たちと、スタッフにも会いに行ってみないかい、お客Summer?

Jタウンネット

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