田中泯×ヴィム・ヴェンダースの短編映画『Some Body Comes Into the Light』東京国際映画祭にて上映決定

2023年10月9日(月)14時0分 シネマカフェ

『Some Body Comes Into the Light』

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『PERFECT DAYS』のヴィム・ヴェンダース監督による短編映画『Some Body Comes Into the Light』が第36回東京国際映画祭にてワールドプレミア上映されることが決定した。

本作は、役所広司主演の最新作『PERFECT DAYS』に出演する田中泯との奇跡のコラボレーションで生み出された短編映画で、『PERFECT DAYS』撮影最終日に日本で撮影されたもの。しかしあまりに鮮烈なその映像は引力があり、本編のなかにはおさまりきれなかったのだという。

カンヌ国際映画祭の後、ヴェンダース監督はあの映像を一つの作品にすることを思い付き、『ピナ 踊り続けるいのち』やヴェンダース財団などでヴィム・ヴェンダース監督とも創作をともにしている世界的に活躍する音楽家、三宅純氏の音楽と出会い、より美しく神秘的な作品として完成。美しい時と光の揺らぎ。言葉のない、唯一無二の物語となっている。

本作は東京国際映画祭期間中に4回の上映を予定。ヴェンダース監督のもうひとつの新作、戦後ドイツを代表する画家、アンセルム・キーファーの美しきドキュメント『ANSELM』、そして第73回ベルリン国際映画祭にて最優秀脚本賞(銀熊賞)を受賞した『MUSIC』との併映となる。

また、『MUSIC』との併映、丸の内TOEIでは、田中泯、高崎卓馬(映画『PERDECT DAYS』脚本・プロデュース)、三宅純(音楽)による舞台挨拶も実施される。

【ヴィム・ヴェンダース監督 コメント】
田中泯とは何年も前に出会い、彼の踊りを観たこともある。
親しくしていた友人のピナ・バウシュにとって彼は偉大なヒーローで、大きなリスペクトとともによく話しを聞かせてくれました。
だから、私たちの映画『PERFECT DAYS』で小さな役を演じることを泯さんが引き受けてくれたときは、本当に胸が踊りました。でもその一方で、不安を覚えました。
泯さんの才能を見せるのに十分な時間が映画のなかに本当にあるだろうか、この映画で彼の存在を本当にうまく表現できるのだろうか、そう自分を疑ったのです。
ほとんどの人からは「見えない」が、主人公の平山にとっては確実に存在する「ただの」ホームレスという小さな役を演じているとき、泯さんはかなり落ち着いていた。私はそれで心強い気持ちとともに、この役を大切にしようと心に誓いました。

なのに撮影が終わりにさしかかった頃、再び同じ疑念がわいたのです。
泯さんの大いなる才能を思えば、まだ存分に描ききれていないと感じたのです。
撮影の最終日、この日は主役の役所広司さんは不在で、いつもであれば足りない街の実景の撮影に充てるのですが、私はその半日を泯さんの撮影に使いたいと皆に言いました。撮影スタジオを用意して、撮影のフランツ・ラスティグが本物の木をたくさん用意して、泯さんのパフォーマンスを余すところなく撮影しました。彼と木々のみで、他にセットは一切なく、ただ光と影だけでした。大きな木漏れ日のなかの田中泯、と言えるかもしれません。映画のなかの夢のシーンで、この映像をふんだんに使えるという期待がありましたがそれでも結局、泯さんの登場は少ないままでした。

私は突然に(カンヌ映画祭の受賞式の最中に)思いついたことを、良き友であり脚本を一緒につくった高崎卓馬氏に話しました。『PERFECT DAYS』のためにまだやり残したことがある、泯さんのあの踊りの映像の完全版を編集することだ、と。
それがついに完成して、この作品を、そしてあの映画のホームレスの存在が、平山だけでなく世界中のたくさんの人々の目に触れる。
そのことをとても誇りに思います。

泯さん、あなたは私が今まで出会った人の中でも、極めて素晴らしい人です!

ヴィム・ヴェンダース

『Some Body Comes Into the Light』は10月26日(木)より丸の内TOEIほか、第36回東京国際映画祭にて上映。

『PERFECT DAYS』は12月22日(金)よりTOHOシネマズシャンテほか全国にて公開。

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