「この悲しみはいつまで続くのか…」大切な人との死別、向き合い方を専門家と考える。第三者から得る、生きるためのヒント。11月23日は【グリーフを考える日】
2024年11月23日(土)12時30分 婦人公論.jp
(写真提供:Photo AC)
本日、11月23日は「グリーフを考える日」です。大切な人との死別をはじめとする「喪失」を体験した人の悲しみを癒やすサポートを「グリーフケア」と呼びます。関西学院大学「悲嘆と死別の研究センター」の坂口幸弘さんと赤田ちづるさんは、大学で教育や研究をするかたわら、病院や葬儀社と連携してグリーフケアの支援活動を行っています。今回は、お二人の著書『もう会えない人を思う夜に 大切な人と死別したあなたに伝えたいグリーフケア28のこと』から、死別と向き合い、再び歩き出すためのヒントを一部ご紹介します。
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死別の悲しみとどう向き合うか
自分が今どのような状態なのか、悲しみにどう向き合ってよいかもわからず、途方に暮れてしまうことがあります。
心の中で何が起きていて、自分はこの先どうなってしまうのか。
この悲しみがいつまで続くのか。
先が見えないことへの不安を感じている人もいるでしょう。
私どもの遺族会に来られる人の中にも、「この悲しみや苦しみはいつまで続くのですか」というような質問をされる人は多くいます。
自分が経験している死別という体験について、知ることが大切です。
関連する本や、自分と同じような経験をした人の体験談を読んでみてはいかがでしょう。死別を経験した人が書いている手記などを、インターネットやSNSで探してみるのも一つの方法です。
講演会や勉強会に出かけてみるのもいいかもしれません。
実際、私が出会ったご家族の中には、死別に関するたくさんの本を読み、マーカーで線を引いたり、付せんを貼ったりされている人も少なからずいて、何度か見せてもらったことがあります。
もちろん、とてもそんな気になれないという時期に、無理を押してまで読んだり、聞いたりする必要はなく、関心が向いたときでかまいません。
自分だけじゃないと勇気づけられて
また、老若男女を問わず、インターネットで「死別」と検索して、ご遺族の体験談を読んでいる人も多くいます。
死別体験についての知識や情報を得ると、今の自分が置かれている状況を客観的に受けとめ、自分がどのような状態なのか、心の中で何が起きているのかを理解できるようになることがあります。そうすると、少し安心できるかもしれません。
夫を亡くした40代の女性は、インターネット上で似たような死別を経験した人の体験談を読んだそうです。
「周囲の人はもう1年たったのだから……とか、いつまでも悲しんでいても……と言いますが、ずっと悲しくて寂しくてあたりまえなんだと思えるようになりました。私がおかしいわけではなくて……」
この女性は、同じような体験をしている人がほかにもいることを知って、「自分だけがこのような体験をしているのではない」と、勇気づけられたようです。
類似の体験をした人の話を聞いたり読んだりすることが、生きていくうえでのヒントを得たり、自分のこれからを少し見通せるようになることにつながります。
本や体験談から希望をもつ
妻を亡くした50代の男性の次の言葉にもそれが表れています。
「本を読んでみて、悲しみは変わらないけれど、この身を裂かれるような苦しさが永遠に続くわけではないと思えるようになりました。そして、大切な人を亡くして悲しんでいるのは自分だけではないこともわかりました」
(写真提供:Photo AC)
子宮がんで妻を亡くした70代の男性のお話です。
多くの体験談を読んで、「こんなにいつまでも悲しんで、生きる希望が見いだせなくなって、自分がおかしいと思っていたけれど、今はこれでいいと思えるようになりました」と話されていました。
時間をかけて悲しみとうまくつきあえるようになった人を見て、自分もそのうちそうなるだろうという希望をもてるようになったそうです。
役に立ちそうな情報、知識を選ぶ
死別という体験について、体験談や書籍から知識を得ることは大事です。
とはいえ、見聞きしたことがすべて自分にあてはまることはないものです。
死別の体験は個人差が大きいため、とくに体験談の場合には、納得できて参考になるところもあれば、ならないところもあります。
得られた情報や知識にしばられすぎず、自分にとって役に立ちそうなものだけを選び取っていくのがいいかもしれません。
POINT
知識はいつかきっとあなたを支えてくれる
※本稿は、『もう会えない人を思う夜に 大切な人と死別したあなたに伝えたいグリーフケア28のこと』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。