敦賀署の拾得物が急増、前年同期の4倍…「倉庫いっぱいになりつつありこれ以上増えると苦しい」
2025年5月15日(木)7時39分 読売新聞
倉庫に保管されている拾得物(敦賀署で)
昨年3月の北陸新幹線金沢—敦賀間の延伸開業に伴い、新たな終着地となった敦賀駅を管轄する福井県警の敦賀署での拾得物が大幅に増加している。前年同期比で約4倍となり、県内の筆頭署である福井署が扱う拾得物の点数に迫る勢いだ。管理にあたる警察職員は対応に追われている。(北條七彩)
「倉庫はいっぱいになりつつあり、これ以上増えると苦しい」。傘や衣類などがあふれる拾得物保管用の棚を前に、敦賀署の会計官、小林克臣さんは話す。
県警会計課によると、北陸新幹線の県内延伸開業前の2023年3〜12月に敦賀署に届けられた拾得物は7922点で、福井署、福井南署、越前署に次いで4番目だった。ところが24年同期は3万2191点まで急増し、福井署の次に多くなった。
小林さんが要因として挙げるのが、昨年3月の北陸新幹線の県内延伸開業だ。
JR西日本によると、県内延伸までは、JRが北陸3県で運行する車両や駅で見つかった拾得物は、原則JR金沢駅の「金沢忘れ物センター」に行き、一定期間後は、石川県警金沢東署(金沢市)で保管されていた。
しかし延伸開業後は、敦賀駅に「敦賀忘れ物センター」が設けられた。センターには、福井県内を走行する北陸新幹線の車内や駅構内などで見つかった拾得物のほか、在来線の越美北線、小浜線の県内区間や駅での拾得物が集まり、その後、敦賀署に届けられることになった。
実際、敦賀署と反比例するように、金沢東署の拾得物は減少している。
石川県警会計課によると、敦賀延伸後の同署での拾得物の点数は、延伸前に比べて約2割減少。同課は「金沢忘れ物センターから届けられる拾得物の減少が、そのまま反映された」としている。
延伸開業後は、持ち主が敦賀市外のみならず福井県外まで広がり、簡単に窓口に来られないため、必要書類や拾得物を郵送する必要があり、業務量が多くなった。敦賀署の倉庫内の棚で拾得物が占める割合は、延伸開業前は3分の1程度にとどまっていたが、昨年3月以降は半分以上になった。
こうした事態を見越し、同署では24年度から会計課の職員を1人増員し、5人体制にした。それでも職員の負担は大きいという。小林さんは「会計課の職員でなんとかやりくりしている状況。粛々と適正に保管を徹底したい」と話す。