PMDDや不眠症を乗り越え、人に弱みを見せながら生きていく|SNSコンサルタント/プロデューサー・齊藤澪菜さん

2023年11月9日(木)16時30分 ソトコト


地方で働く女性、都心で働く女性、子育てをしながら働く女性、さまざまなライフスタイルを送る女性たちを取り上げ、女性の健康課題や社会課題について考える対談コンテンツ『フェムコト』。


今回対談させていただいたのは、SNSコンサルタント・プロデューサーの齊藤澪菜さん。大手企業とタッグを組みながら仕事に全力投球する傍ら、Instagramで発信する自身の素敵すぎる ライフスタイルも注目を集めています。今回の対談では、そのパワフルな姿からは想像できないほどPMDD(月経前不快気分障害) に悩まされた経験なども、赤裸々に語ってもらいました。


ー齊藤さんの3つのルールー


RULE1.話題のコンテンツは片っ端からすべて観る
RULE2.休日に仕事は一切持ち込まない
RULE3.人に弱みを見せることを恐れない


〈Profile〉
SNSコンサルタント/プロデューサー・齊藤澪菜さん
さいとう・れな 1992年生まれ。神奈川県出身。大日本印刷株式会社のグループ会社時代にwebメディア『CELESY』編集長、新規事業担当を歴任。2018年からgrass株式会社でエグゼクティブ・プロデューサーに。松屋フーズやアサヒグループ 、ReFaなど大手企業のSNSリブランディングを行うなど、実績を多数誇る。https://www.instagram.com/rena62s/


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幼少期からの小さな成功体験で自己肯定感が高まった


フェムテックtv:まずは齊藤さんの生い立ちからお話を聞かせてもらえればと思います。


齊藤さん:母親が「やるからには一番を取りなさい」という教えだったんですね。母親が小さな成功体験を積ませるタイプだったんです。大変でしたが、そこで自己肯定感が高まっていった気がしますね。


フェムテックtv:勉強も運動もできた華やかな学生生活を経て、高校卒業後は、どんな進路に進まれましたか?


齊藤さん:専門学校に入学しヘアメイクを学んで就職先の内定を頂いたものの、学校を途中で辞めることに。そこから私は英語を学ぼうとアメリカのLA に行ったんです。そこで留学中にLA留学奮闘ブログを書いたんですよね。当時、留学系ブログっていうカテゴリー自体が流行っていたこともあり、ブログの数字が一気に伸びたのも大きな転機です。そこで視野が広がり“美容以外にも世の中っておもしろいことがあるかもしれない”と思いました。


LA留学中。


フェムテックtv:帰国後、webメディア『CELESY』の編集長になったんですよね。


齊藤さん:そうですね。アルゴリズムやSNS上の数字を観るのが好きでPV数などを上げるのは得意だったので、すごく順調にお仕事をさせてもらいました。メディアで発信していたのも、当時大流行していた海外セレブのファッションやゴシップの話題。ブログ時代のファンがInstagramに移行し、そのファンの方たちも見てくれていました。そこから周囲の人も“これからはSNSが マーケットだな”とSNSの重要性を理解したようです。


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不眠症で精神崩壊もキックボクシングで完全復活


フェムテックtv:そこから現在の会社に入社したわけですが“SNSコンサルタント・プロデューサー”とは、具体的にどのようなお仕事なのでしょうか?


齊藤さん:企業のオフィシャルInstagramのアカウントをディレクションするのが主な仕事です。クライアントの課題に対してSNSというプラットフォームを使い、 どうリブランディグしていくか。基本的にクライアントさんは年間契約で、チームになって二人三脚で取り組んでいます。クライアントさんごとに一緒に組むクリエイターも異なり、オーダーメイドでチーム構成を考えています。


フェムテックtv:牛丼チェーンの松屋のInstagramをバズらせたのは話題になりましたが、基本は年間契約なんですね。


齊藤さん:例えば1カ月に9枚の写真をInstagramに載せたからって、世の中のイメージが変わるわけではありません。松屋フーズさんは、一緒にお仕事して4年目ですね。


お仕事風景をGinaに取材してもらいました。

フェムテックtv:いくつもの案件が同時進行するというハードな生活だとは思いますが、健康面で気にかけていることはありますか?


齊藤さん:キックボクシングをしています。2年前に人間関係のトラブルで不眠症になってしまって。一時は精神科に行くことも考えました。夜中に何度も起きて朝も4時頃に目が覚めてしまう。お酒を毎晩1〜2本飲まないと寝られない状態でした。それをたまたま遊びに来た妹に見つかってしまったんです。心配されるどころか「やればできるだろ!」と鼓舞されて、キックボクシングとバスケットボールとピラティスを同時に始めることになりました。特にキックボクシングは自分に合っていたみたいで、フィジカルもメンタルも鍛えられましたね。    


キックボクシング。

フェムテックtv:ご自身にとって必要な時間なんですね。SNSコンテンツを観るのにも膨大な時間を費やしているかと思います。どんなものをチェックしていますか?


