PTA全国組織、1年間で会員100万人減…不祥事受け千葉県や横浜市など下部組織が退会
2025年4月19日(土)15時0分 読売新聞
公立小中学校PTAの全国組織「日本PTA全国協議会」(日P、太田敬介会長)の会員数(児童生徒数)が、2024年度の1年間で100万人以上減少したことが分かった。不適切な運営などへの不信感が広がり、下部組織のうち千葉県や横浜市など少なくとも4県3市の団体が24年度末までに退会を決めたためだ。日Pは「運営健全化を進める」とするが、規模縮小により存在感の低下が避けられない。
PTAは学校単位、市町村、都道府県・政令市の組織の頂点に日Pが位置するピラミッド型の組織だ。保護者が支払う会費のうち、子供1人あたり年10円が日Pに納められ、保護者向け研修会などを開催してきた。
だが、日Pでは22、23年度決算で多額の赤字が判明。昨年7月、日Pが発注した工事代金を水増しし、約1200万円の損害を与えたとして元参与が背任容疑で逮捕された。同12月には法人運営が不適切だとして、内閣府から公益法人認定法に基づく是正勧告を受けた。
こうした事態への不信感から埼玉、千葉、静岡、群馬の4県と横浜、さいたま、相模原の3市の団体が24年度での退会を決定。岡山県の団体の解散もあり、23年度に約716万人、24年度に約699万人いた会員は、24年度終了時点で600万人を割り込んだとみられる。
横浜市の団体の代表者は「日Pは不祥事の説明が不十分で、自浄作用も見込めない」と語った。
「日本最大の社会教育関係団体」をうたう日Pは、国や関係機関に現場の課題や要望を伝える役割を担うが、下部組織からは「十分な役割を果たしていない」との不満が出ていた。日P会長や役員経験者らは「保護者代表」として文部科学相の諮問機関・中央教育審議会の委員を務めてきたが、3月からの新体制には選出されなかった。
日Pは読売新聞の取材に対し、「(中教審委員に選出されず)教育政策への関与手段が一つ減った。保護者の声を反映させる手段を模索する」と回答。相次ぐ退会については「運営に対する信頼低下が一因と認識している。信頼回復に向けて健全化の取り組みを着実に進める」とした。
PTAに詳しい同志社大の太田肇名誉教授(組織論)の話「数の力を生かした陳情などを目的とするピラミッド型組織は、時代に合わない。会計の透明性を高め、古い体質や構造を見直すなど改革が必要だ」