【風疹が流行中】新生児に先天性風疹症候群の危険も!

2018年8月25日(土)8時25分 ウェザーニュース


2018/08/25 08:21 ウェザーニュース

風疹が流行しています。症状は軽いのですが、妊娠6ヵ月までの妊婦さんが感染すると、新生児に障害が現れることがあります。妊婦さんや周囲の人はどうしたらよいのでしょうか。

関東地方を中心に流行中

国立感染症研究所によると、今年1月から8月12日までの風疹の患者数は139人で、昨年1年間の93人を上回りました。関東地方を中心に増加していて、千葉県が41人と最も多く、次いで東京都が39人となっています。人の移動が多い夏休み期間中は感染が拡大する恐れがあると同研究所が注意を呼びかけています。
風疹とはどんな病気なのか、横浜相原病院(神奈川県横浜市)の吉田勝明院長が解説します。
「最初に鼻水とせきが出て、やがて全身に赤い発疹、38〜39℃の発熱、耳の後ろのリンパ節の腫れが現れますが、発疹は3日ほどで消えます。そのため『三日はしか』と呼ばれることもあります。主に感染者がせきなどで空気中に放出したウイルス入りの飛沫を吸い込むことで感染しますが、感染者との密接な接触でも感染します。麻疹(はしか)より感染力は弱いのですが、感染してから発症するまでの潜伏期間は2〜3週間と長いのが特徴です」

過去には10万人規模の大流行

風疹は過去、大流行したことがあります。とくに多かった1982年は感染者が約32万人と推計されています。最近では、2012年から13年にかけて1万4000人を超える大流行がありました。
「風疹そのものは軽くてすみますが、妊婦さんが感染すると、新生児に『先天性風疹症候群』が現れる可能性があります。妊娠月別の発生頻度は、1ヵ月で50%以上、2ヵ月で35%、3ヵ月で18%、4ヵ月で8%と高率です。
先天性風疹症候群の3大症状は、心臓奇形、難聴、白内障です。2012〜13年の流行では45件の先天性風疹症候群が報告されています。
心臓奇形と白内障は妊娠初期3ヵ月以内の母親の感染で発生しますが、難聴は6ヵ月以内の感染でも発生します。しかし、6ヵ月を過ぎると先天性風疹症候群のリスクが低くなるので、妊娠後期であれば、風疹に感染したからといって子どもを諦める必要はありません」(吉田院長)

妊婦さんに抗体がなければ、周囲はワクチン接種を

最近の風疹患者は30〜50代の男性が中心です。1977年度から女子中学生を対象にワクチン接種が開始されましたが、男子は1994年度からでした(60代以上は自然感染で免疫を獲得している人が多い)。ワクチン接種制度の変遷で、感染しやすい世代があるのです(図参照)。

では、妊婦さんが風疹に感染しないためには、どうしたらよいのでしょうか?
「産院では妊婦検診で風疹の抗体の有無を調べます。抗体があれば子どもの頃のワクチン接種で免疫ができているので心配はありません。
しかし、『抗体がない』と言われた場合、妊娠中の女性はワクチンを接種できませんが、家族は自分が感染して妊婦さんにうつさないために、ワクチン接種を受けることを勧めます」(吉田院長)
本来は抗体検査を受けて、結果が「抗体なし」ならワクチン接種という手順ですが、関東地方を中心に風疹が流行中の今は時間的余裕がありません。それに「抗体あり」の人がワクチン接種すれば、より免疫力がアップします。料金は5000円前後ですが、自治体によっては助成があります。
「私の医学生時代、同級生に開業医の息子がいました。夏休みに入る直前、どうも調子が悪く、風疹の疑いがあるということで、早めに実家へ帰郷しました。事情を聞いた父親(産婦人科医)は烈火のごとく怒り、帰って来たばかりの息子を叩き出したそうです。それくらい風疹は妊婦に対して神経質になる疾患なのです」(吉田院長)
妊婦さんが健康で元気な赤ちゃんを出産できるように、家族は風疹の感染予防に協力してください。


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