齊藤さん:テレビでYouTubeやNetflix、スマホでInstagramやTikTok、iPadで誰かのLIVE配信を観るというのを同時に行っています。お風呂でもツーデバイスでチェック。いわゆる“今話題だよね”みたいなコンテンツは必ず全部観る。“バズったわけ”が知りたいから、ただ楽しむという素直な感情で観ているわけではない。考察とかも全部調べてしまいます。きっと探究心が強すぎるんですよね。


フェムテックtv:SNSとの上手な向き合い方はありますか?  中にはSNSを観ることで、人と比較して落ち込んでしまう方も多い気がします。


齊藤さん:すごく簡単にできるのは、保存機能でフォルダ分けをするんです。“こんなホテルに泊まってていいな”と思ったら『泊まりたいホテル』、“美味しそうな食事だな”と思ったら『行きたいレストラン』とか。


フェムテックtv:落ち込むためではなく、気分を上げるために使う。すごく実用的な解決策ですね。ちなみに休日はどのように過ごされていますか?


齊藤さん:平日はフルで働くので、どんなにしんどくても、どんなに病んでても、休日の2日間で完全に調整をするようにしています月曜日に万全な自分でいるためにも、必要な時間なんですよね。土日も平日と変わらず朝は6時頃に起きています。


昨年夏、ミラノを旅した時の一コマ。

結婚・妊娠・出産のリミットに焦りや迷いはある


フェムテックtv:女性特有の健康課題に悩まされたことはありますか?


齊藤さん:コロナ禍前、海外出張が多かった時期に、生理前のPMDDに 悩まされました。 寝ていても、急に不安に襲われ起き上がり泣き始めることも。ただ当時は、生理前だからとか、ホルモンの周期でそうなっているという自覚が全くなくて。  “仕事に疲れてプレッシャーに耐え切れないメンヘラな私”という解釈だったんです。親からも常に「やればできる」と言われながら育ってきて、“強く生きなきゃいけない”と思っていたんですよね。そんなとき友達からCBD(カンナビジオール) を勧められて。愛用するようになってからは、気分が落ちなくなりました。


お気に入りのCBDはPASOのVAPEタイプ。

フェムテックtv:気になったものはすぐに取り入れている齊藤さんですが、フェムケアで注目しているものはありますか?


齊藤さん:デリケートゾーン用のワイプシートをある企業と開発をしていて、12 月にローンチします。海外ではこの手のアイテムはよく売られているんですが、日本ではまだ少なくて。ポケットに忍ばせて持ち歩けるような個包装タイプなので、生理前後の不快に感じるときやセックス前後などにも使えます。


フェムテックtv:仕事もプライベートもパワフルな齊藤さんですが、今後はどんなライフプランを描いていますか?


齊藤さん:31歳になって、仕事だけに集中していると、結婚・妊娠・出産というライフステージはどうするんだろうと考えているところです。一生懸命働いてやっと稼げるようになって、遊びにも行ける。海外旅行も行きたい。それが紙オムツとミルクに消えていく生活に対して、誰もが少しネガティブになる気持ちもわかる。ただ“私の閉経はこの辺だぞ”と。キャリアを取るのか、プライベートを取るのか。カッコよく言ったらどっちも取っていく、なんですが。本当に悩みます。結婚に興味があること自体、意外だと言われるんですけどね。


フェムテックtv:葛藤されているのは、確かに意外な気もしました。


齊藤さん:結婚もしたいし子供も産みたいです。ただ、今妊娠したら困ってしまうのも正直なところ。有難いことに新規案件が多いのですが、私がチームに入ることありきだと、途中で抜けることになりますよね。それに“そもそも私の体は大丈夫なのかな?”ってところもあるので、まずは婦人科検診に行くところからですよね。それが答えなのかもしれません。


フェムテックtv:まずは行動することからですね。最後に、齊藤さんが思うウェルビーイングな社会とは?


齊藤さん:“弱みを見せられるか”だと思います。自分の弱さを理解して、周りにも見せられる人が一番強い。“サポートしてあげたい”と思われる人が、結局は長く走れる気がします。その体制を作ってくれた会社には本当に感謝しているので、私は一生独立できない(笑)。男性も女性も苦手なことや弱みをもっと言えるようになったら、みんなラクになるんじゃないかな。やさしい世界ってそれかもなって、最近思います。


Photo:Mie Nishigori

ソトコト

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