今が旬の「ラ・フランス」実は日本でしか生産していなかった!その“驚きの理由”

2024年12月7日(土)11時0分 女性自身

「ラ・フランス? それって梨なの? こっちでは聞いたことないけど」


10〜12月に店頭に並ぶ、今が旬の洋梨「ラ・フランス」。


日本の和梨と違って、食感もとろりとした舌ざわり。熟すと芳醇な香りが漂い、あふれる果汁と甘くて上品な味わいはまるでスィーツのよう。


さすがグルメ王国フランスの梨! さぞかしフランスでも人気なのだろうと、パリ在住10年の知人に聞いてみたら、返ってきた答えがコレ。


なんとラ・フランスは、その名のとおりフランスで生産されているというわけではないらしい……。


フランス大使館に問い合わせたところ次のような回答が。


「こちらで農産物などのサイトを調べたところ、フランス語では『ラ・フランス』に関する情報がほぼ皆無であり、あまりお伝えする情報がなさそうです。


そもそも『ラ・フランス』という品種の知名度がフランス、ヨーロッパでかなり低いことに起因しているのだと思います。


フランスでよく食される品種は、西洋梨のウィリアム種、それからカンファレンス種などです。


とはいってもフランスでまったく生産していないということなどはこちらではわかりかねます。お力添えできずに恐縮です」


店頭にラ・フランスがたくさん並ぶ高級スーパーに聞いてみると、ラ・フランスのほとんどが山形県産だとか。


そこで、野菜・果物などの農産物や菓子・食品など山形の特産品ほぼ全てを扱う『清川屋』(創業350年以上!)に、ラ・フランスを取り巻く状況を教えてもらった。


「ラ・フランスは、実は原産国であるフランスでは1900年代初頭にはほとんど作られなくなっています」(清川屋・広報部)


その理由は、ほかの洋梨に比べて実をつける期間が1カ月ほど長いこと。病気にかかりやすく手間がかかることだという。


ヨーロッパの気候がラ・フランス栽培には不向きなこともあり、現在ラ・フランス栽培をしているのは“世界中でも日本だけ”。ラ・フランスは、オレンジやレモンのような輸入品ではなかったのだ。


「ラ・フランスは、洋梨の品種の一種。その名の通り、フランス生まれの洋梨です。


1864年にClaude Blanchet(クロード・ブランシュ)氏が発見し、その美味しさに感動! フランスを代表する果物にふさわしい、と絶賛したことから「ラ・フランス」と名付けたといわれています」(前出・清川屋広報部・以下同)


日本に入ってきたのは、1903年(明治36年)。だが、ヨーロッパ各国では気候が合わないため、フランス本国では1900年代初頭には作られなくなったといわれている。


「山形県でも大正初期にやってきたものの、当時は洋梨を生で食べる習慣がなく、缶詰用洋梨を育てるための受粉用の品種だったので、長く一般に流通することはありませんでした。


生食として世の中に知られるようになったのは1980年代以降のこと。


ラ・フランスが注目されるようになったのは意外と最近のことなのです」


洋梨は、ヨーロッパ原産のバラ科ナシ属の樹に実る果実の総称。西洋梨とも呼ばれている。


現在では世界各国で広く栽培され、品種が非常に多い。なんと世界に4000品種ほど存在しているらしい。


日本で栽培されているのは20品種程度。その中のひとつが「ラ・フランス」なのだ。


洋梨は比較的冷涼で雨の少ない地域が栽培に適しているといわれている。


山形県の内陸地方はこの環境にぴったり合うことから、ラ・フランスの生産量が全国第1位。全国生産量の約80%を占めている。


山形県では、4〜6Lサイズという超大玉のラ・フランスも作られていて、人気は高い。


日本国内で栽培されている洋梨の品種はほかにも、レ・ルクチェ、バートレット、オーロラ、ゼネラル・レクラーク、マルゲリット・マリーラ、メロウリッチなど多々あるが、生産量も人気もラ・フランスがダントツ1位なのだ。


ところで、「ラ・フランス」は、日本独自の名称。本国フランスでは発見者の名を取り『Claude Blanchet』品種と呼ばれる。


日本では洋梨といえば、ラ・フランスのイメージが強いが、今や、「ラ・フランス」はメイド・イン・ジャパンのフルーツと言えるだろう。


(取材協力・写真提供:清川屋)

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