東北大、立場によるコロナ感染不安比較…妊婦は突出
2022年8月23日(火)10時45分 リセマム
東北大学大学院教育学研究科の若島孔文教授を中心とした研究グループは、あらゆる時期のさまざまな立場の人を対象に、COVID-19への不安に関する継続的な調査を重ねてきた。今回、これらのデータを統合し、感染拡大初期(2020年5〜6月時点)における立場による感染不安の強さや関連要因の違いについて総合的な分析を行った。対象は、一般対象者・妊婦・看護師・大学生。インターネット調査で新たに収集した一般対象者450名、妊婦318名、看護師152名、大学生300名の回答も含む。
分析によると感染不安は妊婦がもっとも多く、ついで一般対象者と看護師、大学生の順となった。特に妊婦は突出して高く、一般対象者と看護師の間には統計的に差が認められなかった。この結果から、妊婦のメンタルヘルス支援の重要性が示され、病院で働く看護師はCOVID-19に関する情報量が多く、感情の麻痺が起きていた可能性や、専門的な技術や知識があることで感染不安を感じにくかったことが推察される。
さらに、ステップワイズ法による重回帰分析を用い、感染不安の関連要因について調査したところ、大学生と妊婦では「主要な情報源」、看護師では「高齢の家族との同居」が感染不安と関連していることがわかった。一般対象者にはこれらの結果が示されなかったことから、それぞれの立場に特徴的な結果であると推察される。
また、新聞やテレビ等の伝統的なメディアは、妊婦の恐怖心を高めている可能性が指摘されているが、大学生にも同様の結果がみられた。これは妊婦や大学生が、比較的対人接触が少ないことと関係していると推察され、SNS等のメディアは感染不安の低減に役立っていたのではないかと考えられる。