密集している方が良い? 旬のクレソン、鮮度が良いものを選ぶには?
2025年5月20日(火)5時10分 ウェザーニュース

2025/05/20 05:00 ウェザーニュース
ステーキなどの肉料理などの付け合わせに出てくるクレソン。今では1年中出回っていますが、露地栽培の旬は3〜5月の今の時季です。
葉や茎を生で食べることの多いクレソンは、特に鮮度が味を決める重要なポイントだそうです。鮮度の良いクレソンの選び方を野菜ソムリエプロの吉田謹子さんに伺いました。
付け合わせだけではもったいない、クレソンの栄養
クレソンは、ヨーロッパ原産の水生の植物で、明治時代に日本に輸入されたそうです。
ウェザーニュースで実施したアンケートによると、クレソンを好きと答えた人が68%いる一方で、約3人に1人の32%が嫌いと答えています。クレソン独特の辛味や苦味を苦手としている人も多いようです。

「わさびの仲間であるクレソンは、ピリッとした辛味があることから、オランダカラシとも呼ばれていました。
非常に栄養価が高い野菜で、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)が2015年に栄養素の高い野菜&果物TOP41で第1位と紹介したほどです。
栄養素としてはビタミンからミネラルまで幅広く含まれていますが、クレソンの特徴の一つである独特の辛味成分は『シニグリン』『イソチオシナネート』と呼ばれ、抗酸化作用や抗菌作用、食欲増進、血行促進効果などがあると言われています。
ミネラルではカリウムが多く、体の過剰な水分を排出し、むくみを取る効果があるとされています。他にはマグネシウムや鉄なども含まれています。
ビタミン類では、β-カロテン、ビタミンC、ビタミンKが豊富です。ただカリウムやビタミンCは水溶性でゆでると流出してしまうので、生か炒め物、スープなどにして食べると無駄なく栄養を摂ることができます」(吉田さん)
鮮度の良いクレソンの選び方
栄養豊富なクレソンの選び方を教えてください。
「クレソンは、緑色が非常に濃いのが特徴です。葉が密に生えていて、葉先までみずみずしくピンとしてハリがあるもの、茎は極端に太くなく、余分なひげ根がないもの、切り口が黒ずんでいないものが鮮度のよい証拠です。
また鮮度が落ちてくると特徴的な香りが弱くなります。なるべく香りが強いものを選ぶようにしましょう」(吉田さん)

「独特強い香りとクセが苦手な方は、サラダクレソンがおすすめです。これはクレソンがまだ生長途中で茎が柔らかく、辛味が少ないうちに収穫したものなので、抵抗なく食べられると思います」(吉田さん)
繁殖力旺盛な外来植物
肉料理には相性の良いクレソンですが、やっかいものとしても知られるようになったそうです。
「クレソンは繁殖力が非常に強く、川や水路のそばを見ると盛り上がるように自生しているのを見かけることも珍しくありません。これはクレソンを水に浸けておくとすぐ根が出てくるほど生命力があるため、家庭でクレソンを調理した際に、切り落とした茎が川に流れ出し、そこで根を出して繁殖することも一因と言われています。
現在では【我が国の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種リスト】に入っているほどです。
もちろん、店頭に並ぶクレソンは清潔な環境で育てられたものなので、安心して食べることができますが、野生で繁殖しているクレソンには寄生虫などもいる場合がありますので、在来の種の保存のために駆除しても、食べないようにしましょう」(吉田さん)
クレソンは生だけでなく、コンソメスープや炒め物など料理のメインとして大量消費することもできます。付け合わせだけでなく、日々のメニューに活かしてみてはいかがでしょうか。