むしろ公式じゃなかったことにびっくり!ハクトウワシがアメリカの国鳥に正式認定
2024年12月28日(土)17時0分 カラパイア
Photo by:iStock
アメリカを象徴する鳥といえば、堂々とした姿が印象的なハクトウワシを思い浮かべる人が多いだろう。
しかし意外なことに、このハクトウワシはこれまで「国鳥」として公式に認められていたわけではなかった。伝統的に国鳥扱いされてきたものの、法律で正式に制定されたものではなかったのだのだ。
そんな中、2024年12月24日、ジョー・バイデン大統領がハクトウワシを正式に「国鳥」として認定する法案に署名。これにより、建国から250年近い時を経て、ついにハクトウワシがアメリカの国鳥として正式認定されたのだ。
ハクトウワシを国鳥に正式認定、満場一致で法案可決
2024年7月、アメリカの上院では超党派の議員によって提出されていた、「合衆国法典第36編(愛国的及び全国的な行事、儀式及び団体)を改正し、ハクトウワシを正式な国鳥にする」法案が全会一致で可決された。
さらに12月に入ってからは、下院でも同法案が可決し、大統領の署名を待つだけとなっていた。
今回、バイデン大統領が署名したことにより、この改正法案は正式に成立し、法律上もハクトウワシが国鳥として定められることになったのだ。
そもそもハクトウワシは国璽(こくじ)のデザインとして、パスポートの表紙はもちろん、紙幣やコインにも使われるくらい、アメリカの象徴とされてきた鳥だ。
image credit:Pixabay
アメリカ国立イーグル・センターのジャック・デイビス氏は、今回の法案成立について次のように述べている。
250年近くにわたり、我々はハクトウワシを国鳥と呼んできましたが、公式にははそうではなかったのです。しかし、今やその称号は正式なものとなりました。これほどふさわしい鳥は他にいません
Photo by:iStock
一時は絶滅の危機にあったハクトウワシ
だがここに至るまで、ハクトウワシにも苦難の歴史があった。
開発による生息地の減少や狩猟、そして殺虫剤であるDDTの影響で、急速に個体数を減らして行った。1963年には繁殖可能なペアがわずか417組にまで激減したそうだ。
特にDDTはカルシウムの代謝を阻害し、不妊になったり孵化できないほど卵の殻が薄くなったりといった弊害をもたらしたという。
この状況を受け、アメリカでは1967年にハクトウワシを絶滅危惧種に指定。1972年にはDDTの使用を禁止することに。
その後、個体数は徐々に増えていき、2007年には無事にレッドリストから外れることとなった。現在では北米全体で数十万羽にまで回復したと言われている。
ハクトウワシは北米大陸に広く分布する猛禽類で、胴体の全長は約80〜110cm、翼を広げた翼長は約2mに達する大型の鷲である。
白い頭と白い尾羽、黄色いクチバシが特徴的。まさにアメリカを象徴する堂々とした姿だ。
image credit:Pixabay
ネイティブアメリカンにとっても聖なる鳥だった
アメリカ合衆国が建国される前から、ネイティブアメリカンにとっても、ハクトウワシは聖なる生き物だった。
彼らはハクトウワシの羽を集めて飾り物にしたり、宗教的な儀式に使ったりしていたそうだ。
現代においても、純粋にネイティブアメリカンの祖先を持つと証明された人のみが、スピリチュアルな目的のためにハクトウワシの羽を所有できるんだとか。
各国の「国の象徴」を見てみよう
ちなみに日本の国鳥はキジということになっているが、実はこれも法的な裏付けはなく、1947年に民間団体の日本鳥学会によって国鳥に選ばれたのだそうだ。
ついでに他の国の国鳥も見てみよう。何となく聞いたことのありそうな鳥が国鳥になっているところをリストアップしてみた。
アイスランド:シロハヤブサ
アルバニア:イヌワシ(国旗になっている)
アルメニア:コウノトリ
イギリス:ヨーロッパコマドリ(マザーグースの「クックロビン」がこの鳥だ)
インド:インドクジャク
ウズベキスタン:カワラバト
オーストラリア:コトドリ
オーストリア:ツバメ
韓国:カササギ(非公式)
ギリシャ:コキンメフクロウ
クロアチア:サヨナキドリ
チリ:コンドル
中国:キンケイ、タンチョウ(非公式)
ナイジェリア:カンムリヅル
ニュージーランド:キーウィ
バハマ:フラミンゴ
フィンランド:オオハクチョウ
ブータン:ワタリガラス
ポルトガル:ニワトリ
メキシコ:カラカラ
モーリシャス:ドードー(既に絶滅している)
モンゴル:オジロワシ
国を象徴するシンボルとしては、他にもさまざまなものが考えられている。日本の場合は「国花」は桜か菊。「国石」は翡翠あるいは水晶らしい。
さらに「国獣」…はいなくて「国魚」がニシキゴイ、「国蝶」がオオムラサキ、「国果」は柿ということになっているみたいだ。どれも非公式のようだけど。
公式・非公式にかかわらず「国の象徴」ということで、国旗や通貨にシンボルとして使っている国も多く、やはり愛着を持たれているようだ。
今回、法的にアメリカ合衆国の国鳥に制定されたことで、ハクトウワシにとって何かが変わるということはないかもしれない。
だがアメリカという国にとっては、ハクトウワシを象徴として扱うことに法的な裏付けができたわけで、歴史的な意味は大きいのだろう。
References: Bald eagle gets officially sworn in as the national bird of the US[https://community.designtaxi.com/topic/7254-bald-eagle-gets-officially-sworn-in-as-the-national-bird-of-the-us/]