「結局、使ってるじゃん」老朽化で閉場中の国立劇場でファッションショーの“なぜ?”を運営に聞いた結果

2025年2月17日(月)5時0分 週刊女性PRIME

国立劇場(公式Xより)



《老朽化して改修では無理。使えないから建て直すとおっしゃっていましたよね?使ってるじゃないですか。これだけの人を入れてるじゃないですか》

閉場のはずが“ファッションショー”

 国立劇場が建て替えのために閉場して1年以上が経った。新劇場を建設する事業者選定は目途が経っておらず、歌舞伎や文楽、日本舞踊など、日本の伝統芸能存続の危機を危惧する声も上がっている。そんな中、国立劇場を有効に活用しようとする動きがあるものの、物議を醸していて……。

「国立劇場は舞台機構の老朽化やバリアフリー対応を理由に建て替えが必要と判断され、2023年10月に閉場しました。新劇場を建設する事業者の選定は過去に2回、入札を行ったそうですが不落となり、進んでいない状況なんです。当初、令和11年度の再開場を予定していましたが、事実上不可能となりました。

 そこで国立劇場は、劇場を有効利用しようと旅行会社のエイチ・アイ・エスと連携して外国人観光客向けに新春歌舞伎のバスツアーや、ファッションブランド『SEVESKIG』の秋冬コレクションなどを企画。しかし、ネットでは老朽化を理由に閉場したはずが、利用を続けていることを疑問視する声が多いんです」(全国紙文化部記者)

 国立劇場を運営する独立行政法人日本芸術振興会は公募の末、2024年7月に株式会社エイチ・アイ・エスと連携協定を結び、劇場を活用するための事業を行ってきた。そこで日本芸術振興会に問い合わせると、この“劇場活用”には理由があるそうで……。



建設費の高騰も影響

「劇場の舞台は使用できるのですが、演出効果用の舞台機構は使えない状況なんです。そのため、ファッションショーの照明は外部から持ち込みました。かつ、客席も使用できないため、お客様も舞台上で見ていただく形をとりました。老朽化によって制限が多いですが、利用できるところだけでも利用したいという考えのもと進めた企画です」

 続けて、新劇場を建設する事業者選定の現状を聞いてみると……。

「過去2回の入札が不落となったことの要因のひとつに、建設費の高騰があります。私どもだけではまかないきれませんので、国に対応してもらうべく、2024年12月末に国の補正予算に計上するよう動いていただきました」



 しかし、この補正予算は一部予算が上乗せされただけで安心してはいられないと危惧する声も。

「そもそも老朽化が進んでいたとはいえ、再設備の目途がたっていない状況で閉場したことがお粗末な話なんです。政府の文化行政がいい加減であると言えるでしょう。今後の入札に関しては条件を緩和させ、当初予定していたホテルの併設などを必須とせず、入札参加者の判断に委ねる方向で動いているようです。

 閉場中の公演は、首都圏の各種ホールや劇場を借りて代替公演を主催しているそうですが、公演回数は激減している状況なんです」(前出・全国紙文化部記者)

 担い手の高齢化が進む伝統芸能は、一度途絶えてしまえば、復活は極めて困難となる。存続のために国として早急に動いてもらう必要がある。

週刊女性PRIME

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