今後も扶養内で働きたい人が6割以上! その理由は「働き損回避」だけじゃない? 子育て世帯の切実な問題が浮き彫りに

2021年8月28日(土)10時30分 マイナビ子育て

子育て世帯には夫婦のどちらかが扶養内で働いているケースも少なくないかと思います。先日、政府が「年収の壁」の対策として発表した「年収の壁・支援強化パッケージ」の話題が記憶に新しい方もいることでしょう。こうしたなか、今後も年収の壁を意識し扶養内で働きたいと考える方はどのくらいいるのでしょうか。理由もあわせてご紹介します。

扶養内で働いている女性の本音とは

昨今、いわゆる「年収の壁」が話題となっています(記事末尾「年収の壁とは」参照)。段階的な社会保険の適用拡大(※1)によって、社会保険上の扶養内の条件が変わっていくためです。これまで配偶者の扶養内で働き社会保険に加入していなかった人も、加入義務の対象となる場合があります。

そうしたなか政府は今年10月、「年収の壁」を気にせず働けるよう、当面の対策として「年収の壁・支援強化パッケージ」を10月から開始(※2)。その中身は、パートやアルバイト勤務の人が社会保険料によって手取りが減らない取り組みを実施する企業に、労働者一人当たり最大50万円の助成金を支給する、などというものです。

子育て世帯のなかにはフルタイム勤務ではなく、パート勤務などで配偶者の扶養内で働いている人も少なくないでしょう。今回の支援策は企業の人手不足対策の面もあるといえますが、実際のところ、扶養内で働いている人たちは、年収の壁の問題が解消したら扶養外でもっと働きたいと思っているのでしょうか。

そこで今回は、コネヒト株式会社が働く女性1500人を対象に行った「年収の壁についてのアンケート」から、扶養内で働いている女性の本音をご紹介します。

(※1)社会保険適用拡大特設サイト/厚生労働省(※2)年収の壁・支援強化パッケージ/厚生労働省

扶養内で働く理由は「年収の壁」だけじゃない

アンケートで「現在、扶養内で働いている」と回答した女性のうち、今後も扶養内で働きたいという人は64.7%にのぼりました。では、その理由としては何があるのでしょうか?

扶養内で働き続けたい理由の上位3つは、「税金や社会保険料を払わなくていいから」(70.9%)、「負担のかからない働き方をしたいから」(68.5%)、「家族と家事育児分担をするのが難しいから」(65.5%)でした。

このことから、必ずしも納税や社会保険料による手取り収入の減少を避けるためだけが理由ではないことがわかります。子育てや家事の負担もあるなかでの可能な就労条件として、パート勤務が選ばれている面も大きいと言えるのです。

「扶養外で働くとキャパオーバー」との声も

「扶養内で働き続けたい理由」の具体的なコメントを一部、以下に紹介します。

✅「中途半端に働きすぎると損、損しない働き方をすると家庭との両立が難しくなる。家計は苦しいけれど年収100万円以下の扶養内で働きたい」(30歳女性、末子2歳、パート・アルバイト)

✅「子どもが小さく、なるべく一緒にいてあげたいという気持ちが大きいが、仕事にもやりがいを感じている。しかし夫の仕事がどうしても遅くなるため、私が保育園の迎えや体調不良の対応を担わないといけない。それを考えるとやはり今は扶養内で働くことがベスト」(30代女性、末子2歳、パート・アルバイト)

✅「産後に体調を崩し、扶養内で働くようになった。夫は在宅勤務もたまにあるが仕事量が多く、親族も遠くに住んでいるため、私がたいてい全てこなさなくてはいけない。お金は確かに欲しいが、扶養外で働くとなるとキャパオーバー」(40代女性、末子2歳、パート・アルバイト)

こうしたコメントからも、短時間勤務、扶養内で働くことを選択する背景には家事や育児の負担が大きく関係していることがわかります。年収の壁を解消するために当面の策が講じられるのみでなく、家事や育児の負担の偏りが同時に解消されていくことが求められると言えるでしょう。単に家庭内の分担の問題ではなく働き方にかかわる問題として、企業や国などが連携して取り組み、解決に向かっていくことが望まれます。

年収の壁とは

扶養控除には「税制上の扶養」と「社会保険上の扶養」の2つがあり、扶養控除の違いによっていくつかの「年収の壁」が存在します。主な年収の壁が以下です。

<税制上の扶養内>✅103万円の壁:自身が年収103万円を超えると、税制上の扶養から外れるため、所得税を納める必要がある

<社会保険上の扶養内>✅106万円の壁:従業員が101人以上(※)の勤め先で年収106万円を超えると、月収、週の労働時間などの条件によっては社会保険の扶養控除から外れ、厚生年金や健康保険に加入する必要がある(※2024年10月からは従業員数51人以上にまで拡大)

✅130万円の壁:従業員が100人以下の勤め先でも、年収130万円を超えると社会保険の扶養から外れ、国民年金や国民健康保険の保険料を納める必要がある

これらの壁を超えてしまうと、納税や社会保険料の支払いによって手取り収入が減ってしまうため、それを避けるために労働時間などを調整する人が多いと考えられます。

(マイナビ子育て編集部)

画像はイメージです

<調査概要>

年収の壁についてのアンケート■調査期間:2023年3月11日〜3月12日■有効回答数:1,553件■調査方法:インターネット調査■調査対象:コネヒト社サービス利用者■調査機関:コネヒト株式会社

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