【医者が教える】病気になりたくないならやってみて。なぜ病院では昼食後に散歩を指示しているのか?

2024年2月23日(金)6時0分 ダイヤモンドオンライン

【医者が教える】病気になりたくないならやってみて。なぜ病院では昼食後に散歩を指示しているのか?

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運動したい、でもできない……。そこで本連載は論文マニアとしても有名な大谷義夫先生(医師)が、82の論文、世界の最新エビデンスをもとに正しく効果的な歩き方を書いた本『1日1万歩を続けなさい』から、今日から役立つ「歩き方のコツ」をお伝えします。ウォーキングは体にいい。それはたしかに事実です。でも実は「ただ歩くだけ」では効果が出にくいことをご存じでしょうか。同じ歩くなら「科学的な歩き方」で「最大効果」を手に入れる。ここを目指してみてください。

Photo: Adobe Stock

日本には1370万人もの予備軍がいる病気がある

 日本に糖尿病の予備軍は1370万人いると言われています。

 糖尿病は「失明」「心臓病」「腎不全」「足の切断」など、重篤な症状につながることもある怖い病気で、令和元年の国民健康栄養調査によると、過去に糖尿病治療歴がある、あるいは糖尿病の血液マーカーHbA1cの数値が6・5以上ある人は、糖尿病の疑いが強いとされています。

 日本にはこういう方が20歳以上の男性で19・7%、女性は10・8%いると言われています。

原因は「食べ過ぎ、運動不足、肥満」

 糖尿病で多いのは「2型」と言われるもので、これはインスリンの分泌が少なかったりその働きが悪くなることで起こります。

 原因は遺伝的な要素に加え「食べ過ぎ、運動不足、肥満」の3つ。

 これらが重なって発病します。

歩くだけでもリスクは下がる

 カリフォルニア大学サンディエゴ校で行われた、高齢女性およそ5000人を対象とした調査があります(※1)。

 これによると1日の歩数が2000歩増えると、糖尿病発症リスクが12%低下することがわかりました。

 さらにはこれが少し汗をかくような速さのウォーキングであった場合には、糖尿病リスクは14%も低下することがわかったのです。

 糖尿病のような慢性疾患にも、ウォーキングは効果があるというわけです。

「食事療法」+「運動療法」がおすすめ

 糖尿病の治療には、通常「食事療法」と「運動療法」が組み合わされ、順天堂大学の調査(※2)によると、「食事+運動療法グループ」では、異所性脂肪である筋肉内脂肪が19%減少し、インスリン感受性は57%増加するという改善報告がなされています。

 一方、「食事療法だけのグループ」では、筋肉内脂肪もインスリン感受性も変化がなかったということでした。

 これは運動が糖尿病にいかに大きく影響するかがわかる報告であるとともに、恐ろしい異所性脂肪をそぎ落すためにもウォーキングは有効であることを裏づける論文でもあると言えます。

病院では昼食後に散歩を指示している

 思い起こせば大学病院に勤務していた頃、昼休みに糖尿病の患者さんたちが散歩をする姿をよく目にしました。

 あれは医師からの「食後は歩いてください」という指示だったと思います。

 あの光景も「運動+食事療法」の実践だったということです。

※本稿は大谷義夫著『1日1万歩を続けなさい』より、一部を抜粋・編集したものです。本書にはウォーキングの効果にまつわるさまざまなエビデンスと、具体的で効果的な歩き方が紹介されています。ウォーキングで効果を出すには歩き方に「コツ」があります。このコツを本書でぜひ掴んでください。

【参考文献】※1 Garduno AC, et al. Associations of Daily Steps and Step Intensity With Incident Diabetes in a Prospective Cohort Study of Older Women: The OPACH Study. Diabetes Care. 2022 Feb 1;45(2):339-347.doi: 10.2337/dc21-1202.

※2 Tamura Y, et al. Effects of diet and exercise on muscle and liver intracellular lipid contents and insulin sensitivity in type 2 diabetic patients. J Clin Endocrinol Metab. 2005 Jun;90(6):3191-6.

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