〈“修羅の国”の二十歳〉「後期高齢者が優遇されすぎ」「金を稼ぎたい」…北九州で聞いた若者たちの“意外な将来観”とは

2025年2月10日(月)12時0分 文春オンライン

 寒波が日本列島を襲う中、北九州市の成人式会場は熱気に包まれていた。派手な衣装に身を包んだ“新成人”たち。彼らの口から語られる将来への希望と不安、そして日本社会への鋭い洞察は、令和を生きるZ世代の姿を鮮明に映し出していた。


◆◆◆


「日本は“量より質”にシフトする転換期なのでは…」


 成人式に参加した若者たちの中には、日本の未来を真剣に考える姿が見られた。都内の大学に通う男性に日本社会の課題について尋ねると、少子化問題についての見解を語ってくれた。





「日本では少子化問題が長らく歯止めが利かない状態ですが、ここまでくると、ある種の転換点なんじゃないのかな、と考えていますね。いままでは“質より量”を軸に物事が整えられていたと思うんですよ。ただ、昨今の状況を鑑みると、量を増やすことは困難で、"量より質"への転換の時期を迎えているんじゃないかなと」


 質の高い人材をいかに大切にしていくか、そして質の競争から溢れてしまった人たちへの支援が今後重要になると続ける。彼の発言は、単なる若者の戯言ではなく、日本社会の課題を鋭く捉えているのではないだろうか。


「後期高齢者を重視した政策にシフトするのはわかるんですけど…」


 一方で、現在の日本社会に不安を感じる声も聞かれた。サブカルチャー×地雷メイクで成人式に臨んだという女性は、こう語る。


「いまの日本は、極端な話をすれば、後期高齢者の方だったり上の世代の人たちが優遇されすぎだと思うんですよね。政治として、人数の多い後期高齢者を重視した政策にシフトするのはわかるんですけど、まあ、ねえ……。先のことを考えたら、若い人たちに向けた方がいいんじゃないかなあとは思いますね」


 彼女の言葉からは、世代間の格差に対する不満と、若者の未来を真剣に考えてほしいという切実な願いが感じられる。


北九州で家を建てて家庭を築くのが夢


 こうした社会への批判的な見方がある一方で、自分の未来に向けて前向きに取り組む若者の姿も印象的だった。電気工事の仕事に就いている男性は、「将来は、子供とか奥さんとかが幸せに過ごせるだけの金を稼ぎたいです」と言い、北九州で家を建てて家庭を築く夢を聞かせてくれた。


 成人式に集まった若者たちの声を聞くと、彼らが社会の課題を認識しながらも、自分たちの未来を切り開こうとする強い意欲に溢れていることがわかる。その一言一言には、たしかに新しい時代を担う世代の希望と決意が詰まっていた。


(「文春オンライン」編集部)

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