フラミンゴは水を操る達人だった!小さな竜巻を作り、餌を効率よく食べていたことが判明

2025年5月18日(日)17時0分 カラパイア


image credit:unsplash


 フラミンゴは、くちばしを水に突っ込み、水ごと餌を吸い込みながら、餌だけこし取って水を吐き出す独特の食べ方をすることで知られている。


 これは濾過摂食[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BF%BE%E9%81%8E%E6%91%82%E9%A3%9F](ろかせっしょく)と呼ばれる方法だが、実はただやみくもに水を吸い込んでいるわけではなかった。


 カリフォルニア大学の新たな研究によると、フラミンゴは足とくちばしを駆使して水中に小さな竜巻のような渦を作り、餌を自分のもとへ引き寄せていたという。


 まさに能動的に水を操る「流体力学の達人(鳥)」で、その技術は餌の捕獲効率を最大7倍にまで高め、他の鳥にも思わぬ恩恵をもたらしているという。


水ごと吸い込み餌だけ飲み込むフラミンゴの食事法


 フラミンゴが行っている濾過摂食[https://karapaia.com/archives/52294297.html]とは、動物の餌の取り方の1種で、水ごとエサを吸い込み、内部の櫛状構造「ラメラ」で水とエサを分けて、餌だけを飲み込むという仕組みだ。


 ラメラとは、くちばしの内側にびっしりと並んだ細かいヒダのような構造で、水だけを外へ吐き出しつつ、小さな獲物だけを引っ掛ける、いわば天然のフィルターのようなもの。


 フラミンゴは雑食性で、エビなどの甲殻類、水生昆虫や幼虫、藻類、プランクトンなどを食べている。餌に含まれる「カロテノイド」という色素から、体がピンク色になることも知られているね。



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フラミンゴが水中で起こしていた小さな竜巻


 アメリカ・カリフォルニア大学のビクター・オルテガ・ヒメネス博士は、アトランタ動物園でフラミンゴの採餌行動を観察中、「水面では波紋しか見えないが、水の中ではもっと複雑なことが起きているのでは?」という疑問を持った。


 そこで、アメリカ国内の4つの大学が参加した大規模なプロジェクトが始まった。


 水中カメラとレーザーを用いて、水中の泡や粒子の動きを可視化。さらに3Dプリンターでフラミンゴのくちばしや足の模型を作り、水流実験を行った。


その結果、何とフラミンゴは、足とくちばしの動きを組み合わせて、水中に小さな竜巻のような渦を起こしていることがわかったのだ。



UC Berkeley/Youtube[https://www.youtube.com/watch?v=MDzIufdF3KA]


足とくちばしを使って水を操り渦を作る


 この渦は、足とくちばしを利用して作ったものだ。


 フラミンゴの足には水かきがあるが、実は非常に柔らかく、地面から持ち上げるときに水の中でうまく形を変えて真空状態を防ぎ、泥を巻き上げるように動く。


 足を下ろすときに広げ、引き上げるときに閉じる。これを繰り返すことで、泥の中に眠っていた微小な餌が水中に舞い上がる。


 そして特徴的なL字型のくちばしの出番だ。


 水を上向きに引き上げるように動かすことで、さらに別の渦を発生させる。さらにくちばしの下側を素早く「カチカチ」と震わせる動きで、左右に対称な渦が生まれ、水中の餌となる粒子をくちばし内部へと循環させる仕組みになっている。


 このように水流を操作し渦を作ることで、フラミンゴの捕獲効率はなんと7倍にもなるという。


 研究チームが再現モデルで実験したところ、その渦の力で水中の粒子が効率よくラメラに導かれていたという。



UC Berkeley/Youtube[https://www.youtube.com/watch?v=NBkrXU7N6kw]


舌をピストンのように動かし水流をコントロール


 だがこれだけではない。フラミンゴの舌は非常に発達しており、ピストンのように水を吸い込んでは押し出す動作を繰り返すことで、くちばし内の水流を精密にコントロールしている。


 つまりフラミンゴは、足で水底を掻き、くちばしで渦を作り、舌で流れを制御し、ラメラでこし取るという、水を操る「流体力学の達人」なのだ。



UC Berkeley/Youtube[https://www.youtube.com/watch?v=3cgcF8th5Nk&t=10s]


ちゃっかりと他の鳥も恩恵にあずかっていた


 自分たちが効率よく餌を食べられるように編み出したフラミンゴのこの技だが、それに便乗する鳥もいる。


 チドリ目シギ科のアメリカヒレアシシギ[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E3%83%92%E3%83%AC%E3%82%A2%E3%82%B7%E3%82%B7%E3%82%AE]は、フラミンゴの周囲で採餌することで、なんと餌の摂取量が2倍にもなるという。


 フラミンゴが水流を利用して集めた餌のおこぼれにあずかっているのだ。



フラミンゴのまわりに群がり、餌を食べるアメリカヒレアシシギ Photo by:iStock


 濾過摂食を行っているのは、他にもジンベエザメ、マンタ、クジラなどがいるが、これらの生物も同様の渦技術を使っているのかどうか、研究チームはさらに調査を続ける予定だという。


 研究チームは、他の動物も同様の渦技術を使っている可能性について、さらに調査を続けている。


 この研究は『 Proceedings of the National Academy of Sciences[https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.2503495122]』誌(2025年3月25日付)に掲載されている。


References: Flamingos create water tornados to trap their prey[https://news.berkeley.edu/2025/05/12/flamingos-create-water-tornados-to-trap-their-prey/]

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