モグモグしている... 名板を飲み込む「食いしん坊な木」に反響→何故こうなった?大丈夫なの?樹木医に聞く

2023年10月6日(金)8時0分 Jタウンネット

植物もやっぱり生きているんだ──そんなことを再認識させてくれる写真が、X上で注目されている。

こちらは、多摩川を中心に活動する自然観察指導員・のん(@365nitiyasou)さんが2023年9月12日に投稿した写真だ。

一本の木の幹の中ほどに、樹木の名前が記されたネームプレートが取り付けられている。その様子が、少しおかしい。少し近付いてみよう。

プレートの上部が、幹の中にめり込んでしまっているのだ!

誰かが意図的にめり込ませた、というよりは、樹木の方が自然と飲み込もうとしているような雰囲気。まるでネームプレートを「もぐもぐ」しているかのような木に、X上ではこんな声が寄せられている。

「すごいほおばってる笑」
「ハムスターみたいな食べ方でかわいいですね」
「ほっぺがかわいいですね。自然の力はすごいなぁ」

Jタウンネット記者は21日、投稿写真の木についてのんさんに話を聞いた。

「木からしたら災難かもしれません」

のんさんが「木」を発見したのは千葉県某所。シロダモというクスノキ科の樹木で、自然観察会の下見をしている際に見つけた。

ネームプレートが幹に飲み込まれかけている理由について、のんさんはこう推測する。

「木が成長するにあたり、ネームプレートと接触して、こすれたところが傷になっているのだと思います。そして、これ以上傷口が広がらないように、急いで覆いかぶさろうとしたのかなと推測されます」

のんさんは、投稿写真のような状況は「木からしたら災難かもしれません」と振り返る。こうなってしまうと、取り外そうにも木を傷つけてしまう可能性もある。

それを防ぐために、ネームプレートは木の成長も見越した伸縮性のある素材などを使ってもらいたいとのことだ。

樹木が異物を飲み込んでしまうことは、よくある事例なのだろうか。また、木の成長や存続に影響はないのか。記者は10月3日、樹木医で石黒植物園(三重県鈴鹿市)の代表取締役を務める石黒秀明さんに写真を見てもらい、詳しい話を聞いた。

樹木医の見解は...

石黒さんによると、樹木が異物や構造物を飲み込む事態は、両者の位置関係によって発生する場合がある。頻度は多くないものの、「見かけることは普通にある」状態とのことだ。

「樹木はまず異物、構造物を『押しのけよう』とします。しかし、『これは無理だ!』となると、今度は飲み込みが始まります。飲み込みが始まれば、後はその樹木の成長と時間により、投稿写真のような状態になります」(石黒さん)

ただ、「樹名板が飲み込まれるケースはおそらく初めて見たかもしれません」と石黒さん。樹名板は通常、飲み込まれないように樹木の肥大成長(二次肥大成長)に合わせて伸びるようにスプリングが使われている。そのため、通常は飲み込まれるようなことはないのだそうだ。

石黒さんは、投稿写真のような状態は、樹木の成長そのものや、花を咲かせて実を実らせ種子を巻き子孫を増やす、といった生存戦略にはさほど影響はないと説明する。

「しかし、強度には大きく影響します。このシロダモのようなケースですと、この看板方向(または逆)への物理的強度は低下しますので、強風などで折損する可能性は高まったと言えます。つまり存続には影響すると言えるでしょう」(石黒さん)

こうした事態を防ぐための対策法としては、飲み込みが始まった初期にその異物を取り除く、そもそも異物になりそうな構造物を樹木の近くに長期間置かない、などが挙げられるとのことだ。

Jタウンネット

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