渋谷区のバーでぼったくりか、従業員の男女3人逮捕…違法取り立てで8000万円得た可能性
2025年5月15日(木)15時0分 読売新聞
マッチングアプリで知り合った男性をバーに誘い、飲食代を不当に取り立てたとして、警視庁は15日、いずれもバー従業員の男(22)(東京都新宿区)と女(24)(同)両容疑者ら男女3人を東京都ぼったくり防止条例違反容疑で逮捕したと発表した。3人らのグループが昨秋以降、渋谷区のバーで違法な取り立てを約50件繰り返し、約8000万円を得たとみている。
発表によると、3人は仲間と共謀して1月中旬、20歳代の会社員男性を勤務する渋谷区のバーに誘い出し、飲食代などとして、現金110万円を支払わせるなどした疑い。逮捕は13日。
グループは、女性を装った男がマッチングアプリを通じて男性客に接触。女が従業員であることを隠して男性客を店に連れ込む手口で、高額な飲食代を請求していた。言いがかりをつけて貴金属を購入させたり、支払えない客を監禁して消費者金融に連れていったりすることもあったという。従業員らは秘匿性の高い通信アプリ「テレグラム」を通じて指示を受けており、警視庁はグループの実態解明を進める。
障害者向けのマッチングアプリも悪用
グループは、障害者向けのマッチングアプリも悪用し、男性客を狙っていた。
東京都内に住む弱視の20歳代男性は2月上旬、障害者やその理解者が友人や恋人を探すアプリ「イロドリ」を通じ、「リサ」と名乗る女と知り合い、渋谷区のバーに連れていかれた。
大音量の音楽が鳴り響く暗い店内で、店員から「飲み放題5000円」と説明を受けると、リサはトランプゲームの勝敗に応じて酒を飲むことを男性に提案。次々に酒を注文していった。
「すごい金額になっていますよ」。約2時間後、突然、店員に告げられた。リサが注文した酒は飲み放題の対象外といい、飲食代は40万円に上っていた。男性は驚いて動揺したが、リサは店員に「大丈夫です。金額は合ってます」などと冷静に対応していたという。
請求額は約68万円に上った。男性は店員に伴われてコンビニ店に向かい、現金自動預け払い機(ATM)で現金を引き出して支払った。「ぼったくるのに都合がよいと思われたのだろう。今思えば明らかに女と店側はグルだった」と憤った。