JDI、国内従業員の半数超1500人削減へ…最終赤字782億円でCEOも辞任
2025年5月16日(金)6時29分 読売新聞
JDIのスコット・キャロン会長CEO(2023年4月)
中小型液晶メーカーのジャパンディスプレイ(JDI)は15日、国内従業員の半数超にあたる約1500人を削減すると発表した。中国メーカーなどとの競争激化で業績不振が続いており、スコット・キャロン会長兼最高経営責任者(CEO)(60)は引責辞任する。
正社員と契約社員を対象に、6〜8月に希望退職を募る。海外従業員(約1500人)も半減させる。2015年3月末時点で国内外に約1万7000人いた従業員は、大幅に縮小する。
キャロンCEOは6月1日付で退任し、生産・品質本部調達統括部長の明間純氏(48)が社長兼CEOに就く。キャロン氏は取締役会長となる。
15日発表した25年3月期連結決算は、最終利益が782億円の赤字(前期は443億円の赤字)で、11期連続の最終赤字だった。本業のもうけを示す営業利益は370億円の赤字(前期は341億円の赤字)。人員削減で年間135億円の費用削減を見込み、27年3月期の営業黒字を目指す。
キャロン氏は記者会見で「従業員におわびする。私の経営能力の問題であり、私の責任」と述べた。
JDIは、車載向け製品を強化し、主力だったスマートフォン向け液晶パネルから撤退する方針だ。10月には車載事業を分社化し、資金調達や他社との協業に力を入れる。今年度末の閉鎖が決まっている茂原工場(千葉県)は親会社の投資ファンド「いちごトラスト」に譲渡し、いちごからの借り入れ返済に充てる。国内に6か所あった生産拠点は、石川工場(川北町)1か所に縮小する。
JDIは12年、ソニー(現ソニーグループ)と東芝、日立製作所の液晶事業を統合し、「日の丸液晶メーカー」として設立された。