オウケイウェイヴ元役員ら、自社株を不正取得の疑い…「個人株主から高値で買い取るよう求められていた」

2025年3月18日(火)9時25分 読売新聞

検察庁

 名古屋証券取引所上場のウェブサイト運営会社「オウケイウェイヴ」(東京)の元役員らが、会社法で義務付けられた「取締役会の決議」を経ないまま、会社資金で自社株を取得していた疑いのあることが関係者の話でわかった。市場価格を大幅に上回る金額で株主から買い取る必要があったためとみられ、東京地検特捜部は元役員らについて、同法違反容疑(自社株の不正取得)での立件に向けて詰めの捜査を進めている。

 オウケイ社株を巡っては、同社と財務アドバイザリー契約を結んでいたコンサルティング会社代表の男(53)が未公表情報を基に取引したとして、特捜部に金融商品取引法違反(インサイダー取引)で起訴されている。

 関係者によると、オウケイ社元役員らは2021年〜22年頃、取締役会の決議を経ないまま、同社株を大量に保有する個人株主から株を取得した疑いがもたれている。1株あたりの取得額は市場価格の2倍程度で、株主に支払った金額は総額約8億円に上ったという。

 元役員らは取得資金の捻出にあたり、オウケイ社の子会社ファンド幹部だった被告の男と協議。同ファンドを通じて支出した資金が株の買い取りにあてられたとみられる。オウケイ社株はその後、被告の男が海外法人の名義で管理し、22年4月、オウケイ社の株価下落による損失回避のため市場で売却したとされる。

 特捜部はインサイダー取引事件の捜査で、不正な自社株取得の疑いを把握し、被告の男も関与したとみている。当時の同社関係者の一人は取材に対し、取締役会の決議を経ずに取得したことについて「個人株主から株を高値で買い取るよう求められていた」と話した。元役員の一部は特捜部の任意の事情聴取に対し、事実関係を認め、「経営を安定させたかった」と説明したという。

旧商法では禁止「イトマン」事件

 自社株の取得は、不透明な手続きで会社の資産を流出させるほか、株主間の公平性を損なうものとして、旧商法では原則禁止とされた。1991年には、中堅商社「イトマン」元社長らが会社資金で不正に自社株を取得したとして大阪地検特捜部に摘発された事件が起きた。

 現在は会社法で認められているが、取締役会の決議など適正な手続きを経ない場合には、不正取得罪が適用される可能性があり、罰則は5年以下の懲役か500万円以下の罰金またはその両方となっている。

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